イスカンダル計画を見てきました

マレーシア最南端の地図を載せよう、私が実際に見てきたところは、DANGA BAYとPuteri Harbourである。
(東南アジアの知識が全くない日本読者のために言うと、青い線の下にある小さな島だけがシンガポール、北はマレーシア(インドシナ半島の南端)、シンガポールの下にあるバタム島以南はインドネシア領、そして中東から日本に向かう石油がみんな、わずか10kmしかない狭いこの海峡を通ると思うと、少しは真剣に見ようという気がしてこないか?)
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まず、イスカンダル計画とは、

マレーシアのジョホール州ではイスカンダル開発計画に基づいて大規模な都市開発が行われています。2,217 ㎢というシンガポールの国土の約3倍に達する広大な地域に、多角的工業団地のほか、大学やテーマパーク、高級住宅地などが整備されつつあります。 イスカンダル計画は 2006 年にアブドラ大統領(当時)により発表されました。シンガポールに近接し、土地と人材が比較的安価に調達できることから、シンガポールと同一の経済圏として発展が期待されています。イスカンダル計画では、2025 年までに、人口を 300 万人(06年140万人)、一人当たり GDP を 31,100US ドル(06年14790ドル)にするなどの目標を設定しています。

という無理ゲーw である。総投資金額10兆円、2012年時点で累積額約3兆円を超えています。日本の被災地の被災面積はおよそ450㎢、復興予算19兆円ということなので、やっぱり経済大国日本ですね。人口3000万人しかいないマレーシア国内から、イスカンダル区域に160万人の人口流入を期待するのは難しく、隣には50年かけたマレーシアの経済特区とも言える国際都市シンガポールが存在する中で、ジョホールバルとシンガポールで外国人流入を奪い合う? ちなみにシンガポールは約100万人程度の外国人誘致に成功している。
イスカンダル計画の外国人誘致が難しい理由は、シンガポールの存在がそれを証明している。つまり160万人の外国人誘致をできるだけの環境を作ることができるなら、シンガポールの存在意義など無い。ジョホールバル(イスカンダル)とシンガポールは隣り合っているので、地理的立地条件は、中東やアフリカ諸国から、莫大なエネルギーを消費している中国や日本へ向うタンカーの通り道であることは一致している。しかし、物流的立地条件は、海の深さ、大型船が入れる港の存在だけで決まる。大型船が主流となった時代変化によって、港町の位置は変わり、千葉よりも神奈川、マラッカよりもシンガポール、そして中国の首都も山岳部から沿岸部へと移動した。ジョホールバルには、その港が無いから、今の状態なのであり、シンガポールが存在している理由は港だけなのである。
だったら、掘ればよいということで、なんと2兆円もかけて海底を掘り、ようやく中型船程度が泊まれる港を開発中で、大型船が止まれる港を人工的に作った場合の費用は、おそらくシンガポールの土地時価総額より高くなるべきである。大量輸送が難しいこの地域が苦しそうなのは、下記の誘致産業によく現われている。

イスカンダル開発計画では特に金融、観光、教育、物流、医療、クリエイティブのサービス業6分野及び、電気・電子、油脂・石油化学、食品・農産物加工の製造業 3 分野を重点分野として投資の誘致(略)

厳しそうでしょう? 最初に上がっているのが、金融・観光・教育ですよ。しかも観光資源ってなんなんだろうね? このようにどこでもできそうな産業中心にしか、産業誘致計画を練れないほどに不毛の地なのである。
エマージング不動産を売ってるちょっと詐欺師臭いセールス、これよく読んで勉強しなさい。エマージング投資でよくありがちなセールストークは、聞き飽きている。「今貧乏、人件費も土地も安いので、今後必ず経済発展します。」という国家のマクロ要因でしかなく、ジョホールバルだろうが、マレーシアだろうが、タンザニアだろうが、同じセールストークなのである。物件の価格も安いので、セールス側だけでなく、買う側の質も、この程度のセールスでも買ってしまう程度の質ということなのだがな。市場関係者なのに、ことエマージング投資となると、このようなマクロ要因しか主張しない人が多いが、個別株買う時に、マクロ要因だけで買わないでしょ?
つまり、ジョホールバル固有の優位性、さらにコンドミニアム・アパート・商業施設なんでもいいが、その物件固有の優位性の説明が無い。あるいはまったく響かない説明だ。そして、残念なことに、個別優位性の説明が無いのは、セールスの質が悪いことに起因するものではなく、本質的に個別優位性が無いからだ、と結論付けられることが多い。
Danga Bay
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Puteri Harbourのホテル
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ここだけ見ると、イミグレ前のジョホールバルの汚い雰囲気と異なり、かなり綺麗に整備されており、道路環境も素晴らしい。
イスカンダル計画完成予定図
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そして最後、2014年時点でのジョホールバルの航空写真、どこまで無理ゲーなんだwというのがわかる。
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まずは現時点では、Danga BayでもPuteri Harbourでも商業施設が中心に建てられている。高層ビル、オフィス・マンションはまだ建設中である。Lego Landが大きなテーマパークとして完成している。ここまでは良いが、人口問題、300万人都市には遠く及ばないので、各商業施設は賑わっているとは言い難く、閑散としている。私が入ったレストランは、昼13時にもかかわらず、客は我々しかいないという状態なのだ。シンガポール・ウッドランズから入り、ジョホールバルを西側に移動し、最後にセカンドリンクからシンガポール・トゥアスに戻ってきたのだが、ジョホールで唯一私が目を留めたのは、AEONだけであった。AEONは平日の昼間であったが駐車場がほぼ埋まっており、現在住んでいるジョホールバル住民に求められているのがわかった。
今回車でシンガポールからジョホール入りしたが、その際の出入国手続きは簡易なもので、とても便利である。ただイミグレはそれなりに時間がかかるので、付近道路は渋滞していた。運転免許は国際化されているようで、そのまま乗ることができる。
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