今まであまり触れてきませんでしたが、私は結構ゲーム好きです。
ディープな方が多い中で、自称ゲームオタクというと怒られてしまいそうなのでゲーム好きくらいが身分相応かと。
数年前にインターネットゲームにハマっておりました。
1人だとゲーム内でのアピアランスはあまり気にならないのですが、他のプレイヤーの目にさらされる環境下だと
私の”女心”に火がついてしまい、思いっきりコケティッシュに金髪ロングの黄色のミニフレアスカート、
アクセサリにカチューシャとフウセン持っちゃったりしてよ。
ったく、現実世界では、苦い顔して煙草吸いながらブオトコがプレイしてるとも知らず「バカ供が」と思いながら。
結構、おいしい思いをしましたよ。「あの服が欲しいんだけど高くて買えないなー。」
と通りすがりの男にボヤいたら、彼は黙って私に服を渡し去っていきました。
その時、買ってもらったのが、黄色のミニフレア。結局、最後まで愛用しちゃいました。
女は得だなー。ネットの世界ではずっと女で生きていたいと心に誓ったものです。
でも私も努力しなかったわけではありません。
設定は、親と同居のちょっとインテリ風OL(27歳)です。
ちょっと実世界でとらぶってゲームを中断する時は、必ず”お母さん”を登場させ、セクシャルな話は避ける。
親と同居という設定だと”お母さん”は、かなり使いやすい言い訳。
あまりにわざとらしい女言葉だとネカマ疑惑が発生しそうだったので中性的な言葉で話すよう心がけておりました。
同一画面内にレベルが上がった人が居たら、”Congratulations!”と言って颯爽と歩く。
インターナショナルにあこがれる、英語好き女といった演出です。
さらに、我ながら良い女だったと自負しているのは、聞き上手。男の話を聞く。
「すごーい」、「うんうん」といった居ガチな女の相槌ではなく、私はあなたの話を理解してますということを示唆する相槌。
ゲーム内に彼氏が居たのですが、大学での専攻が流体力学で、その関連の仕事をなさっている方でした。
彼の話を聞いた私の相槌は、
「私も大学の教養課程で受けたことあるような気がします。あんまり詳しく覚えていないんだけど
確かホースの中を通る水の運動とかって感じだったけ?」
とトボケ、質問形式で会話を終わらせると彼は得意になってその話をします。
ここで「じゃあ、Navier-Stokesとか解いちゃってたわけ?」
とか言うとオタクすぎてネカマ確定なのでそこまで言わないで、若干の教養を醸し出しながらも、
少しバカっぽくするのがポイントです。
なかなか良い彼氏でしてね、私は魔法使い、彼は戦士だったんだけど、彼はいつも身を挺して私を守りました。
私のわがままもよく聞いてくれて、マニアックな場所へのお宝ハンティングにも二人だけで出かけたものです。
二人のラブラブ最高潮は、私が彼に黙って作ったセカンドキャラで、
職業 武道家 黒髪、ハイレグレオタード&網タイ という格好で街を闊歩していたら彼とすれ違いました。
彼は振り返り、私を見つめているのがわかりました。
私が無視してすれ違ったので彼は言葉を発しませんでしたが、声をかけようとしているのが画面を通じてわかりました。
ファーストキャラとの名前の関連性もなかったので、彼は、その通りすがりの黒髪武道家女が私だとわかるはずも
ないのですが、彼は私に気付いていたのですよ。
プラトニックな関係だったけど、この瞬間が一番女心的にグラッと来たな~♪
ギルドの中でも、我々が結婚するのは確定的という雰囲気でした。
しかし、現実世界が色々忙しくて、参加頻度が減っていく中、レベルが私より下だった彼が私より上になりました。
最強の杖を彼は贈ってくれましたが、その頃から二人の間に若干の隙間が出来たような気がします。
そしてある日、プレイヤーサイトを見ていたら、彼のゲーム内結婚式の様子が載せられていました。
その時の俺の気持ちわかるか?
怒りで煙草のフィルター、噛み切りそうになったぞ。
ショックでなぁー。引退確定だったな。
彼の結婚後、最初で最後だったけど、彼に逢った時、
「最近あんまり参加できなくてごめんね。忙しくなっちゃって、辞めるかもしれないから
私が集めてきたアイテムとお金、ギルドのみんなで有効に使って。」
彼は何も言わなかった。私もそれ以上、何も言わなかった。
この時、彼は、画面越しに俺の目に浮かぶ涙を想像できただろうか?