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この段階でどうかね? アジア一国一愛人構想の効果がわかるかね? もし仮に俺がこんなところに潜伏したら追跡可能か? 日本のような大国の国税や国家権力に喧嘩を売るつもりはないが、例えば配偶者という個人、零細企業のステークホルダーというレベルで、この私を追跡できるとは到底思えない。もう少し大きな組織であっても、追跡はかなり難しいであろう。これが直接的なアジア一国一愛人構想のメリットなのだ。このような国境近くの町は特に、ここを経由してラオにでも潜伏したらどうなる? パスポート提示を求められたとしても電子的な記録を残すような設備が各国境検問に配備されているとは思えない。どこの国に居るかもわからない状態でアジア全域をまたにかけたかくれんぼで、鬼は相当な資金力がないと追跡を実行することはできない。そして、実際にアジア逃避行を実行せずとも、逃走経路が豊富にあれば、民事的な力では追跡が難航するぞという脅し文句でもあるのだ。
夜ごはんを家でいただく。家庭料理なので、味付けが全般に優しい。夜ともなると外は半袖では寒いくらい。街灯は煌々とまではいかないが、ちゃんとついている。子供たちが英語で会話している外国人を奇異な目で見ている。子供はおねーさんの子供が17歳と12歳の男の子、チャンラーイ遠征隊自身の子供が7歳の女の子と、年が離れている。私たちが英語で話しているのを聞いて、7歳の子が英語の教科書を持ってきた。自主的にだ。このような刺激が子供の向学心を自然に高揚させる。日本人女性が目指す閉鎖的な家庭ではありえない光景。
タイでは3歳から学校が始まり14歳までの義務教育。7歳で外国語は英語と中国語。「1~10まで中国語で言ってみて」 というと5まで数えて6が言えない。俺のタイ語と同じようなレベルである。お母さんに宿題をやりましたと言うサインをもらっていて、そういうところも日本と全く同じである。12歳の子が持っている英語の教科書は400ページの分厚いもので、この内容を話せれば日常会話は、十分というくらいの分量がある。
「数学の教科書は持ってる? 数学の教科書を見たい。」
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目の前に子供が居たら、どんな勉強をしているのか興味あるでしょう? 教科書はどんな教科書なのか読んでみたくならないか? 数学が素晴らしいのは言語が違ってもほとんど障害無く読める点もある。さて7歳の子供が去年使っていた教科書、つまりタイの6歳の数学の教科書だが、日本の小学校1年生とほぼ同じである。最初は数字の書き方と読み方、1からはじまる。足し算、引き算まで。1+3=4をタイ語でどう読むのか教えてもらう。「ヌーン、ボア、サン、タオカップ、シー」。引き算の-は、ロップと発音する。だが教科書が200ページくらいあり分厚く、□ー4=8の□に数値を入れよという問題があった。このような問題は日本ではかなり後のような気がしたがご記憶の諸君はいるだろうか? いずれにしてもこの教科書を読む限り、タイの教育レベルの根幹部分は問題無い、後は我々親がどのようにケアしてあげるかが一番の問題だ。
12歳、5年生の教科書は、図形の面積で、平行四辺形、菱形、台形の求積問題が目立った。文章の問題に文章で答えるようなものも散見されたが私が全く理解できなかったので飛ばした。7歳の女の子は、12歳の”英語”の教科書を声に出して読み始めた。タイ語の送り仮名がついているので、7歳にも読める。やはり女の子は数学より英語に興味を持つ傾向が強いのだろうか・・・。
チャンラーイの夜は早い。21時には就寝。明日は5時に起きて学校に行く。学校まで遠く時間がかかるからだ。大人も5時起きで農作業の準備に入る。7歳の子供をスクールバスが来るところまで送り、そして迎え、晩御飯を食べさせてやるという保護者は、母親、祖母、叔母、いとこと色々な人が代わる代わるになっている。母親が半年以上家に居ないことも珍しくなく、子供は母に帰属するというよりは家に帰属する存在なのである。私にとって実に理想的な家族像である。私の友人には母と言う立場でありながら、子供は実家に預けて一人暮らし(当然労働も伴っているが)を続けており、私とタイで夜遊びしているような人もいる。
農家の朝は早いが、私は一人で9時過ぎに起きて、朝飯を食べる。庭に出てお父様とお母様に改めてサワディーカー。庭広いな。敷地1000平方メートル超えてるかもしれない。椰子の木が5本生えていて、実が各20個ずつくらいなっている。鶏が30羽(雛も含む)、鴨が15羽、豚が1匹と子豚10匹、犬が2匹と猫が5匹。犬猫を除き、全て商品ではなく、家族の食用である。お母さまが椰子を取ってくれた。私が下でキャッチしようと構えたら、危ないから下がっていろと言われた。自動車事故で死ぬより、椰子の実頭直撃で死ぬ人の方が多いという噂があるくらいなので従っておこう。まだ青いのでは?と思ったが、なたで削ると売っている椰子の色になっていき、木から離れて1分の新鮮ココナツジュースをいただきました。まさに、「タイ人の顔がなぜ穏やかか? 喉が渇いたと思えば、ココナツを落としてココナツジュースを飲み、腹が減ったと思えばココナツの実をかじればよく、労働の必要が無かったからだ!」の実践版。この台詞の背景には、前回のチャンライで子供が「マンゴー好きか?」と聞いてきたので「Yes」と答えたら、木になるマンゴーを落として、私にくれた経験があったからだが、ココナツは今回が初めてだ。
庭先ではお父様が藁を束ねている。束ねた藁に木の枝を埋め込みさらに縛る。何のために使うのか?聞いたら説明にかなり苦しんでいたが、ようやくわかったのは、埋め込んでいる木の枝は染料の元であり、その植林のようである。宗教的な飾りか? と思ったのだが遊びではなく、これも貴重な現金収入のための労働であった。
玄関先にトラックが入ってきた。氷を積んだトラックで、それを家のバンの荷台に乗せ換えている。20kgくらいの氷の塊を20個だ。お姉さんが片手に斧をもっている。これから氷の行商に行くという。大型トラックが入れないような小道の小規模店舗に売りに行くのだという。冷蔵庫をなぜ使わないか? 電気が無いならわかるが、電線があるではないか。と聞いた。電気料金が高いようである。毎日氷を買ってでも、その方が安いというくらい。20kgで34THB。仕入れ値は17THB。斧で2つに割れる、さらにそれを4分割できるような亀裂が入った真四角の氷である。店によって30kg~60kgくらいずつ買っておろしていく。信じられないような狭い道路を車で運転しながら売り歩く。全部終わったら5個残っているので、粗利50%に見えた商売もこの時点で25%に下がり、車のガソリン代や狭い道路で事故るリスク、運搬の手間、運搬の際の氷の破損のリスクがあるので、さほど暴利でもなさそうだ。これを朝の6時と10時で2回やるそうで、お姉さんの毎日の日課のようである。私も手伝おうと思ったが、氷を布の上に載せて運ぶのは技術が要りそうだ。氷は溶けてぬるぬるするので、バランスを崩すと落としてしまう。足の上に落したり、落として砕け散ったり、拾えなくなるリスクもある。10kgの氷の塊を拾い上げるには下から持ちあげないと滑って不可能なので、指が入る分まで滑る氷を持ち上げなければならない。袋に氷を入れて運ぶのは袋をつかめばいいだけなので、万が一落としても大丈夫だから、お手伝いさせていただいた。2回の運搬で在庫リスクもあるので1日400-500THBの収支となる。
このように非常に豊かな食材を持つ農家の弱点は、生活の近代化において必要な現金収入の少なさである。子供の大学の学費や電気料金の支払いといったものには非常に弱い。ここに無いものは、冷蔵庫とインターネットである。冷蔵庫が無いのは氷で代替可能だが、ネットが無いのはアジア逃避行において致命的だ。しかし、テクノロジーの進歩により、現代は携帯電話網というのが発達している。携帯電話の電波状態は極めて良好なので、潜伏期間中はスマートフォンを購入して契約すればいいのだ。シンガポールでは固定電話網を使ったネットを利用していて、アップルの時価総額にはなんら貢献していない。このような環境であればスマートフォンの購入も検討の価値があるだろう。
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