宗教上の信条に近い所ではあるが、私は医者と薬を避ける傾向が強い。ちょっとした筋肉痛と体調不良でドラッグ(医者に提供される薬)に手を出すとは、感覚的に信じがたい。「なぜこんなモノに手を出すんだ? 効果が疑わしく、安くもない。」 薬くらいで麻薬と同じくらいの嫌悪を抱く私も不自然かもしれないが、英語で言ったら両方ドラッグだ。私が農業に縁遠い生活をしていて農業を神聖視しすぎる傾向は否めないが、農業を営む家の人間としてあるまじき行為に思えてしょうがない。「マクドナルドに行ったことがあるか? どんな味だ? 普段食べているこのご飯と比べて、お前一体どう思うのだ?」と厳しい表情で問い詰めたら、「ハンバーガーあんまり好きじゃない」というトンチンカンな答えが返ってきた。俺はマクドナルドのヘビーユーザーだが、それはしょうがない。安く100%無農薬天然素材にアクセスできる立場にありながら、高い人口ジャンクフードを食うか? ジャンクは実際安いからまだ許そう、高い風邪薬に手を出すかねぇ? お父様が鶏を殺して食うって言っていたではないか! お母さまが取ってくれたココナツ、3メートルくらい上あるココナツの実に誰か農薬をかけたか? 庭に居る豚は豚のクソを食いながら生きるほど詰め込まれた環境には育っていないだろう? 家族が残した残飯を豚にあげている清潔な豚を食える環境なんだろう? 生きる物を食うという自然の摂理を冷蔵庫もない環境で実践しているんだろう? 医学が専門ではないが、誰がどう考えても健康的な環境にあり、自然の飯を食い寝れば治るような軽度の体調不良で、風邪薬などという非常に高いものをわざわざ買うお前の心理がわからないというのだ!
たかが薬を買おうとしたくらいで、ここまでド詰めにされてチャンラーイ遠征隊は不思議顔。私は決して声を荒げてないし、静かに質問しただけだ。「この環境に育っていながら、なぜ薬を買うんだ? 俺は怒っているのではない。薬を買いたければ買うのも良い。だが、理解ができないのだ。どうしてその薬を買おうと思ったか説明してもらえるかね?」 俺は頭がおかしいか? 熱があるが、明日は重要な会議があるので、解熱剤を用いてその会議に挑む、そのために薬を使いましたというのならまだ理由がわかる。しかしこののんびりとした田舎で、なんで? 理由を聞いただけだよ。
それから当然、薬を”俺の金で買おうとしていた”から厳しく理由を追求してるんだけどねw ”I’m not angry”と言いながら鬼のような顔をしていたに違いない…
朝ごはんについてきた、料理不明の手作りデザート、コウニャオ(もち米)、ココナツミルク、芋、バナナなどをバナナリーフ(?)で包んで焼いたもの。この葉っぱはバナナリーフ?と聞いたら、「あれ」って庭の木を指差していた。なかなか苦しゅうないですね。食料自給率の高い家だw
お父様のお仕事(男と男のコミュニケーション)
私の友人に、寡黙な男がいるが、友人の彼女の父、つまり友人にとってのお義父様と友人がご対面した時に、ほとんど会話が無かったとその彼女が怒っていた。コミュニケーションってのは言葉だけじゃないんだ!と声を大にして彼を応援したいところだ。男同士、男と女、対子供では言葉を発しないコミュニケーションがよく発生する。いつもうわべの嘘ばかり言葉を並べ立てる女同士と比較してくれよ! 言葉が持つ意味なんてのはさほど重くない。
私の場合は「彼女じゃなくて単なる友人のお父様」なので、お義父様ではないこと。タイ語しか通じないので話したくても話せないこと。言語が通じる状態だったら、私はお父様でもお義父様でも関係なくよく話すタイプであること。というのはあるのだが、今回はマジで言葉を交わさない男同士であった。
「父があなたを連れていきたいところがあると言ってるから車に乗って。私は家に居ます。」 念のため、タイ語の本をパッとつかんで車に飛び乗った。どこだろう・・・? 寺にでも連れて行こうとしているのかな? と思いきやいきなり小道、さらに脇道、農道というかもはや、くさむら? みたいなところに入って行く。ぬかるんでいる個所もあり、下手に車で踏み入れれば立ち往生間違い無し。降りろとゼスチャー。車を降りて荷台が目に入った瞬間、意図を理解した。先日見ていた染料の樹木の接ぎ木作業である。私が腑に落ちない顔をしていたので、実際にやるところを見せてくれようとしたのだ
いきなりそこに生えていた竹をなたで切りだした。
物干しざおでも作るのか?と思ったら竹槍を作り始めた。染料の樹木は2本で一組である。作り方は藁で2本の樹木を包んで縛る。真ん中に切れ目を入れて、ヌンチャクのような形にする。このヌンチャクの形は木にぶら下げるためだと聞いていた。竹槍の先にヌンチャクの鎖部分にあたるを付ける。そして、高々と竹槍を持ち上げて、木の枝にぶら下げていくのだ。字で書くと簡単だが、見ていたのでわかる職人芸。竹がしなるのでヌンチャクがフラフラしてしまう。しなりを抑えたい時は竹槍を木に接し、木の枝で支点を作る。時にはしなりを利用して、ひょいと高く上げた瞬間にヌンチャクの間に枝が入り、後は竹槍を引くだけのような技もある。御歳73歳で動きは鈍いが、ナタの使い方と竹槍使いは職人芸だ。私も竹槍の先にヌンチャクを装着するお手伝いをさせていただいた。深く刺しすぎて、ヌンチャクが竹槍の先ではなく、中間まで落ちてきてしまった。ヌンチャクの鎖部分も緩くなっていて再起不能である。捨てるのかと思いきや、お父様竹槍の先端部分になたを入れ、二又の槍に仕上げた。二又の間に鎖を挟み込む形なので、これなら鎖を突き刺すのと違いひっかけるだけとなる。さすがよのぅ、経験60年以上の山の男、状況に応じて臨機応変に対応するが、無駄な動きはほとんどない。
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最後にまた竹を切った。竹の節が森の時を刻む。というような感じで節を指差した。斬った竹がどの程度伸びているかで、雨・温度、日照時間などによって左右される森の時を測るのであろう。後でお姉さんに聞いた。1kgで2000バーツになる。しかし今日は10個ほど接ぎ木したが、全てが成功するとは思えないのだが・・・。全然足りないからもっと染料樹木をたくさん買って増やしていくようだ。大体4-6カ月後に接ぎ木が成功したかどうかがわかり、さらに数カ月たったら収穫するようだ。しかし、あの竹槍でないと届かないような高さの枝をどのように斬るのだ? と聞くと、それは専門の業者が居て斬り落とす部分だけやるそうだ。
接ぎ木を終え、車に乗ったところでお父様が初めて口を開く。「ハチ見たか?」というような意味の思われる。「ハチ」らしき言葉をタイ語で言って、花に飛ぶハチを指差した。少し車を走らせて指差す先には、人工物の箱蜜? 蜂の巣が大量に入ってると思われる箱が20個くらい置いてあった。
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次に車で向かった先に小屋が見える。林道の脇に小屋が・・・。あっ、お父様の好きな酒でも作っているところでお仲間と一杯やるつもりか? と思っていたら、入り口には15歳くらいの少女が0歳の赤ん坊を抱えて座っている。ここはタマリンドの畑+小屋である。タマリンドの成長具合をお父様がチェックしている。「うーん、まだだなぁ・・・」というような顔をしている。この畑と小屋には、少女と赤ん坊しかいない。
「ぼくは今とても恐ろしい想像をしている!」
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まっ、まさかお父様、この子愛人と隠し子?? これは私の推測であるが、今家に居るお母様と呼ばれている女性は、チャンラーイ遠征隊とそのお姉さまの血縁上の母ではない。お姉さまが43歳、お母さまは5X歳と言っており、農家に10代で嫁ぎ、40年農作業で苦労してきた顔をしてないし、農作業全然手伝わないし、空港に迎えに来た時も、お父様とお姉さまとチャンラーイ遠征隊の3人だったからである。これも根拠として薄いのだが、お姉さまとチャンラーイ遠征隊も母親違いの気がしている。というのも居間に飾ってある写真が、全部お姉さまの写真でチャンラーイ遠征隊の写真が無いのだ。このアンバランスさ、お姉さまとの年の差も12歳もあるし。となるとお父様、離婚2回×子供2人。ただ写真が無いことから、チャンラーイ遠征隊は愛人の子だったのかもしれない。それを引き取って今一緒に暮らしている。15歳の子がもし愛人で隠し子としたら、バカ指数(:=離婚の数×子供の数)は最大で6になっちゃいます。
15歳の少女が、あまり綺麗な格好をしていなくて、なんだかすごく野性味のある顔をしているのです。あの壁の無い小屋に一人で住んでいると言っても不自然ではないような格好なのです。赤ちゃんは当然、下半身裸のおむつ無し育児法。そこにまた一人で訪れるお父様。そしてお父様の家から車で数分の距離の小屋です。不思議の国タイ、私、何が起きているのか分からないし、どういうことなのか聞けません・・・。2時間くらいお父様と一緒でしたが、交わした言葉は二言三言。パタヤ1号と俺はもっと長い間一緒に居ても、交わす言葉は二言三言なんだがな。
【愚民の欲】
2012.11.30 北京・ハルビンに行ってきました 13/13 ~必要以上に美人なタクシードライバー
2012.08.09 マキアヴェッリと君主論4/4 ~君主と臣民
2012.04.18|真面目系クズについて 1/2
2012.01.06: 競争と公平感 市場経済の本当のメリット 2/3 ~素質
2011.11.30: 利休にたずねよ3/4 ~茶の湯の極意
2011.10.13: 日本中枢の崩壊 2/2 霞が関
2011.07.22: 死刑囚 最後の一時間 2/2 ~死刑囚
2011.03.01: アジア発展の構図 ~出遅れた国々 4/4
2011.01.20: 項羽と劉邦 ~広大なる中国大陸
2010.11.25: 初等ヤクザの犯罪学教室 ~割に合わない犯罪
2009.12.29: 何のために生きるのか?ふと考えるときがある
2009.05.07: 幸福感と欲の関係