カテゴリー: 債券投資(為替・金利・クレジット)

金融史から読み解く世界史 紙幣、金属主義からの脱却

利休が秀吉に斬られた理由の金融史的解釈

https://www.youtube.com/playlist?list=PLEusCtuo0BHKg_DJM1zP7MCPFXgMOMQn8


金融史から読み解く世界史 第一次グローバリゼーションと金銀交換比率3

金と銀はいかなる比率で交換すべきかと天才ニュートンに問うたらその答えは?

https://www.youtube.com/playlist?list=PLEusCtuo0BHKg_DJM1zP7MCPFXgMOMQn8


金融史から読み解く世界史~貨幣の3機能、必要条件1

魚やリンゴでは貨幣性を持たせるのは難しいの?

https://www.youtube.com/playlist?list=PLEusCtuo0BHKg_DJM1zP7MCPFXgMOMQn8&disable_polymer=true


ガンマトレーディングークリプト取引所の空売り・向かいのみ2/7

クリプト取引所は証券取引法(表現古い?)やSECの下には居ないので、FX業者と同じレベルの有象無象の世界です。FX業者は原則Aブック、Bブックと言って、Aブックは「うまい顧客」なのでカバー取引、Bブックは「どうせ損する顧客」なのでネイキッドで「向かいのみ」ということを行っています。クリプト取引所もそのような行為が氾濫しています。

全体再生リストは下記。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLEusCtuo0BHLZ5ZMqLLeGikiUHH5-2nsn


仮想通貨は少なくとも、さらに10倍は上がる根拠

フリードリヒ・ハイエクの「貨幣発行自由化論」(正直言うと俺は読んでないw)が、

貨幣発行自由化論 貨幣発行自由化論
F.A. ハイエク 川口 慎二

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同じくハイエクが「隷属への道」で言及していることは、「国家が通貨発行権を独占していることになんの合理性もない」ということだ。隷属への道を読んで理解すればわかるが、読んでない諸君らのための乱暴すぎる表現ではあるが、ハイエクに反してはいないだろう。

隷属への道 隷属への道
F.A. ハイエク F.A. Hayek

春秋社 1992-10
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岩井克人が日本語でそれをわかりやすく解説してくれていて、例えば

資本主義から市民主義へ 資本主義から市民主義へ
岩井 克人 三浦 雅士

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があるが、本を読むのがどうしても無理という「お忙しいw諸君」は、簡単にまとめたWeb Site

https://wired.jp/2016/10/12/katsuhito-iwai-interview/

にある、岩井克人が「貨幣商品説と貨幣法制説の両方を否定している」ところを理解することが、これから書くことを読む前提条件だ

仮想通貨の代表格であるビットコインに対するよくある批判は「なんの裏打ちもない」と「価格変動が大きすぎる」の2点である

香港ドルには、香港ドル7.8ドルに対し1USドルを保有することが発行条件という強い固定相場制、厳密に言えばカレンシーボード制を採用されているので、香港ドルにはUSドルという「裏打ち」がある。一方、当のUSドルにはなんの裏打ちもない。米国政府(正確にはFRBだが)が発行しているのであって、何かの価値を保証しているわけではない。兌換紙幣から不換紙幣への置き換えが起きた時点で、現在の米ドルや日本円には、「なんの裏打ちもない」。裏打ちがある=兌換紙幣、であることと、政府発行(中央銀行発行の意も含む)の区別がついてないならば、先ほど書いた理解の前提がない。俺のブログなんか読んでいる時間が1秒であるならば、「隷属への道」と「資本主義から市民主義へ」を嫁。読め(read)というのは、見る(see)のではなく、本を手にした後、その本に何が書いてあるか、自分の言葉で説明できる状態になることをもって、読んだというんだw わかるか。本を買って本棚に置くことは読んだとは言わねーんだ。

米ドルになんの裏打ちもない by 俺
国家が通貨発行権を独占する理由がない by ハイエク
貨幣商品説と貨幣法制説、どっちも間違い by 岩井克人

この3つは全部同じだということが、仮想通貨がなんの裏打ちもないということを批判するのに値しない根拠だ。

金本位制とニクソンショック、ニュートン平価、万有引力のあの天才ニュートンが、金と銀の交換比率は1:15.2、と定めたのはあまりにも有名なので、そのあたりの単語で適当にググればいくらでも説明文章があるだろう。金本位制という有限資源である鉱物に、予測不能に発展する人間の経済活動が縛られることに問題があったというのが金融史的な、兌換紙幣から不換紙幣への置き換え、また別に変動相場制への移行の理由と言えよう。

しかし、現在、金と銀の比率が1:15.2とはほど遠い比率で取引されているように、また、同じくニュートンが説明できなかった彗星の近日点移動をアインシュタインが説明したように、天才ニュートンといえども300年覆されないことはない。バーナンキさんも黒田さんも頭のいい人ではあると思うが、彼らが実行した金利政策や緩和政策がニュートンが提示した1:15.2の比率よりも、効果が長続きしないことは諸君らも同意してくれるであろう。そんな彼らが高い中央銀行の独立性をもって決定した”金融政策にのみ”によって変動する現在の為替相場を諸君らはどのように考えているのかね? QE3、黒田バズーカーってなんだ?

欧米至上主義と思われるのは不快なので、日本の話をするが、戦国時代、単なる土くれである茶道具が、一国(各藩)の徴税権と同じ価値を持つほどの価格を付けたのは、チューリップバブルとも、芸術的価値とも異なる。当時の日本は銀本位制であり、経済発展著しい戦国時代において、「兌換紙幣(銀本位制下の貨幣)から不換紙幣(=茶道具)への置き換えだった」と解釈することができる。

「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」 by ロスチャイルド

を地で行くのが、日本史上も起きていて、利休が秀吉に斬られた理由の解釈として、その茶道具のバリュエーションを利休が握るということは、通貨発行権を利休が握る=全てを利休が握る、とも解釈できる。

兌換紙幣の問題点は、ニクソンやそれより300年以上前に利休が指摘してくれていたことだ。そして、今から50年前にハイエクが、さらに日本でも岩井克人が、国家が独占している通貨発行権と不換紙幣の問題点を指摘していて、それを解決したのが、「仮想通貨」なのである。

岩井克人の言うところの「そうした電子マネーが出てきたときに、「貨幣がなくなる」ということをいろんな人が言ったわけですが、とんでもない。貨幣がなくなるのではなくて、貨幣は実体性を失った情報になることでより純粋化しただけなのです」

シッタールタをはじめとする様々な宗教で偶像崇拝が禁止されていたが、その理由は、偶像を作れば偶像そのものを信仰するようになり、思想そのものの本質が薄れることが偶像崇拝の禁止の理由だ。貨幣というのも全く同じことで、貨幣というのは信用のオブジェクト化なわけだが、貨幣が存在することで、貨幣そのものを信仰し、信用という本質を見失うので、「欲しいものはお金」とか意味の分からないことを言う奴が出てきてしまう。

偶像をありがたがる気の毒な人と、法制通貨に”裏打ちがある”と信じ込んで疑わない人は、ある意味同じだ。

米ドルあるいは日本円に、なぜ価値があるのか?

これを論理的に説明することはできない。だから国家が通貨発行権を独占している状態に何の合理性もない。テクノロジーの進化によって、テクノロジーで通貨所有を保証できるならば、兌換紙幣から不換紙幣に変わったのと同じように、法制通貨から仮想通貨に置き換わるのは歴史的必然現象と言えよう。

だから、ビットコインの価格変動が激しすぎる、これは事実だが、それは仮想通貨に問題があるのではなく、貨幣法制説に対しての疑惑が、その価格変動の根拠なのである。難しすぎる??www

理解を単純にするためにコペルニクスを思い出せよ。天動説だろうが地動説だろうが、月や太陽、あるいは遠く離れたシリウスの運動を説明する分には変わりはない。だが、金星や木星のような太陽系内の近所の星の運動を説明するならば、「地球も木星も太陽の周りをまわっているから、地球から見ると木星挙動はこのように見えることになる」という地動説的解釈がシンプルな説明になることがわかるだろう?

それと同じように、新しい通貨体系、金本位制からの脱却と同様、法制通貨からの脱却に基軸を置けば、変動しているのは仮想通貨ではなく、我々が手にしている現行の法制通貨制度が揺らいでいるのだよ。

現行の法制通貨から仮想通貨へ、完全に置き変わることを前提とした場合、仮想通貨は信用創造もしてないし、中央銀行も不要なことから、仮想通貨の時価総額の総和=全世界の流通貨幣量=各国の(マネタリーベースー中央銀行当座預金)と等しくなるべきだ。
現在のところの流通貨幣量は、ドル1500Bil、円1000Bilとなっている。ユーロとか調べてないが全世界で4000bil以上はありそうかなという想像はつくだろう。

一方、仮想通貨の時価総額の総和は、

https://coinmarketcap.com/

の一番下にTotalが出ているが約320bilだ。現在はビットコインがそのうち180bil(50%超)くらいのシェアだが。だから、仮想通貨の時価総額=全世界の流通貨幣量、こういう時代の流れを必然とするならば、仮想通貨の時価総額は少なくとも10倍以上にならなければならない。

ただし、仮想通貨の時価総額と私は言っているのであって、ビットコインが10倍になるとは言っていない。

ITバブルの時、もてはやされていたのは、AOL、Netscape、Sun Micro Systems、Nokia…、挙げればきりがないが、それらはすべて消え、その当時は存在はしていたが上場もしていなかったFBやGoogがITの寵児として世界でトップを取った。それをなぞらえて、ビットコインがSun Micro SystemsになるのかGoogleになれるのか、それは私にはわからない。

と、ここまで読み切った諸君がまだ私の言っていることを理解できてないとは思いたくないが念のため書くと

兌換紙幣->不換紙幣->仮想通貨 

の流れは必須である、それが「仮想通貨は10倍以上になる」(※ハイエクや岩井克人はこんなことは言っていないが、法制通貨に合理性はないという彼らの意見に同意している俺の主張だ。わかるか?)というバリュエーションの根拠だ、と私は言っているのであって、「ビットコインの推奨はしていない」。


香港ドルの残高がわずかになってしまった

9月末からジャカルタに遊びに行くので、インドネシアルピアの資金調達をしに、長慶大廔に行ってきました。まずは銀行でHKDをおろしてっと…。ついでに残高チェックを…、ムムッ、残高がかなり少ない。まだ大丈夫だが、次に香港に戻ってきたとき、確実に資金ショートだなぁ。とはいえ、同銀行にUSDがもっさりあるはずなので、それを香港ドルにすればいいし、中国にも、もっさりと元預金があるから困りはしないのだが…。

Chongking

Chongking

久しぶりの長慶大廔。まずは、前回、オーストラリア旅行の残金を換金する。私一人なら計画的にこういったことは起こらないのだが、投資一族のルールでは、「旅行代は出してやるがお土産の概念は俺には無い。だからお土産代は自分の小遣いから捻出せよ。」ということになっている。さらに、「現地通貨は俺がその日のスポットで売ってやる。余ったら最終日に俺が買い取ってやる」というルールもあるので、彼らが過大なお土産金額を要求してきて、案の定、そんなにお土産を買うわけもなく、余らしてしまったのだ。ただ、俺も甘くない。最終日にもスポットで買い戻してやるとは言っていない。過大要求の罰として2円抜きだ。

AUDに対する現地通貨への交換のスプレッドは、シンガポールのアーケードは0.3%程度(Midから)だったスプレッドも香港では1.0%(Midから)と広い。わー、財布の中のHKDがさらに増えたーw

そして、次はIDR(インドネシアルピア)と。ん? INR(インドルピー)はあるけど、IDRを扱っている店がほとんどなく、スプレッドは5%もある! 一物多価は許せん! 

やっぱり香港は東アジア、そしてシンガポールはASEANなんだなー。

と改めて思う。シンガポールのアーケードでもIDRのスプレッドはあまりタイトではなく1%弱は確実に取られるのだが、いくらなんでも5%も払うと、「スプレッド払えない病」が発症するか、「スプレッド払えない教」の経典に反するので無理。

これならば、スカルノハッタ空港の両替商でやったほうが得だ。あるいはブロックMのPlaza Blok Mの4Fにある両替商もなかなか良い値段なので、そちらでやっても良い。その際にHKDだとスプレッドが広そうだからUSDに替えておこう。

3000USDくださ~い。

香港はカレンシーボード制という強固な固定相場制なので、97年アジア通貨危機の際でも「HKDの為替レートは微動だにしなかった」ほどの安定性を持つ。ちょっと嘘か、通貨アタックを受けるとHKDは確かに動かないのだが、金利が上がるので、不動産と株が大暴落して大変だったんだがな。ま、それはどうでもよくて、固定相場制なので、HKDUSD間のスプレッドは0.1%とタイトだ。ここでHKD->USDにしておいてから、インドネシアにおいてUSD->IDRを取引すれば効率が良いだろう。

アジア通貨 ~HKD 通貨発行差益(シニョレッジ)

すなわちインドネシアの両替商でUSDのスプレッドが香港ドルのスプレッドより0.1%以上タイトであれば俺の勝ちだ。一応、現地で確認するが、0.5%くらい違いそうと予想している。HKDがUSDとスプレッド変わらないってことはあり得ないので負けは無いな、うんうん。

そして、財布の中のHKDがほとんど無に帰した。

そんなことを思いながら、帰りはフェリーで帰ろう~っと。香港島100万ドルの夜景を30円で楽しめるフェリー。好きなんですよ。夜景じゃないし、今日は一人なんだけど、乗って帰ろう。なんて尖沙咀の海沿いを歩きながら、ふと・・・、

ん~~~! 俺はとんでもないミスを犯している! 気づいた人いるかな?

これは循環取引だ。いや、将来的な循環取引を引き起こす、必負法だ! (注:これ僕の造語なんですが、読みはヒツマケホウが好ましいです)

俺は香港ドルが近い将来ショートするからドルを売って香港ドルにする予定だったんだ。なぜ香港ドルを売ってUSDを買ってしまったんだろう? 銀行窓口に行って、余っているUSDを下せばよかったんだ。ああ、3000ドルの0.1%×2=6USDも無駄に使ってしまった。

別に今すぐに香港ドルに換金する必要が無いので、戻ってくるまでの相場変動で、香港ドルが安い時に買い戻せば0.1%のスプレッドなど…という言い訳も、香港ドル=カレンシーボード制では、通用しない。0.2%もHKDが動いたら大ニュースになるくらい絶望的だ。

憎い憎いッ! カレンシーボード制が憎いッ! くやしいのぅ~くやしいのぅ~

もうええわー、フェリー止めた。電車で帰ろう…。

※計算間違いで、長慶のUSDHKD取引のAsk/Bidスプレッドは2%もある。HKDにスプレッドなんてあるわけないという固定観念で1桁間違えてしまったようだ。だが、私が取引した方向、HKD売りのUSD買いに関してはスプレッドがほぼゼロ。インターバンク7.756に対して、長慶が7.755なので、インターバンクより良い値段w なのだが、その逆のUSD売りに関しては長慶は7.6がベストビッドということだ。銀行で確認すると、銀行の取引値はミッドに対して対称で、7.718/7.793となっており、USD買いは長慶、売りは銀行ということを覚えておくとよいだろう。

つーかねー、AUDに関しても、長慶マンション、全然値段よくねーわ。銀行で交換した方がいい。


国債金利のマイナス誘導は増税

銀行の預金金利や住宅ローン金利が下がることで、国民生活にも影響が・・・、という論調ばかりなのだが、日銀の当座預金金利よりも、国民の生活に影響するのは、国債の金利がマイナス状態で維持されることが、見えない税になりうるという解釈が全くないことに違和感を覚える。
などと原稿を書いていたら、2月25日付のブルームバーグでようやく、その論調のニュースを発見した。
借金王の日本政府にマイナス金利の恩恵、入札で超過収入520億円
2016/02/25
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31MJ56K50Y001.html
新聞はもっとひどいか。なんでもかんでも「マイナス金利」のせい。初の「金利がマイナスの世界」とも書かれているが、短期の国債は随分前(日銀の量的緩和以降)からずっとマイナスで維持されていた。ってことは知ってる? って次元が多いか。それにしても10年国債金利の下落っぷりは激しく、驚いたわ。
すごいなぁ・・・。10年国債金利のチャートでも良いかもしれないけど・・・。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html
Gov-Bond-InterestRate-Chart_c.jpg
利払費と金利の推移
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.htm
金利と同じことだが利払費の推移がすごいと思うんだが・・・。このまま下がり続けると・・・、国債金利はマイナスになり(ってすでになっているのだが)、10年後くらいには、利払費が受けになり、歳入の部に計上されることになるぞ。このグラフも金利をマイナスまで用意していないようだし、その頃にはこの情報も見れなくなっちゃうのかな…。
「国の借金は次世代への負担」という論調は今後は止めて、「国債債務残高は将来の税収源」にすれば良いんじゃないかな。この超楽観視してよい日本の国家財政を、


坂の上の雲四 12~金策

もともと明治人は新聞記者や世論に対する認識が貧困で、日本人記者なども軍夫のような扱いを受けた。げんに日本人記者の服装は軍夫まがいの者が多く、ときにはシマの着物を着、尻っ端しょりしてモモヒキをはき、洋傘を杖がわりについて戦地にやってきている者もあった。参謀たちは、この内外の記者団と接触することをうるさがり、ともすればハエのように追っ払ったりした。このことが外人記者団の憤慨を買い、怒って本国に引き上げる者が続出し、自然、ロシア側の従軍記者の記事が世界中に流されることになった。この点、クロパトキンは巧妙であった。かれは遼陽決戦の終了早々、どさくさのなかで記者会見を行い、「我々は予定の退却を行っているのみである。その証拠に砲はわずか二門を遺棄したに過ぎない」と、詳しく公表した。日本軍の総司令部も同じく記者会見をしたが、数行の文章を読み上げただけであった。自然、世界じゅうをかけまわったニュースは日本軍非勝利説であり、このためロンドンにおける日本公債の応募は激減し、日本の戦時財政に手痛い衝撃を与えることになった
遼陽開戦での時点で、世界に映じた日本像は、決して勝利者の像としては映らなかった。それがロンドンにおける公債応募の激減につながったとき、日本帝国の元老たちははじめて飛び上がるほどに驚いた。日本にはカネがない。日露戦争が始まる直前に日本銀行が持っていた正貨(金貨)はわずか1億1700万円にすぎず、これでは戦争できない。この手持ちの金の7、8倍は公債のかたちで外国から借りなければならなかった。その公債募集について、日銀副総裁の高橋是清がロンドンで苦労していた。そこへ遼陽の「敗報」であった。これによってひとびとは日本の敗戦を見越し、いっせいに公債を売るか、手を引くかした。
金がなかった。戦場へ送るべき砲弾も、それを一手に製造するはずだった大阪の砲兵工廟の製造能力をはるかにしのいで消費が上回り、慌てて外国から買わねばならなかった。たとえば遼陽会戦が終わったとき、もう次の作戦のための砲弾がなく、9月15日、陸軍省では世界中の兵器会社に砲弾を注文した。会社名はアームストロング、カイノックス、キングスノルトン、ノーベルなどである。それらに当然ながら金を払わねばならない。その金の調達に、日銀副総裁の高橋是清が、秘書役の深井英五をつれてヨーロッパをかけまわっていた。ひややかに観察すれば、これほど滑稽な忙しさで戦争をした国は古来なかったに違いない。高橋が最初、この使命のために横浜を出帆したのは、この年の2月24日である。ロシアに宣戦してから半月後であった。このとき、彼の壮行会が横浜正金銀行でひらかれた。このとき維新以来日本の財政を担当してきた元老の井上馨が立ち上がってスピーチを試みたが、その時、「もし外債募集がうまくゆかず、戦費が整わなければ、日本はどうなるか。高橋がそれを仕遂げてくれねば、日本はつぶれる」
高橋は最初、ニューヨークへ行った。ここで2,3の銀行家に接触したが「とても」というのが、かれらの意向であった。アメリカはこの時期、英仏その他からさかんに外資を導入して国内産業を開発中であり、そのため他国に貸すような金がとてもなかった。この当時、フランスは大きな金融能力をもつ国であったが、しかし仏露条約の手前をもあってロシアには金を貸していた。高橋はイギリスに行った。イギリスとの間には日英同盟があるものの、英国が日本に戦費を貸与するというような性質の同盟ではない。高橋は、ロンドンにおけるあらゆる主要銀行や大資本家を歴訪した。が、結果は絶望的だった。
高橋是清がヨーロッパで実見したところ、ロシアの信用は開戦後いささかもゆるがないばかりか、パリやロンドンにおけるロシア公債の市価は、むしろ上がり気味であった。日本のそれはよくない。開戦前、日本の4分利付英価公債は80ポンド以上であったが、開戦後暴落して60ポンドまで下がっていた。「この不人気の中で、あらたに公債を発行しても、英国人大衆は応ずるかどうか」と思うと高橋の気持ちは暗かった。「ロシアなら、金は貸せる」 というのが銀行筋の常識であった。ロシアに広大な土地があり、鉱山がある。それを担保に取れば万一のことがあっても貸主に損はない。が、日本には担保にできるような土地も鉱山もなかった。

(クーポン + 償還差益÷年限) ÷ 単価 = 利回り
であるのだが、司馬遼太郎も年限まで書いておいてくれるとよかったのに…
5年債だと、(4+20÷5)÷0.8=10% -> (4+40÷5)÷0.6=20%
10年債だと、(4+20÷10)÷0.8=7.5% -> (4+40÷10)÷0.6=13.3%
1904年だろ? 戦争下のインフレ懸念や、国債の長年限化前ということで、5年債と推測しようか…と思っていたら…
http://www.nri.com/jp/opinion/chitekishisan/2005/pdf/cs20050402.pdf
によると、
55年債だったらしいw
55年債だと、(4+20÷55)÷0.8=5.45% -> (4+40÷55)÷0.6=7.88%
ぎょー、想定以上にまともな動きじゃん。80円から60円の下落の状況下でというと、なんだが基地外沙汰に聞こえるけど、5.45%から7.88%の下落の状況下だったんですね。いいですよね、キャピタルゲイン狙いの債券投資。懐かしい・・・。


家計の金融資産残高が1700兆円を突破

良いじゃん、めちゃくちゃ増えてるし。日本の民のみなさ~ん! 儲かってますか? 株じゃないですよ。給与を預金して預金総額が増えてても良いし、厚生年金として天引きされた分も年金資産なので、金融資産大きくなってるじゃないですか。お金持ちなんだから、みんな下向いちゃだめだよ~♪株を持ってて儲けている人が周りに居るかもしれないけど、そんなの気にする必要ないよ。給料もらって預金して増えているなら、株なんかに投資する必要は全くないと思うよ。
じゃあ、なんで俺は株やデリバティブに金を突っ込んでるのかって? 給料がゼロだからだ! 誰か俺に金をくれ。(コンプライアンス上ミニマム1億円からですw

家計資産の黒字、15年ぶり高水準、昨年度25兆円。
日銀が29日発表した1~3月期の資金循環統計で、3月末の家計の金融資産残高が初めて1700兆円を突破した。投資信託の保有が増えたうえ、株高で評価額が高まったためだ。現預金の残高も増えており、2014年度1年間の家計の資産と負債の差額からはじき出した黒字額ともいえる資金余剰は、15年ぶりの高い水準となった。リスク投資を増やす一方、消費活動などに慎重な姿勢もうかがえる。
 3月末の家計の金融資産残高は1708兆円で、前年同期から85兆円(5%)増えた。このうち53兆円は円安や株高に伴って時価が増加した分だ。内訳をみると株式が20%増の100兆円、投信は22%増の95兆円となった。現預金も2%増の883兆円となり、家計資産の過半数を占めた。
 「資産運用に前向きだが消費には慎重」という家計の姿は、資金余剰から見て取れる。家計は14年度に新たに25兆円の「黒字」となった。前年度比57%増え、1999年度(27兆円)以来の大きさとなった。
 投信や社債の運用が増えたほか、ボーナスの増加や高齢化による年金受け取りの拡大で現預金が増えた。日銀は「所得環境が改善しているのに消費や住宅投資が鈍いため、金融資産が増えている」と分析。現預金の増加は安全志向が残っている証しとみている。
 家計に対し、企業にはお金を使う前向きな姿勢が見え始めた。企業部門を示す民間非金融法人の14年度の資金余剰額は前年度比49%減の10兆円となった。08年度(9兆円)以来の低さだった。
 14年度は事業拡大に向けてコマーシャルペーパー(CP)を発行し、短期資金を調達する動きが拡大し、資金余剰額が縮小した。昨年10月の日銀の追加緩和による金利低下も、リース会社などのCP発行の追い風となった。リーマン・ショック直後に社債やCPの市場が機能不全に陥り、銀行借り入れが増えた08年度とは様相が異なる。
 国と地方を合わせた政府部門は24兆円の資金不足。景気回復に伴う法人税収上振れなどで不足額は前年度比22%減った。

日銀の資金循環統計から家計部門の推移を抜き出してみました。
P-Financial-Asset-Chart.jpg


アジア通貨よりも高いVolatilityを持つ日本円という事実

日本人は自国通貨が下がると喜ぶという世界でも稀な民族(唯一ではなく、もう一つはスイス)であるが、グローバルに経済がつながっている以上、円安は日本人にとって日本の地位が下がることを意味していることを再認識しておきたい。ちなみに私は円高になると「円高で日本はだめになる」、円安になると「円安で日本はだめになる」と言っている人たちとは異なり、首尾一貫して、円高は円資産の価値を相対的に上げると、超当たり前のことを言っているのだ。例えば
2009.03.12 ゆっくり見ると為替(FX)が通貨(Currency)に見えてくる
の記事でも、2009年、1ドル90円の時代から一貫して述べていることだ。円高のメリットを日本人に言っても通じないか? 円でしかものを見れない、円のみを尺度としてしか価値判断ができない、そんな円を信仰している信奉者には、アジア通貨はどう見えているだろうか?
アジア通貨がFree-Floatではないことは今まで触れてきたが、もう少し簡単な話をしよう。アジア通貨の値動きそのものをご存知かな?
アジア通貨の値動きと言えば、1997年のアジア通貨危機で大暴落した通貨群という印象があろうが、最近1年、3年、5年でどのように動いているか、知っているかね? アジア通貨は値動きが荒く、先進国の金融政策や景気変動に影響を受けやすく、米国の金融緩和停止、利上げを織り込みつつあるマーケット環境で大きく下落している? これがアジア通貨など見たこともないのに、そう思い込んでいる日本人の一般的な感覚ではないだろうか?
では実際に、基軸通貨であるUSDに対して、アジア通貨がどのように動いてきたか見てみよう。ドルに対する1年間のパフォーマンスとDailyで計算したVolatilityである。(Cocos債だトヨタAA種類株式だと緊急アップしたのでちょっと情報が古くて申し訳ない。計算時点は2015年6月15日)
Asia-Ccy-Perf-Vola-1y.png
中国人民銀行による作為的相場形成で自国通貨をドルに固定している中国元が1位だ。HKDはカレンシーボード制で固定しているのでVolatilityは無いに等しい。えーっとぉ…一番下がってる通貨は…何か見えるかね? 一番値動きが荒い通貨はどれかね?


トヨタAA種類株式のバリュエーションのまとめ

優先株や新株予約権について、今までもこのブログ上で言及してきたことがあったが、読者の反応が極めて弱いことから軽くツイッターでつぶやくだけで終わらせようと思っていたところ、たった1人の勇気あるツイッターフォロワーがこの私に対して、熱心に質問を繰り返してきたので、その結果をまとめようと思う。ツイッターではその本質的な内容について既に言及したことの繰り返しになるので、ストーカー並みに私のツイッターを追っている読者にとっては何の意味もない記事となろう。ちなみに”ブログ上”で私が言及してきた超重要な「優先株・新株予約権」についての記事は、ブログの右側にある「新株予約権タグ」をクリックすることでその全容を読むことができる。
トヨタAA種類株式は金融機関の発行するTier1証券と異なり、個人投資家向けに販売していることから、一般読者への影響もある。また、ちまたにトヨタが個人投資家相手に有利なファイナンスをしているとか、逆に割高なファイナンスだとか、引受証券の野村証券が不当に儲けているだとか、根拠に乏しい被害妄想が飛び交っているのも聞くに耐えないので、AA種類株のバリュエーションについて真面目にここで言及する。
トヨタAA種類株式とはいかなるものかは、トヨタが自身のWebにて、きちんと公開しているので参照されたし。
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/stock/share_2015/pdf/commonstock_20150616_02.pdf
↑を読みましたか? or 内容は既に知っていますか? Yesの人のみ続きにお進みくださいw まま、続き読んでから確認の意味で後で読むつもりでもOKだよw
私が見たところ、インターネット上の評価では、トヨタAA種類株式についての
0.5%~2.5%に毎年0.5%ずつ上昇するステップアップ配当。
発行価格=行使価格、株式に転換する権利が発生する価格。
5年間の譲渡制限。
の3点が重要視されているようであるが、
suzukimasayuki-chigauchigau.jpg
それらはAA株のバリュエーションの本質とは全く異なる観点である。種類株とはいえAAは株式なので満期が無い。株式に転換する権利と5年後以降発行価格の2.5%の配当もらえる権利が永遠に続く。
AA種類株式ホルダーの権利=株式に転換する権利+2.5%の配当をもらう権利+発行価格で買い取ってもらう権利
の3種混合の権利をホルダーは所有している。しかもその権利に時間的制約はないので永遠、かつ、上記の3つの権利はホルダーの好きなように行使できるので、以下のように最大値をもって書き換えられる。
MAX(無限年コールオプション、2.5%永久債、元本価格プッタブル)=MAX(行使価値、保有価値、買取請求価値)
ではこの3要素をより具体的にバリュエーションしていこう。


永久債利回りとクレジットスプレッド

三井住友、2000億円超調達へ、新型債発行、みずほも1000億円。
大手銀行が国際資本規制への対応を加速する。三井住友フィナンシャルグループ(FG)は7月中に2000億円以上の新型債券を発行する。みずほフィナンシャルグループも同月中の起債を計画する。海外展開する銀行への資本規制の強化をにらんだ動きだ。
 三井住友FGが発行するのは償還期限のない「永久劣後債」という債券。主な買い手は生命保険会社などの国内機関投資家だ。普通株などで算出される自己資本比率が5・125%を下回った際に元本が削減されるが、同比率が上向けば元本も回復するのが特徴だ。金利は2%台になる見通しで7月下旬にも発行する。
 みずほFGも元本回復の条項を付けた永久劣後債を1000億円以上発行する見通しだ。3月に1000億円規模の永久劣後債を発行済みの三菱UFJフィナンシャル・グループと合わせ、3メガバンクがそろって資本増強に踏み切る。
 背景にあるのは「バーゼル3」と呼ばれる銀行の国際資本規制の強化だ。2015年3月期時点では、資本金や優先株など中核的自己資本(Tier1)ベースの自己資本比率は6%必要だったが、19年3月期には8・5%になる。グローバル展開する銀行には一段の上乗せが求められ、三井住友FGは9・5%以上必要になる見通しだ。
 永久劣後債は中核的自己資本に算入され、三井住友FGは今回の発行でTier1比率を0・35%程度押し上げる効果があると見込む。増資と異なり、1株利益も低下しない。15年3月期時点の同比率は12・89%で、今は余裕があるが一段の規制強化もにらんで早めの資本増強に動く。過去の優先出資証券の償還に合わせ今後、中長期で1兆円を超す永久劣後債を発行する計画だ。

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さて、いよいよバーゼル3の資本増強が日本の金融機関でも観測されるようになってきたが、三井住友、う~ん、良いですねぇ。日本の銀行の先駆者的な感じが僕は個人的に評価しています。三菱UFJの発行事例を見ると、なんだかよくわからない発動条項でも発行して売れちゃうみたいだから、三井住友もそのノリでやっちゃうとなると、評価が変わるかもしれないが・・・。
おそらく日本の金融機関がこれから発行するTier1証券は、この三井住友型のコピーペーストになるであろうから、まずは、「自己資本比率が5・125%を下回った際に元本が削減される」という(エキゾ語で表現するところの)自己資本比率ノックイン条項は無視した、シンプルな永久債のバリュエーションについておさらいしておこう。
従来型のクーポンc(面倒なので年1回払いw)のn年の債券のキャッシュフローとバリュエーションは
債券価格
で表される。
一方、永久債のキャッシュフローとバリュエーションは
永久債価格 
で示される。(これがわからない人、まぁ居ないと思うがw一般読者は、「無限等比級数の和」でぐぐると、どこにでも書いてあるw)とにかく、永久債価格Pがあれば、その価格からインプライされる無限年クレジットスプレッドrは簡単に求めることができる。
自己資本比率ノックイン条項がどのように入るかまだわからないので書くことはできないが、そのマイナス分を考慮すると、
Tier1証券価格Q=永久債価格P-自己資本比率ノックイン条項K
なので、K=0と想定して得られるTier1証券クレジットスプレッドが3%の場合、K>0であるならば、無限年クレジットスプレッドrは3%以下となる。
Q=P-K=c/r-K
なので無限年クレジットスプレッドrについて解けば
r=c/(Q+K)
例えば、Tier1証券価格Qが100の発行当初、3%のクーポン、自己資本比率ノックイン条項Kのバリュエーションが10だとしたら
無限年クレジットスプレッドr=3/(100+10)=2.73%となる。
過去に欧州で発行されたTier1証券の例を見ても、発行当初から現在に至るまで、自己資本比率ノックイン条項K、すなわち、Tier1証券の資本性部分(特にリスク)については無視して取引されている。つまり、債券部門がTier1証券をクレジット商品として扱うのが実際の事例で、おそらく日本でも、そうなる。
Tier1証券のモデル化はきわめて難しく、保有目的やトレーディングの方法によって、様々な仮定を定め、主観的にバリュエーションせざるを得ないだろう。Tier1証券が価格Qで取引されていて、単に市場価格に合わせて時価評価Qとすると、それを無限年クレジットスプレッドr(上記の事例だと2.73%)+Kで評価するのか、Tier1証券クレジットスプレッドのみ(上記の事例だと3%)で評価するのと、当然ながら価格という意味でのバリュエーションは変わらない。変わるのはリスク管理で、自己資本比率ノックイン条項Kのバリュエーションが無視できないくらい大きくなる時、次回の金融危機懸念が起きた時、その違いが顕在化するだろう。
その時に慌てて、資本性を意識して、対応しようとしても時すでに遅しだ。仮に自己資本比率が低下して、クーポンが停止したとしよう。その場合、キャッシュフローはなくなるわけだから永久債としてのバリュエーションがかなり空虚なものになるのは想像に難くないだろう? その場合、永久債部分Pの価値を0として、自己資本比率ノックイン条項Kのバリュエーションで評価してしかるべきでしょう? これは永久債。つまり次回の金融危機が何年後に起ころうが、100%残存している素晴らしい爆弾だ。俺はそれを楽しみに待っている。
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仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 7/7~貨幣の非国有化

金融システムとの関係を考えるために、ハイエクの貨幣自由化論を見よう。フリードリッヒ・フォン・ハイエクは1976年に刊行されたDenationalisation of Money『貨幣の非国有化』)において、貨幣発行の自由化を主張した。歴史のかなり古い時点から、通貨発行権は国家が独占してきた。しかしハイエクによればそれには何の合理的な根拠も無い。むしろさまざまの問題をもたらす。その一つは、国債の貨幣化によって放漫財政が生じることだ。彼は言う「現代における政府活動拡大の大部分は、貨幣発行によって財政赤字を賄ったことでもたらされた。これによって雇用が創出されるという口実に基づいて」(p33)。「政府支出の増加は、政府がマネーをコントロールできるようになったために生じた」(p118)。銀行が独自の貨幣を発行するとすれば、各銀行が自ら貨幣の購買力を維持するために発行量を調整するので無秩序な増発はなくなる

各中央銀行が購買力を維持するために金融緩和や金利を調整してるんじゃないの? 野口さんの抜粋だけで本文全体を読んでいないためか私の理解が追いつかず、ハイエクとは意見が合わないなw 各銀行に任せた結果、アメリカのマネーサプライをコントロールするほどのモルガン家が誕生し、モルガンの死後その権利を奪うためにFRBが設立された。アメリカがわかりにくければ、利休が秀吉に斬られた原因の一説を挙げよう。戦国時代、信長などの努力によってか日本経済は著しく発展し、その経済成長が当時日本にあった貨幣を超えてしまったのだろう。当時は金銀両本位制で通貨発行に制限があったため、茶道具が登場し、茶器一つで一国(例えば土佐の国とか今の県)の徴税権=1年分の年貢に相当するような値段をつけた。茶器の取引は経済成長と金本位制からの脱却の産物。そして新・貨幣創造だったとも言えよう。その茶器の価値判定を利休がコントロールするということは、秀吉が通貨発行権を失うということになる
戦争するたびに国境線が変わっちゃうヨーロッパのロスチャイルドが
「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」
と言っているが、これを当時の日本に当てはめると、利休の茶器のバリュエーションが、通貨発行権を秀吉から奪い、事実上、利休が全てを握ることになるから、それが怒らせた原因だと言う。さらに、これを現在の日本に当てはめると、全てを握るのは国で、誰が法律を作ろうがどうでもいいので、立法家たる国会議員も誰でもいいから選挙も意味無いし、資本主義じゃなくなるどころか民主主義でもなくなる。まぁ、もうその道を進んでいるのが現状だと思っているがね。


仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 6/7~送金

送金コストは複雑でしかも場合によって異なるので、手数料リストを見ていてもよくわからないことが多い。この問題に関しては、世界銀行がRemittance Prices Worldwideという報告書を作成している。これは送金国32、受け取り国89の間で送金コストを推計したものだ。200ドル、500ドルを送る場合について計算がなされている。これは小額送金である。つまり、移民が本国へ送金する場合などが問題として意識されているわけだ。200ドルの場合、全世界平均で送金コスト率は2013年4Qに6.13%、14年1Qで5.91%だった。G8の平均は13年4Qに8.2%、14年1Qに7.73%だった。G8の中では日本が最も高い。最近15%を切ったが、これまでは17%程度だった。手段別で見ると、銀行の口座間振込みはかなりコストが高い。日本から韓国や中国に送金する場合のコスト率は実に30%を超える。これは世界で最もコストが高い送金経路であるとされる。

200ドルって送金しようとしたことないからわからないけど、そんなにかかるの?
http://www.mizuhobank.co.jp/direct/about_direct/gaikoku_sokin.html
他行向電信送金5500円+コルレス先支払い手数料2500円=8000円
ガーン・・・。恐怖の30%超は本当だった。ちょっとイライラする項目が2つ。
本支店向電信送信 5000円ってあるんだけど、みずほの海外支店で個人対応してるところあんのかよw
上限200万円(一ヶ月間で)ってことは、手取り2400万円以上のエキスパッツは困っちゃうね。みずほ使うと送金は最低でも8000円÷200万円で0.4%。高すぎw


仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 5/7~新興国の反応

エムペサ? ケニアが通貨先進国?
「タクシーの料金を携帯電話で支払うのはニューヨークでは難しいが、ケニアのナイロビでなら簡単だ」 英誌『エコノミスト』は2013年5月の記事で、このように伝えている。ケニアが導入したのは、携帯電話のSMSで送金するエムペサ(M-PESA)と呼ばれるサービスだ。ビットコインとは違う構造のものだが、仮想通貨の将来を考えるに当たって参考になることが多いので、以下にその概要を紹介しよう。このサービスは、ケニアの携帯電話会社サファリコムに出資した英携帯電話大手のボーダフォンが07年に開始した。エムペサの代理店で現金を預けて自分のエムペサ口座に入金してもらってから、、送金相手にSMSを贈る。メッセージを受取った人は、取次店でSMSと身分証明所を提示すると現金を受取れる。『エコノミスト』の記事のよると、ケニア成人人口の2/3以上にあたる1700万人がエムペサを利用している。エムペサを通じて行われる資金移動はケニアのGDPの約25%に相当する。エムペサ代理店は、ケニア全土で約4万店ある。相当不便な地域にもある。銀行なみに立派な窓口が並ぶ代理店もあるが、物置小屋のような代理店もある。ただし、額で見ると現金のほうが圧倒的に多い。ケニアの取引の約99%は、キャッシュでなされている。エムペサの全口座残高の合計は、銀行預金残高のわずか0.2%にしかならない。これは利用額に限度が設定されていて小額取引にしか用いられないためだ。エムペサ普及の背景には、携帯電話の電話機本体や通話料が安くなったことがある。携帯電話は安ければ1500ケニアシリング程度(1ケニアシリングは約1円)。アフリカでは銀行口座を持つ人の割合は人口の10%以下だが、携帯電話の保有者は60%に上る。ケニアでの携帯電話の普及率は70%にも達する。

うむ、アジア一国一愛人構想の意義の一面、エマージングから先進国市場への還流、ここにあり。恵まれすぎていると、かえって新技術に乗り遅れがちなのだ。


仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 4/7~ブロックチェーン

「ビットコインは、P2Pネットワークによるプルーフ・オブ・ワークでブロックチェーンを維持することによって運営されている」 こういってもほとんどの人にはチンプンカンプンだろう。それも当然。これは、ビットコインが始めて提唱した全く新しいアイディアなのである。
P2Pだとかプルーフ・オブ・ワークは維持するための”技術”なので、ブロックチェーンについての記述だけまとめよう。一定期間の取引記録は、「ブロック」と呼ばれる。ここに記録することが許されるのは「正しい取引」である。ここで「正しい取引」とはつぎのようなものだ。ビットコインの保有者だけが、保有額の範囲内において、他の人に送れる。意図した相手だけが受け取ることができる。二重払いは認められない。ある時点において、あるビットコインの所有者は一人しか存在しない。この記録が誰にも見られる形で存在し、書き換えができないようになっていれば二重払いは排除されるのである。ブロックは不動産の場合の登記簿のようなものだ。不動産においても二重譲渡の問題が存在するのだが、これに対処するために登記制度が採用されている。登記所が保管する登記簿に記載されているのが正当な保有者だ。ビットコインの場合も、ブロックに記録されているのが正当な保有者である。不動産登記との違いは記録の管理主体である。不動産登記を管理しているのは国の機関だ。これに対してビットコインでは、記録の維持を特定の管理主体が行うのではなく、コンピュータの集まりが行う。このネットワークはP2Pと呼ばれる。

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野口さんは他に暗号化や改ざんを防ぐ方法についても説明しているが、「ブロックチェーンとは、登記簿のネットワーク接続した世界中のコンピュータ上の分散管理である。」で良いんじゃないかな。
ここまで来て、なぜビットコインは変動相場制なのか、固定相場にしてしまえば良いではないかと思ったのだが、おそらくこれはマイニング・ブロックチェーンの維持の費用を参加者全員で負担しているというところが理解できてないと思われるので、もう一度戻って読み直そうw なぜそう思ったかと言うと少し次元を下げ、通貨創造という中央銀行の信用の分散管理ではなく、信用創造という市中銀行の機能を、管理主体無しの分散管理できるものなのか?と疑問に思ったからだ。


仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 3/7~貨幣の価値

2013年12月にバンクオブアメリカ・メリルリンチはビットコインに関するレポート(以下BAレポート)を公表した。ビットコインの経済価値についての定量的な分析なので、興味深い。同レポートはビットコインがeコマースで約1割の比重を持つ決済手段になり、国際送金産業において主要な役割を果たすようになるだろうとしている。そして1BTC(ビットコインの単位)=1300ドル程度がフェアバリューであろうとしている
BAレポートはつぎの3つの分野について分析を行っている。eコマースにおける決済、国際送金、そして価値保存手段だ。
第一のeコマースについては50億ドルのビットコインが必要と推計する。その根拠は次のとおりだ。2012年のアメリカのB2C eコマース売上高は2240億ドルであった。他方で12年の個人消費総額は11兆ドルであり、世帯の預金及び現金の合計は0.7兆ドルであった。後者を前者で割った値は0.06だ(BAレポートはこれを「貨幣の流通速度」と言っているがこれは誤りだ。この値は流通速度の逆数であり「マーシャルのK」と呼ばれる)。過去10年間の平均値は0.04だ。つまり1ドルの年間個人消費のために4セントのマネーを保有していることになる。eコマースの流通速度が通常取引と同じだとすると、100億ドルのマネーが必要になる。このうち10%がビットコインになれば、10億ドル相当のビットコインが必要だ。世界経済におけるアメリカ経済のシェアが約2割であることを考慮すれば、全世界での必要額は50億ドルと推計される。
第二は、国際送金におけるビットコインの価値だ。現在、国際送金業務を行っている企業としては、ウエスタンユニオン、マネーグラム、ユーロネットが大手で20%のシェアを占めている。これら三社の株式時価総額の平均は45億ドルだ。ビットこいがこれら三社の平均と同程度の役割を果たすようになると考えればその価値は45億ドル程度になると考えられる。
第三は、価値保存手段としての価値だ。ビットコインが銀と同様の評価を得られるとするとその市場価値は50億ドルに達する可能性がある。
これらを合わせると、約150億ドルになる。ビットコインの発行総額と比較すると、1BTCの市場価値は1300程度と評価される。以上の推計に関してはいくつかの技術的な点を指摘しうる。
第一に、eコマースのための必要額について。ここで用いられている値を流通速度に換算すれば25程度になるが、この値は高すぎるのではないだろうか? 流通速度は分子と分母にどのような変数を持ってくるかで値はかなり変わる。日本の場合、経済全体の貨幣残高としてM2(現金通貨+国内銀行等に預けられた預金)、売上高として法人企業の総売上高を取ると、最近時点での流通速度は1.6程度である。仮に流通速度が2であるとすれば必要額は推計の約10倍となり、500億ドル程度となる。またeコマースの約10%がビットコインで決済されるとしているが、この仮定に格別の根拠はない。別の値を想定すれば結果は大きく変わる。
第二に、国際送金業務の価値について、「ビットコインの価値が三社の時価総額の平均になる」というのも確たる根拠はない。ウエスタンユニオンの時価総額は90億ドルだからそれと同じになるとすれば90億ドルになる。また現在の国際送金業者の扱いを全て代替してしまえば、ビットコインの価値はずっと大きくなる。
ブロックチェーンを用いる仕組みとして、ビットコインは唯一の者ではないことにも注意が必要だ。すでに類似コインが200以上登場している。したがってビットコインの供給量が一定限度に抑えられるといっても全体のコインの供給量が一定になるわけではない。また、インターネット上の通貨が直ちにすべてを代替してしまうわけでもない。多数のコインが出てきたときに均衡がどうなるか。政府は介入すべきか。するならどのようにすべきか。これらは、経済学のテーマとして極めて興味深いものがある。
ビットコインの送金コストはどの程度か
0.01BTC以上の取引は無料。最近では1BTC=460ドル程度。したがって、5ドル程度以上の取引なら無料になるわけだ。それ以下の取引の手数料は場合によって違うが、典型的な場合は0.0001BTC程度、これは0.5セント程度だ。つまり5円程度である。なお、ドルなどの現実通貨と両替する場合には、そのコストがかかる。どの程度かは両替所によって異なるが、普通は1%程度のようだ。ビットコインにおいてもきわめて小額の取引の手数料は一定率以下に引き下げられない、という事情がある。なぜなら、細かい取引が増えてしまうと、ブロックチェーンに負担がかかって、全体の取引が滞ってしまう危険があるからだ。
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以上で見た「コスト」は実は表面的なものだ。なぜならブロックチェーンを維持するにはマイニングが必要であり、それには電力コストがかかっているからだ。そのコストはなんらかの形で利用者が負担している。経済的に有益なサービスはタダでは提供できない。それはビットコインの場合も同じなのである。問題は、そのコストが従来の送金手段に比べて低くなるかどうかだ。マイニングに成功したコンピュータは、1回25BTCの報酬を得る。これは利用者負担になっている。それは具体的にどの程度であろうか? UBSはコストは4%程度であるとし、「クレジットカードが1~3%程度であるのに比較して決して低くない」としている。これは取引手数料と採掘されたビットコインの合計を取引額で割った値である。したがって取引量が増えれば、コストは低下する。現在はまだ利用者が少ないのでコストが高いが、将来は低下する可能性が高い。


仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 2/7~通貨の信認

通貨革命の影響は、通貨にとどまらない。その中核であるブロックチェーン技術は、より広範な応用範囲を持ち、さまざまな経済取引に拡張可能だからだ。金融資産の取引が今はない分散市場に移行する。新しい資産が作り出されて所有権の概念が変わる。経営者がロボットに置き換えられた企業が登場することさえありうる。一方で優れたアイディアを持つ人は直ちに事業資金を調達して事業を現実化できるので社会の進歩は加速されるだろう。顔が見えないサイバー空間においてかつての地域共同社会にあったような信頼関係を確立できるとの主張もある。そして人々が自由意志で参加する世界政府が作られ、地球規模での直接民主制を実現できるというのだ。これらは現段階では構想にすぎないが、根拠のない妄想ではなく、実現への道筋が示された可能性として語られているものだ。本書の副題を「ビットコインは始まりにすぎない」としたのは、こうした意味だ。

後に野口さんも述べているが、野口さんもビットコインに投資すべきか否かを問うているのではない。もっと言えば私もそうだが、先行者利益が上がるとも限らないという否定的な意見も述べている。IT革命の時、現在のアップルやグーグルを想像できたか? 当時注目されていた企業群、ネットスケープ・AOL、サンマイクロシステムズ、ノキア・・・、こいつら全部回避して現在生き残っている優良企業だけを選定できたかね? 大きな時代の変化の片鱗として見ておくべきだという見解はごもっともである。ビットコインと表題で謳ってしまっているので、この本ではビットコイン・ビットコインと連呼しているが、ビットコインと言わず新ネットワーク電子通貨と読み替えれば恣意性が無くなるだろう。
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今世界ではどの国も一つだけの通貨を持ち、法廷貨幣の発行権は国と中央銀行が独占している。人々はこの制度が唯一の者だと考えているが、ハイエクは、この制度のために財政膨張がもたらされ、また景気変動が起きるとした。そして、貨幣発行における政府の独占を排し、銀行が独自の貨幣を発行する制度を提唱した。ここでは中央銀行は存在せず、各銀行が自ら発行する貨幣の量を調整する。それらの間で競争が起こり、優れた貨幣が生き残る。

1913年までのアメリカを思い起こす限りはハイエクの考えには懐疑的だ。FRBあえて連邦準備銀行と訳すが、その設立前は各州が勝手に通貨発行していた。その結果、圧倒的な資本力を持ったのがジョン・ピアモント・モルガンをはじめとするロック・フェラーやカーネギーで、国家の根幹たる民主主義をも脅かすほどの巨大資本と独占だったはずだ。FRB設立により、モルガン家の通貨発行権を剥奪し、スタンダードオイルは反トラスト法(独占禁止法)で解体された。
中央集権と地方分権は相反する考えとして、一般的だと思うが、私の考えでは資本主義(集中)と民主主義(分散)もまた集中と分散というバランスの中では相反する思想だと捉えている。野口さんが仰っている通り「時代の偉大な循環」という観点では集中と分散を繰り返しながら人類は発展してきたので、IT化とグローバリゼーションは分散化の流れであることは確実だろう。
近代金融史的に見れば、2008年は境になると思うが、Beforeリーマンショックは、金融コングロマリットの形成(集中)であったのに対し、Afterリーマンショックでは、1931年のグラススティーガル法を思い起こさせる銀証分離が起こっている。集中と分散が周期的に発生する限りでは無いのがアメリカのすごいところで、金融コングロマリット化の最中でも、NYSEとNasdaqの台頭、ひいてはダークプール・PTS(私設取引所)の拡充、これらの存在を最良執行義務という法で担保し、分散化も同時に奨励している。東証・大証併合、金融緩和にGPIF、国家に集中の方向でしか話題が無い日本市場は全国有化の道を歩んでいると主張する私の見解もあながち否定できないだろう?

2014年の2月末、ビットコインの私設取引所であるマウントゴックス(Mt.Gox)が取引を停止した。多くのマスメディアはこれをビットコインの取引そのものが停止されたかのように報じた。「取引停止」「ビットコインの脆弱性露呈」等々の見出しが誌面に躍った。しかし、崩壊したのはビットコインと通貨を交換する両替所に過ぎず、ビットコインそのものではなかった。例えて言えば、アメリカ旅行から帰ってきてドルの使い残しがあった。成田空港の両替所で円にしようとしたら、事故で閉鎖されていた。このことをもって「ドルは崩壊した」と言うようなものである。重要なのは「両替所はビットコインの維持システム(取引をブロックチェーンに記録し更新するシステム)の外にある」ということである。両替所はビットコインシステムの利用者であり、運営者では無い。だからマウントゴックスが破綻してもビットコインの運営そのものには影響が無い。いま、銀行強盗があって日銀券が盗み出されたとしよう。この場合、「銀行は広い意味での通貨制度の一部だから、日銀券の脆弱性が明らかになった」と言うだろうか? 普通はそうは言わない。ガードが甘かったのは被害にあった銀行である。日銀はそこまで責任は持ってない。ましてや個人が自宅で保管している日銀券の盗難までは到底責任持てない。「これは日銀券維持システムの外で起きた事件であり、日銀券の信用が失われたわけではない」と考えるのが普通だ。
「システムの中核部分で問題が生じる」とは日銀券の場合で言えば大量の偽札が流通した時である。こうなれば日銀券の信用が損なわれる。ビットコインの場合で言えば中核部分であるブロックチェーンが攻撃され、そこで問題が生じた時である。そうなればビットコインの信用が損なわれる。しかし、今回起きたのはそうしたことではない。マウントゴックスが破綻したとき、P2Pによるブロックチェーン更新作業は何ら支障なく続いていた。したがってビットコインの取引そのものはもちろん継続していた。これで明らかになったのは次の二つだ。第一はマウントゴックスのサイトがハッカーに十分な備えをしていなかったことだ。第二はハッカーがビットコインの価値を認めていたことである。ブロックチェーンを破壊してしまえばビットコインの価値はゼロになってしまうので経済的利益は得られない。誰も価値が無いものを盗もうとはしない。「盗まれるのは価値があるからだ」というのは、犯罪行為を分析する際の基本命題である。

ハハハ、さすが元大蔵官僚。戦後の日本において「泥棒がカネを盗んだ」というニュースを誰よりも喜んだのは、まんまとカネを盗んだ泥棒ではなく、通貨を発行している側の人間なのである。
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仮想通貨革命 ビットコインは始まりにすぎない 1/7~集中から分散へ

本書の表題で、私は「革命」という言葉を用いた。ビットコインは(あるいはより広く仮想通貨は)いかなる意味で革命なのか。ハンナ・アレントと、『革命について』(On Revolution)の中で、「レボルーション」という言葉はもともとはコペルニクスの著作の表題『天体の回転について』(De Revolutionibus orbium coelestium)にあるように、天文学の用語であったことを指摘している。この言葉が意味するのは次の2つであった。第一に、その運動が人間の力では押しとどめることができないものであること。第二に、循環する周期運動であること。政治的な文脈においても「レボルーション」はこの意味で用いられていた。この言葉の政治的な意味合いが大きく変わった時点は、世界史上、正確にわかっているとアレントは言う。そのときを境に、第一の意味が強調されるようになり、第二の意味は忘れられたというのだ。その時点とは1789年7月14日の夜である。バスティーユ監獄での国王軍敗北の知らせをヴェルサイユで受けたフランス国王ルイ16世は、「これは反乱だ」と言った。その意味は事態を収拾する手段を王が持っているということである。知らせを伝えたリアンクール公爵は、直ちに王の誤りを訂正し、「これは革命です」と言った。その意味は第一の意味、つまり、一国王の力を超えるものであり、天体の運動を抑えられないのと同じように抑えられないということだ。

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フランス革命好きだから、本質ではない部分なのですが、印象してしまいました。


第2次中国全土落下傘計画 5/8~中国の銀行は年中無休

日本人のお友達と4人でディナー
Saffron
住所: 東平路21号(×衡山路)
電話番号:021-64683081
http://www.saffronshanghai.com/
http://r.gnavi.co.jp/shanghai/jp/cs67742/map.htm
地下鉄、10号線「上海図書館」下車後、淮海中路を西に進み、乌鲁木齐路右折⇒東平路左折です。タクシーは東平路と衡山路の交差点で降りてください。
なぜか中国でインド料理。私が指定しました。私の友人はグルメで、カレーが好きです。日本料理なら店の名前だけ教えてもらえば、自分で選べますが、私にとってはインド料理はメニュー選びが難しいからです。良いなぁと思ったのは、彼が前菜で頼んでくれた、カリフラワーのインド風唐揚げ?やたまねぎのインド風かき揚げです。野菜なので軽く、後に出てくるカレーで意外に食欲が伸びます。さすが、私と同い年だけあって、おじさんの胃袋の具合もよく心得ています。
お食事会の前にコスト削減のため、近所のコンビニでビールを買おうとしたところ、私のお気に入り銘柄、小麦王とハルビンビールがおいてなく、代わりに、三得利(サントリー)が置いてありました。アサヒスーパードライ以外の日本のビールをアジアのコンビニで見るのは初めてかもしれません。値段は500mlで4元の普通のビールと7元のプレミアム純生です。「シンガポールでプレモルはそれなりの所に行かないと飲めない」と言ったら、プレミアム純生は、プレミアムモルツではなく、中国国内生産で、サントリーは中国(というか上海)では、大衆向けのブランドを目指しており、老西門の聞いたことのないようなコンビニにも置かれているということです。サントリーの経営戦略に納得です。アジアは中国さえ押さえちゃえば、後はおまけみたいなもんだからね。ただ、上海ではそれなりに頑張っているけど、長沙では、「雪花」というビールしかありませんでした。一口に中国を押さえるといっても一筋縄では行かず、各地方・省を攻略するのは一つの国を攻略するのと同じくらい大変です。


2014年最も読まれたニュース

日本語版くだらねぇな。日本語によるブルームバーグユーザーの偏りが顕著に表れた結果と言えようw
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英語版の方がより民主的な結果となる。
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私の主観では、2014年の最大の出来事は「FRBの金融緩和の縮小」の一言に尽きる。しかし日本に住んでいるアマ投資家の先輩は、日銀の量的緩和やGPIF改革は意識しているのだが、QEシリーズはあまり注意を払っていないということだった。最も読まれたニュース日本語版を見る限り、GPIFと日銀ばかりに目が行ってしまうのも無理はないか。
彼に説明した文章をそのまま載せてみよう。
日銀とFRBは共謀している
QE1 1725bil 中長期国債・MBS
QE2 600bil 中長期国債
QE3 650bil 中長期国債・MBS
QE3は2013年9月~2014年9月までの13カ月なので月平均平均50bil(5兆円)のMBSの買いあげでした。ご存じのように75bilから始めて10bilずつ段階的に減らし10月に終了したものです。
日銀の量的緩和は、2013年4月に年間60~70兆円の量的緩和を行なうとしたので、月間5兆円。FRBに代わって日銀がやりますということで数値が一致しています。


第2次中国全土落下傘計画 1/8~オンラインバンク封鎖

中国国内の人民元預金があるのだが、なんとオンラインバンクが規制変更によりロックされてしまった。定期預金が今年の下半期から来年前半に向けて続々と満期を迎える中、定期預金のロールのオペレーションが封鎖されてしまうと、得られる金利リターンの喪失金額があまりに大きすぎるので、中国に、緊急出動することにした。例年通り、香港に行こうと思っていたのだが、今年は中国・湖南省の密偵部隊中国のマネキネコ猫ちゃんが現在上海に居ること、この前シンガポールに遊びに来た大学時代の友人が上海に勤務していること、地元の後輩が上海に勤務していること、とオンラインバンキング封鎖解除に加えて、3人居るのなら・・・、ということで上海行きを決定した。
中国元投資は、元の値上がり益よりも金利による収益が大きい
中国元の実態を知らない愚か者が、中国元の値上がり益を期待して、「人民元は買い」などと言っているが、少なくとも私が始めてからの6年間、08年初頭(7.2CNY=1USD)~14年現在(6.1CNY=1USD)までの人民元のドルに対する値上がり益は20%にも満たない程度である。一方、中国オンショアの定期預金は期間・タイミングによるが、3年か5年の定期預金ならば5%以上で回っていたので、その間に得られる金利によるリターンは約7年分でざっくり35%である。リターンの2/3は金利から来るものなのだ。中国オフショアの人民元預金は、オンショアに比べて、金利が低く、また1年より長い長期の定期預金が無かったりするので、リターンは半減するくらい大きな問題なのである。
中国の国内の定期預金は固定利回りなので、利下げ前に5年でFixしてしまえば、5年間金利の見直しはない。とか言っていたら、私の上海入りの3営業日前に、中国人民銀行、予想外の利下げ。

中国利下げは銀行に逆風、中小企業への融資増期待できず 2014年 11月 24日 14:01
上海 22日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)は21日夜、予想外の利下げに踏み切った。中小企業支援を狙った措置だが、不良債権の増加や利益率の伸び鈍化に既に直面している国内銀行にとっては、収益悪化につながりかねない。
人民銀行は1年物貸出金利を40ベーシスポイント(bp)引き下げ5.6%に、1年物預金金利は25bp引き下げ2.75%とした

ぐぉっ!! 間に合わなかった・・・。あと一週間早く出発してたら、「やっぱり、俺って天才なの? 神がとりついているの?」 発言になったのですが、そんなにいつもうまくいかないですね。「嫌がらせか!」というくらいのタイミングで利下げ喰らっちゃいましたwww 悔やんでももう遅いんで、短めの定期預金でロールします。


ジャカルタ潜伏 4~借金して車を買うことの正当性

プラザインドネシアの牛角で、先輩とそのインドネシア人の友人と3人でお食事です。日本人相手のインドネシア語の先生をしているので、日本語は大丈夫です。一人焼肉に躊躇は無いのですが、単純に一人で食べられる量が少ないので、一種類で終わってしまうのがちょっと悲しい。3人居ると良いですね。日本に比べると少し高いですが、アジア平均の料金、一人あたり300,000IDR(3000円相当)です。
インドネシア人「職業投資家ですか。私にも投資教えてください。」
よくある質問だw 必負法はあっても必勝法はない。「これは絶対儲かる」と言うヤツは、基本的な法的知識が無いのは確実な、低レベルの詐欺師である。こちらから教えることは、これだけはやるなという禁止事項だけであまり面白くないので、逆にこっちが聞きたいのだが、「私には欲しい物が無い。だからあなたが欲しいと思っているものを教えて欲しい。家と車が挙がると思うが、どんな家(マンション)に住みたいのか? 立地が重要だと思うが、なぜそこに住みたいのか? その理由を聞きたい。私にはこの広いジャカルタのどこの地域が価値があるのか判断がつかないからだ。」
もちろん、初対面なので、こんな詰問ではなく笑顔でもう少し平易な言葉で質問したのよw
しかし、話していて面白かったのが自動車購入について、私もこの便利なジャカルタで、バスもありタクシーも安いのになぜ車が必要なのか? と厳しい質問をしてしまったが、インドネシア慣性系では、車を購入を正当化する一つの理由を発見した。私の先輩が、「借金して車を買って、その金利負担が非常に高い。」と言ったのがきっかけだった。USD慣性系でみればIDRは年間10%以上下落しており、実質インフレ率も10%ある中では、預金よりも借金が戦略的行動である。確かに金利は高いかもしれないが、給料が去年と今年でいくら上がったか? あるいは物価がどのくらいあがっているかを考えたら、悪くない行動だ。しかも、インドネシアでは車の減価償却、中古車市場での値下がりのカーブが緩く、車の下取り価格が、10万km走行なら75%、20万kmなら50%と高い価格で売れる(もちろん年数や状態なども影響するが中古車市場の目安として)。インドネシアルピアが年間10%値下がりする慣性系なので、3年で25%減価なら、現金保有より優れているという、まさに高度経済成長と悪性のインフレなのである。これは我々世代の日本人にはとても理解できない感覚だからこそ、ジャカルタに来て学ぶべきことなのである。
(相手がインドネシア人なので、「通貨の信認という超基本的な社会インフラさえないインドネシアだからこそ、通貨の価値、バリュエーションについて改めて思いを馳せ、先進国市場に還流させるという発想なのだ!」というインドネシアを悪く言うような表現・難しい単語は避けました。)


ジャカルタ潜伏 2~次なる成長が難しいインドネシア

遊蔵へGo!
とりあえず、ドンッ。チャンギ空港で買ってきたウイスキーをボトルキープ用に遊蔵に納入。インドネシアでは、酒類の入手が難しいので、持込に寛容です。
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東南アジアのとがり顎にDiorのお土産を渡します。どうやら私が買ったのは伝統的なEau De Toilletでしたが、ご希望は新バージョンのEau Fraicheだったようで、少し怪訝そうな顔をしています。「銘柄の別、株数、売買の別、値段。これは注文の基本4か条だから!」などと説教しても誰も笑ってくれそうも無いので心でつぶやきました。
1年ぶりのジャカルタ、友人と遊蔵の女の子に、長く伸びすぎた髪の毛をつっこまれますw 長い髪の毛は女性に評判悪いですよね。私のあだ名は、
ハゲ坊主->
モーツァルト(長い髪の毛で毛先が巻いていたため)->
ライオン(縮毛矯正後の毛先がまっすぐで、最近伸びてきた根元がカールしているため)
に変化しており、ライオン君で頑張ってますw 辮髪、愛新覚羅溥儀まで伸ばしたい気持ちもあるものの、その途中の過程で、「宗教家」っぽい怪しい髪の毛になりそうなので、肩のちょい下くらいまでで止めましょう。


鬼のように面倒な国家間銀行送金

トレーディングは楽。もっとも手がかかるのが送金。日本の証券会社の場合、証券会社があたかも銀行のように送金できるが、海外にあるネット証券は、銀行機能を持っていない。
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絵で描くとこのような構図になっているとしよう。青が銀行・証券間、緑が銀行間、オレンジは証券会社が銀行内に口座を持っていて、資金移動が伴わない銀・証セットだという場合もある。
1.新規送金先登録
AMLの観点から第三者への送金は、金額に制限があったり、申請が必要だったりと手続きが発生する。新規の取引先で無い場合でも、下記のように、例えば、カネが左下の証券会社にあって、右下の証券会社で取引したくなった場合、2回送金しなければならないので、直接薄い赤のラインを引く、同様に2回送金を避けるために薄いオレンジのラインを引く場合は、やはり新規送金先登録をしなければならない。
最もイライラするのが、手作り感満載の送金先指定のフォーマットである。例えば、ある銀行の申請書だが、


続・オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い、グリーク(リスク指標)の見方

プットを買いまくって、金利リスクがえらいことに
米国で得意の暴落待ちポジションを作る、Volatilityを買いながら、GammaはShort、Deltaは若干Longくらいのポジションが心地良いため、プット・カレンダースプレッドを中心にポジションをバシバシ重ねていくと、何が起こるだろうか?
ここから先は一般・アマチュアの人のために少し丁寧にいうと、まずこれを理解していないと無理なので、読んでいなければこっちをお先にどうぞ。
2011.09.01 %Gammaとは何か?
%Gammaがわかった上で、%Vegaやその他と合わせてみる見方については以下。
2014.07.07 オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い
↑に基本的なことは書いてあるのだが、その実戦編・続編としてこの記事があるので、早速、具体的な話に入ろう。


自分のアタマで考えよう 1/4 ~新興国から先進国への思考の還流

せっかく新しい、情報を見たのに既に頭の中にある知識を引っ張り出してきたら、新しい思考は生まれません。知識はちょっと横に置いておき、得た情報から新たに考え始めて、今まで見えていなかった結論にたどり着けるのです。
「知識」は過去!「思考」は未来!
知識が思考の邪魔をするため、誰にとっても自分が詳しい分野において斬新なアイデアを受け入れることは、よく知らない分野においてそうすることよりはるかに難しいことです。よく知らない分野であれば、革新的なアイデアを寛容に受け入れる人も、自分の専門分野については驚くほど保守的であったりします。保有する知識が多すぎて、どんなに斬新なアイデアを聞いても頭の中から引っ張り出してきた知識によって「そんなことは不可能だ、できるわけがない。」と否定してしまうからです。「詳しくなればなるほど、その分野での新しいアイデアに否定的になる」傾向が見られたら、「知識が思考を邪魔している」ことを疑ってみた方が良いでしょう。
反対に思考力のある人は、自分の専門分野においてさえ革新的で柔軟です。それは彼らが常にゼロから考えているからです。時代が変わり、世の中が変わり、新しい現象が出てきて新しい情報に触れたとき、過去の知識ではなく、目の前の情報から考えることができるかどうか。それが「考えることができる人」とできない人の分岐点です。もしくは、「時代の変化に気がつく人」と気がつかない人の違いともいえます。

ちきりんの本が、アジア一国一愛人構想の新たな一局面を言語化したな。
・アジアの動乱の収益化
・国民としての権利の買収
・高度経済成長の体感
過去の経験や知識が通じない新興国の原始的状態を見て、そこで得た新思考を先進国市場に還流させる。New!


日本全土落下傘計画 東北編 4/4~うなる復興マネー

中小企業庁の資料はなかなか面白かった。経済産業省より、鉱工業生産指数の推移、平成22年を100とした時、2011年3月が全国85.8、東北65.2まで落ち込んだが、2013年12月に全国100.1、東北101.2にまで回復。
中小企業庁
仮設施設整備事業 354億円
中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業 4347億円
被災中小企業施設・設備支援事業 334億円 無利子の融資
津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金 666億円
東日本大震災復興特別貸付 5兆6298億円 0.2~1.4%
東日本大震災復興緊急保証 2兆1830億円 ~0.8%
小規模事業者経営改善資金貸付 1820億円 1.2%
復興予算は全体で5年で19兆円ということだから、そのごく一部ではあるものの、お金はジャブジャブしていそうです。エクイティによる出資など不要っぽいですよね・・・これでは。政府主導で低金利融資されてしまうと、銀行融資ですら入り込むのが厳しそうです。
税制優遇
産業復興機構等が債権放棄を行う場合の期限切れ欠損金の優先適用等 (法人税・法人住民税・事業税)


素人がハマっている必負法 2/3 ~FX(Margin)の行く末

Q1.現値100が、明日100を超えている確率は?
Q2.現値100が、1ヵ月後100を超えている確率は?
Q3.現値100が、1ヵ月後100.1を超えている確率は?
Q4.現値100で買って、1ヶ月間で0.1を抜く(儲ける)確率は?
A1.これはみんなわかるだろう、50% あまりにも期間が短いので、ドリフト項は気にしなくて良い。
A2.これも50% えっ、ドル円を想定するなら金利差分だけフォワードが下がるから50%未満なのでは? とか細かいことを気にするのはプロフェッショナル諸君だけだ。これはアマチュア向けの解説だから50%で良い。
A3.これも50% アービトラージフリーが崩れている? アマチュア向けの説明において、こんなもんは誤差だよ。気になるなら49.5%でも良い。
A4.の答えが重要で本質なのだ。99%となる。
デイトレード・スイングトレード、テクニカル・チャート、どんな言い訳をしてもかまわないが、FXの素人連中がやっているトレードのほとんどが、0.1%抜きに代表される、ちょっと上がったら売る が基本である。
現値100が「1ヶ月後100.1を超える確率」と「1ヶ月で0.1抜く確率」の差を理解していないから、意味不明の宗教的ロジックを信仰することになる。


人民元売却計画ステージ2 12/16~債券投資家と

わー、尖沙咀(チムサーチョイ=チム)だ。久しぶり~。もう2週間以上滞在していますがほとんど銅羅湾と羅胡なので、初チム。私は香港に住んでいた時は、Island側だったので、カオルーンは、チムもほとんど知らず、当時ですら、MTRチム駅で迷うぐらいのレベルでした。Islandにいると、銅羅湾から中環までの間でほとんど全てが解決してしまうので、ほかは行く必要が無いし、香港やシンガポールはそれほど深掘りして面白い地域でもないので、利便性と効率重視で。多分初チム、ラス・チムでしょうw
国金軒 Cuisine Cuisine,The Mira (さてどれがレストランの名前なのかわからないですが名刺にそう書いてあります)
3F The Mira Hong Kong, 118 Nathan Road


人民元売却計画ステージ2 10/16~ユーロマネー、オフショア人民元

タイのチェンマイを出国してからシンガポール、香港、広州、香港、羅胡、香港、羅胡(繰り返し・・・w)と1週間で4ヶ国、国境越えを2日に1回している感じだ。パスポートのスタンプ(出入国記録)が、アジア一国一愛人構想の稼働状況を物語っている。人民元売却計画ステージ2、本格稼動である。
いきなりつまづいたw 紅磡(ホンハム)駅からKCRで移動していたら落馬洲(Lok Ma Chau)に着いてしまった。確かにKCRは上水(Sheung Shui)から行き先は分岐して羅胡と落馬洲に分かれているが、今まで意識することないほどに羅胡行きが多かったため、落馬洲直行は無いかと思っていたのだが、直行あります。上水まで戻って羅胡に。さらに羅胡のイミグレで65歳以上専用レーンに並んでしまい、また並び直し。


人民元売却計画ステージ2 9/16~香港の人民元取引規制

香港に戻ってまた銀行です。忙しないなw 人民元売却計画ステージ2なので、前回、すなわちステージ1の様子はこちらに詳しく書いてあります。
2008.10.30 RMB(中国元)の売り
50,000RMBを預けようとすると・・・「一日上限は20,000RMBです。それ以上は0.25%の手数料をいただきます。」 
!! しかも定率!! 一気に大量に預けて安くする作戦も通じません。 0.25%も取られるのは許せないなぁ・・・。この点が5年前との変更点ですが、長い長い人民元売却過程の出口付近の経路が狭くなっており、人民元・輸送速度が20,000RMB/Dayと極端に遅くなっている。まずい・・・、このスピードでしか預金できないとなると香港にいつまで居続ける事になるのかわからないw
この変更は、多少たじろいだが、杓子定規な銀行員に怒ってもしょうがないので、別の売却経路を探すことにしよう。同銀行別支店にて、また20,000RMBを預けてみる。何も言われない、チャージも取られないw ゆるー、ゆるすぎるw さすが香港。支店めぐりをして、並んだり、お札数えたりするので、一日辺りに回れる支店の数は知れているが、これで大分安心だ。推測ですが、同一支店に1日2回行ってそれぞれ20,000RMB預けても何も言われないでしょう。最近、「この馬鹿がっ!」とブチ切れることが少なくなりましたでしょ。言われたことしかできない杓子定規銀行員は、機械・プログラムと思えば頭にくることもありません。馬鹿を怒ってはいけません、こちらの都合のいいように利用すればいいのです。なにしろプログラムですから。


(欧州)金融債は面白い

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2013.03.14 欧州系バーゼル3対策、名前が変だよCoco Bonds
で細かく書いたが、自己資本比率に応じて資本に転化される債券。Contingent Conversion、略してCocoなのだが、実態はCapital Trigger Mandatory Conversion条項を持つ債券で、自己資本規制対策なわけだから債券というよりエクイティなのだが、年率何%という債券的なキャッシュフローを持っているため、債券扱いで、債券プレイヤーに取引されている。劣後債、永久債、転換社債、優先株は、永久債型、転換社債型(コールオプション付)、MSCB型(ストライク変動)、株式転換型(プットオプション売り型)からCocos(自己資本比率トリガー)まで様々な商品が時代とともに生まれ、
仏ソシエテ:2回目のTier1証券発行を計画
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MXKJ3Q6KLVSL01.html
などのように、ソシエテ・ジェネラル、バークレイズ、クレディ・スイス、BBVAなど欧州金融機関トップバンクが次々とTier1証券・Cocosを発行している。金利を何%というので比較される債券のような扱いだが、自己資本規制対策なので、資本性の強い商品であり、株式に転換される可能性がある債券というメザニン性=デリバティブ性が非常に魅力的である。エキゾチック・デリバティブの復活は望めないが、自己資本規制がある限り、金融機関債市場(と言いたくない自己資本だから種類株と優先株と主張したい)は不滅であり、なんかそっち関係のお仕事、ありましたら、私もやりたいんで、立候補しますw よろしく~♪


2013年の投資一族 勝つこと、勝ち続けること、それが一番大事

あけましておめでとうございます。数値が出揃ったところで2013年の世界の株式市場を振り返ってみます。年末にも少し触れたようにエマージングが壊滅、特にエマージング通貨がほとんどドルを下回り、ドルを上回った通貨は、EUR、CHF、CNY、GBP、KRWとなっています。円はインドネシアルピア並みに下落しています。日本居住の皆さん、いいですか? あなたの円建て資産は18%も下落しているのです。「円安で外貨預金が儲かった」などと言っている閉鎖的な見方をしている諸君はこのグラフをよく見て世界で何が起きているかを認識すべきです。アベノミクスなど起きていない。米国主導の世界景気に引っ張られているだけの結果であり、日本株はS&P500を下回っているのが現状なのである。
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オプションなんて勉強するものじゃないです。まずは債券いっときまひょ

20代前半にしては、しっかりとしたコメントを書く将来有望そうな若い衆の質問に答えていこうと思う。タイトルは若者の主張を全否定してしまっているが、若い衆の貴重な時間と金をなるべく効率よく使ってもらいたいという、せめてもの親心なのである。
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>投資一族の長さんは現物は一切やらずにオプション絡みのトレードしかしないのですか?企業内で役割を振られている場合は分かりますが、基本的に自由にやられてるようなので気になりました。
株がメインです。オプションは追加的なものです。個人で取引したのは初めてというレベルですw 詳細は下記に書きましたが、
2013.06.10 初めてのオプション取引 1/2 ~口座開設・取引まで
「暴落はいつ起こるかわからないが、まだ起きそうも無い感じがしていて、株を買うのに絶好のタイミングとはとても言えない。」、言い換えると、「ショートで向かったら踏まれそうだし、ロングを新たに積み増すのも嫌だ」という相場観、
というのがオプションをはじめた理由です。もう少し現実的に言えば、2008~2009年に株を買って、一切売らずにBuy & Holdしていたとしても、4~5年経つとその期間の配当、それからTOBなどのイベントによる売却・キャッシュ化などで、ドンドン現金が増えていき、無視できない金額になってきます。迷惑なことにアベノミクスで株価が上がってしまい、買い増しするには高すぎる株価、金利も低くて債券運用も怖すぎる。でも現金は余ってるという状況下で唯一残された選択肢という苦しい状況です。


新株予約権付社債のリパッケージとは(SONYソニー、2017年満期、転換価格957円)

新株予約権付社債=旧称・転換社債=英訳・Convertible(以降CB)ですが、CBの行使価格は2017年満期ソニーの新株予約権付社債の場合(以降はソニーの場合)、957円で株に転換できる社債ですから、株価が十分に上がった場合は、株と同じ経済効果になります。逆に株が下がった場合は行使できないので、単なる社債(ソニーの場合ゼロクーポン債なので、満期に元本が返ってくる割引債)と同じ経済効果なります。CBは一つの商品で、株(配当、貸し株)、オプション性(Volatility)、債券(金利、クレジット)など、全ての要素を持ったハイブリッド商品なのです。
投資主体によっては、CBのハイブリッド性を嫌い、オプション部分のみが欲しい(ヘッジファンド)、あるいは債券部分だけが欲しい(三井住友銀行)というニーズがあります。CBの債券部分は、株に転換できるという性質上、負債の中で最もエクイティに近い劣後部分となるので、通常のCredit Spreadよりも高くなる傾向があります。逆に言うと、オプション部分だけが欲しい投資主体は、これを標準的な(シニア債もしくは劣後債の)CDSでヘッジすることはできません。発行量があまりにも多い場合は、CB専用のCDS(CBのCreditを引き受けてくれるCDS)が出てくる場合もあります。
そうした複数の投資家と発行体のニーズを満たすためのリパッケージですが、
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為替・FXをチャート分析している諸君へ警告

FXのプレイヤーの数は多く、その中でも必死にチャートを分析しながらトレードしている素人諸君が多いであろうから、為替とチャート分析というのがいかに相性が悪いか、はっきり言えば、為替のチャート分析が、いかに主観的誤解を導きやすいか ということについて言及しよう。
これはある個人投資家が、「株よりもFXの方が、チャート分析が楽だ」と発言したので、「てめー、OTC取引、為替の一物多価性を知った上での発言か?」と思ったことが、この一筆を書くに至った経緯である。素人の発言に対してこんなに根つめる必要がどこにあるのかという読者諸君らの意見もあるだろうが、そういうテクニカル信者も数の上ではかなり多いことは認識すべき事実である。プロフェッショナル諸君も株と為替の相関などを計算する時の注意すべき点が含まれているので参考になるだろう。
日本で一般的と思われるローソク足チャートは、基本四要素、Open High Low Closeでチャートが構成される。取引所集中取引、一物一価の株式であればチャート、すなわち四本足は一意に定まるが、24時間OTC取引で一物多価で取引されるFX・為替取引のチャートの難しさについて言及しようと思う。


欧州系バーゼル3対策、名前が変だよCoco Bonds

イギリス系銀行、Lloyds,Barclays,RBSなどを中心に欧州系の銀行が発行していたとされるCoco Bondsと称されるものは何か? まずは、ちょっとわかりにくいFTの解説をご覧頂こう。後に私が解説を加える。
Contingent convertible bonds explained
Are they bonds? Are they stocks? Or are they actually catastrophe insurance?
Bankers declared the birth of a new asset class – contingent convertible capital notes, nicknamed CoCos – after Lloyds Banking Group announced a successful take-up of a £9bn exchange of CoCos for some of its existing hybrids.
Regulators think these instruments are the answer to banks’ capital prayers because they clear up the uncertainties of existing hybrids by converting into equity at a pre-set trigger and price.
But how do CoCo bonds work? Our interactive feature explains.
chanel-contingent-conversion.jpg
Coco Bondsとは、Cocosとは何か? 自己資本比率が下がった時に株への転換が発動する社債である。自己資本比率が下がる=赤字を出す≒株価が下がっている ということなので、株価が下がった時に株になる債券である。いわゆる一般的な新株予約権=転換社債=CB=ConvertiblesのようなCall Optionが付いた社債ではなく、Putを売っている社債なので、クーポンが高めになるのである。
Co-Co条項、Contingent-Conversionという言葉をすでに知っている人は、投資一族のブログ読者と言えども少ないと思うので、一般にCo-Coと言えば、というのを控えて、”従来”Co-Coと言えばに言い直すが、従来型のCo-Co条項は、条件付転換というのは変わらないが、転換価格が120%だとしたら、140%になったら120%で転換できる価格制限とか、転換できる時期に制限があるという条項である。FTの文中にちょっと出てくる”contingent convertible capital notes”とあるがCapital Contingent Conversionと記述しても良いくらいに思える。
ではこのCapital Continget Conversionが発動するのは、Core tier 1 Capital Ratioが5%以下になった時、と想定しよう。現在のtier1 Capitalが10%あるとするならば単純に株価が現在の半分(50%下がる)になった時に株への転換が発生すると仮定できる。(もちろん、Total Capital Ratioが株主に帰属する資本なので、それが15%だとしたら33%下がった時に転換が発動すると仮定すべきである、という反論はありだろう。) そもそもTotal Capitalと株価(時価総額)の関係も状況によって設定できると思うが、大事なことは、Tier1 Capitalが下がった時、ということは株価の下方に発動条件がある。つまり、Knock-In条項付に近いと言えるだろう。四半期ごとの決算上の概念なので、一般的なKnock-In条項の連続参照ではなく、四半期一度の離散参照ではあるが、仮定に仮定を重ねる話なので、連続参照・離散参照の差異は細かくこだわらなくても良いだろう。
ここで、Capital Contingent Conversionは、Knock-In Put売りを内包した社債であり、いわゆるAmerican Call Option買いを内包したConvertiblesとは全く異質なものであることがご理解いただけたであろう。銀行の資本規制の都合上で作られた商品ではあるが、この商品を批判するには当たらない。銀行都合が悪ならば、会社都合で増資発行される普通株式も悪とみなさねばならないからだ。しかし、うまく投資家心理を突いてきているのは事実で、これはエキゾチックオプションでもそうなのだが、Put売れというと躊躇してしまう投資家に対してPut売りを後押しするKnock-In条項が有効なように、ここでも事実上のPut売りストラクチャーを自己資本比率トリガーというKnock-Inで、後押ししているのである。期間が長いオプションであれば、PutとKnock-In Putの価格差はほとんど無いこと(言いすぎ?大きくないくらいが事実か?)が、発行者側の背景にある。
転換価格が固定されている場合と変動する場合があるようなので、ここではCoco Bonds,Cocos一般について語りたいので特定しない。だが、一方、一般に言えることは、高いイールドになればなるほど、資本性を強く帯びてくる。Coco Bondsのイールドのクレジットスプレッドに対する超過分は、自己資本利率が低下した時に株を引き受けさせられる義務を履行する対価にある。高いイールドほど、株式に転換させられる確率が高い。状況によっては株に強制的に転換されるというプットの性質は、優先株性が出ている。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/90ef357a-34ad-11e2-8b86-00144feabdc0.html#axzz2MFqLTUq6
この記事では、バークレイズは、”the first high-trigger total-loss bond”と記述している。Cocoに比べるとLossという言葉が入っていて、ネーミングセンスのなさを感じるものの実態はよくあらわしている。私が実態に即してこのCocosを命名するならば、Capital Trigger Mandatory Conversion という性質を持つPreferred Stockの扱いだ。Mandatoryという言葉は投資家に嫌な印象を与えるので、商売としては不適切なネーミングではあるが。
【クレ・デリ系関連記事】
2013.02.18 外食3社の新株予約権発行とTOBのサンドイッチ・ファイナンス
2011.10.24|PIMCO、日本の銀行のCDSを売却
2011.03.02: 絵でわかるCDS講座
2011.01.12: 最強ヘッジファンド LTCMの興亡 ~天才が描く収益設計
2010.11.15: 三田氏を斬る ~多彩な商品、CB/PS系
2008.12.04: CBとCall Option+Bondの違い for Beginner
2008.12.03: CBとWarrant+Bondの相違@8591
2008.09.26: 凡人のShopping@9001 Hybrid Finance
2008.09.25: 世界一のお金持ちの楽しいShopping@GS PPS+Warrant
2008.09.21: CDSはCorrelation Derivatives 
2008.04.17: 一族家における投資教育 ~CDO 
2008.03.20: 一族家における投資教育 ~新発CBとIPO






貿易収支の見方

ユーロ圏の貿易収支が出ていたのだが、貿易収支だけを見るのと、国際収支統計全体を見ると見方が変わると思うので、日本の国際収支を見てみよう。
12月のユーロ圏貿易収支:統計概要(表)
2月15日(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が15日発表した12月のユーロ圏の貿易収支の概要は以下の通り。

==========================================================================
12月   11月   10月   9月   8月   7月   6月  3カ月
2012   2012   2012   2012   2012   2012   2012    平均
==========================================================================
---------------ユーロ圏、季節調整前-------------------
貿易収支          11.7   13.0    9.0    8.3    4.2   13.6   12.7    11.2
輸出            143.4  164.0  169.4  153.5  152.1  162.3  161.9   158.9
輸入            131.7  150.9  160.4  145.1  147.8  148.7  149.3   147.7
域内間取引       115.5  139.9  144.3  134.3  117.6  135.5  139.2   133.2
----------------ユーロ圏、季節調整後-------------------
貿易収支          12.0   10.5    7.1   10.2    8.0    6.3    n/a     9.9
輸出            153.6  156.5  155.6  157.8  160.2  155.1    n/a   155.2
輸入            141.7  146.0  148.5  147.5  152.2  148.8    n/a   145.4
域内間取引       129.7  133.5  133.3  134.5  137.8  135.8    n/a   132.2
==========================================================================
12月   11月   10月   9月   8月   7月   6月  3カ月
2012   2012   2012   2012   2012   2012   2012    平均
==========================================================================
-----------------EU、季節調整前--------------------
貿易収支          -0.7   -1.9  -10.0  -13.7  -14.3    1.7   -1.3    -4.2
輸出            132.6  146.6  151.4  137.2  139.7  149.2  146.3   143.5
輸入            133.3  148.5  161.3  151.0  153.9  147.6  147.6   147.7
域内間取引       201.5  247.1  255.2  236.6  214.5  233.8  240.7    -0.1
-----------------EU、季節調整後--------------------
貿易収支          -4.2   -3.8   -9.7  -10.3   -7.7   -6.8    n/a    -5.9
輸出            138.5  141.3  139.9  142.1  145.0  141.0    n/a   139.9
輸入            142.7  145.1  149.7  152.4  152.8  147.8    n/a   145.8
域内間取引       228.4  234.5  234.1  235.7  240.9  236.9    n/a   232.3
==========================================================================
注:数値は10億ユーロ。
出所: 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)

日本の国際収支 暦年データ
kokusai.png
単位 億円  財務省より
貿易収支はオレンジ部分。2011年にはついに貿易赤字だーということですが、日本政府はあんまり困ってなさそうということがわかるのが、水色の所得収支の増加。二つを足したものを右の緑に記しておいた。
国税局が移転価格税制を声高に主張し始めた2004年から貿易収支は激減している。日本で作って、海外で売って、利益は法人税の安い海外にという構造は許されなくなった。2005年から2010年にかけて、資本収支が大きな赤字を出しているのは、この間に企業は海外に生産拠点をシフトさせ、日本国内は、産業空洞化が進んだことを示している。2009年の外国子会社配当益金不算入制度と合わせて、外で作って、外で売って、収益だけを日本国内に還流させる方向に変わっていることを、所得収支の増加が示している。
アジアで遭遇する製造業に勤めている友人たちは、がんばってお仕事しているようであるが、インドネシアに工場を作り、現地の人を雇う限り、日本の雇用は減りそうだ。日本の若い衆は、仕事が無いと困っているかもしれないが、日本企業の株主や日本政府は、それほど困っていなさそうだということがわかる。
では、日本の若い衆が本当に仕事が無くて就職できていないのか?
総務省 統計局の労働力調査で、10年の推移を見てみよう。
W-Survey.png
10年前の数値と比べると、就業者人口ってまったく変わってない。全体の就職率=就業者/総数、25-34歳の75.9%から79.4%に上がっていて、35-44、45-55も人口と就業者数がほぼ10年でパラレルシフトしている。リーマンショック・空前の円高で収益悪化・失われた20年と言いながらも、大規模なリストラも無く、終身雇用型でこの10年も変わらずやってきたことをデータが示している。ニートや職にあぶれている人がネットで騒ぐようになっただけで就職率はほぼ変わらず、むしろ改善しているのですね。
【市場概観】
2013.01.04 世界の株式市場・指数2012年
2012.09.07 金融崩壊 昭和経済恐慌からのメッセージ 1/4~1910年大戦景気
2011.01.25|政治と株価 総理就任期間と株価の相対パフォーマンス
2010.09.21: 株メール Q8.レバレッジの効用と弊害
2010.05.12: 中国株先物が取引が開始
2010.03.30: 日経平均配当指数 そもそも日経平均が変な指数
2009.12.14: HとAどっち?
2008.10.15: 製造業至上主義的産業構造分析
2008.07.17: 車業界勢力図
2008.06.19: 原油先物の取引高
2008.01.14: またも出た 異なる時価総額ランキング
2007.12.29: 時価総額の計算方法
2007.12.21: 小型株は一部割安感有り
2007.11.30: 中国株はチキンレース





外食3社の新株予約権発行とTOBのサンドイッチ・ファイナンス

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神戸物産、ジー・コミュニケーションのスポンサーへ
[東京 15日 ロイター] ジー・コミュニケーショングループ企業によると、神戸物産(3038.OS: 株価, ニュース, レポート)がジー・コミュニケーション(名古屋市)のスポンサーになる。同グループの外食事業に対し、神戸物産グループが食材の提供を行っていく。
 ジー・コミュニケーションは、第3者割当増資を実施し、神戸物産が18.9%を出資するクックイノベンチャー(兵庫県加古郡)がすべて引き受ける。この結果、クックイノベンチャーは、ジー・コミュニケーション株の68.18%を所有する親会社となる。その後、完全子会社化する。また、同時に、ジー・コミュニケーショングループのジー・ネットワークス(7474.T: 株価, ニュース, レポート)、ジー・テイスト(2694.OS: 株価, ニュース, レポート)、さかい(7622.OS: 株価, ニュース, レポート)の3社が発行する無担保転換社債型新株予約権付社債の全額(総額30億円)を神戸物産が引き受ける。
 ジー・コミュニケーションの親会社で、3社の実質親会社だったフーディーズは昨年8月に破たん、同社保有株の処分などが課題となっていた。Gネットワークス、Gテイスト、さかいの3社に対し、親会社であるジー・コミュニケーション(名古屋市)が株式公開買い付け(TOB)を実施する。GネットワークスのTOB価格は1株62円、Gテイストは1株31円、さかいは1株62円。TOB期間は2月18日から3月15日まで。

ロイターのニュースがわかりにくいので、まとめてみました。2月15日時点の引値、TOB価格、行使価格を並べました。まー、ひどい会社なんですが。ジー・ネットワークス、ジー・テイスト、さかいの3社が、新株予約券の発行をし、同時にDiscount TOBも行うということである。
G-com-G.png
行使価格が現値から12-15%ほど食い込んだド・インマネ・ファイナンス。株数は発行済株式数の45%相当の数量。払い込みが98円なので、行使価格を2%割れても、転換して売り込めば儲かります。TOBのそぶりを見せて株価維持を狙っているのでしょう。神戸物産は買収しまくりなので、40%Discountで買ってもいいと。神戸物産の後ろにいる銀行群はここ2-3年で200-300億円貸し込んで、買収工作を手助けしています。
現在、3社合わせて時価総額76億円ですが、TOB価格で買えるならば、52億円となります。しかし、株主構成を考えると、ジー・コミュニケーションの持分を差し引くと必要な買収金額は28億円です。
kobe-g.png
ひどいよな。これ・・・。株式市場の冒涜を銀行が後押ししちゃ、駄目だよな。こういうの見てると日本株買いたくなくなるわw
「会社を株主利益最大化を目指して経営するよりは、お客様と従業員のために存在してると考えている」 と思える例が、大企業でも多く見られる。販売価格ありきで、コストが上がったら儲けが無くなるみたいな価格の決まり方とか・・・
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2008.12.03: CBとWarrant+Bondの相違@8591
2008.09.26: 凡人のShopping@9001 Hybrid Finance
2008.09.25: 世界一のお金持ちの楽しいShopping@GS PPS+Warrant
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2008.04.17: 一族家における投資教育 ~CDO 
2008.03.20: 一族家における投資教育 ~新発CBとIPO




シティバンク社債を5年越しに売り、キャッシュを補填

EBRD 0.5 2012/12/04 AUDのDDBが昨年末に満期を迎えた。07年9月に72.4で買っているのでRealized Yieldは6.85%。AUD建てのTotal Returnは41.9%(5年と3カ月で)。金利課税0のシンガポールに住んでいるのでDDBを買う意味は無いのだが、割債の成長ラインがどうしても好きなので最初から持ち切るつもりで購入したものだ。これを買うための資金はJPYを売り、AUDを手に入れたのだが、その時のAUDJPY Rateは92円。今1月10日時点では93円なので、円建てで考えても43%で回ったことになる。
昨年末に地獄の手紙が届き、これら債券が置いてあった口座が来年から口座管理手数料60000円/四半期取ると宣言してきたので、残りのCitibank社債もこのタイミングで売ることにした。
C 5.875 2012/02/22 USD を07年12月に93.50(Dirty Base) 6.3%程度のYieldで買ったものだ。
2007.12.14 久々のお買い物 C 5.875 FEB 2033
によれば厳密に計算して、6.561%って書いてあるな。ハハハ。当時の記録が正しいです。
それが最近、106(Clean Price)辺り、Yieldで言うと5.3%にまで上がってきている。12月25日から売りのリクエストを出し始めるが、債券わかるプライベートバンカーって居ないんだよねぇ。ファンドとか株とか売るのが得意って、リテールじゃないんだから、HNW相手にするなら債券取引くらい通じていて欲しいんだがな。
c5875hp.gif
プライスが帰ってきたのは、1月2日。
For your Bond holding of Citigroup 5.875% 02/2033, the current BID is US$ 105.25.
エイダという知ってる債券マーケターが返して来たので、開口一番は、「おぅ、エイダ、Long time no see.」 と圧力をかける。エイダが「エキゾさん、お久しぶりですぅー」と反応するが、この会話はタニヤの伝説の「お久しぶり」とは意味が異なり、「俺の口座の取引だからな。俺PriceにはかなりSensitiveな男ってこと覚えてるよな? いいかげんな値段は返すなよ。」 という意味が含まれてる。
この値段ではDoneしなかったが、まったくプライスアップデートしてこないので、1月7日に私から、
If you find over 107, please notice me.
1月8日のアジア時間に、エイダから
This bond is more actively traded in NY time.
In Asia time, I can see $105.306/107.271 as the closing.
即で意訳すると「お前、なめてんの?」という返信を返す。
This bond is lited in Berlin Exchange.
I find 107.44 Bid Now.
If you can execute exchange trade, please let me know.
I will write down my instruction for exchange trading.
指値してやるからそれ以上でNY時間で売ってこいと命じ、9日のNY時間に売れた。108.5(Clean Price)でな。ベンチマークのトレジャリー2.75 08/15/42 3.053%だからCredit Spreadは213bpsくらいのレベルで売ったことになる。Credit Spreadは07年当初の200bpsとほとんど変わってないので、クレジット投資として完全に失敗しているw せっかく流動性リスクをとって社債にしたのに、Yieldの低下だけで儲けたという結果である。
Realized Yieldは9.215%、Total Returnは49.9%(5年と1ヶ月)。やはり長い社債はエグイ動きですね。ドルで9%ってまずまずですよね。良いですか、またわかりにくい自慢話をしているんですよっ!! 2007年末Beforeリーマンショックで余った現金をCitibankの株に突っ込まずに債券に突っ込んでいたから、プラスなんですという天才ぶりを改めて書いているんですよッ!! もっともリーマンショック後はこの債券は50未満の価格をつけていたこともあったのだがな。50で買ってたらReturn+200%とか社債でも可能だったのだが、残念ながらそこまで天才じゃない。
この2つの債券が現金化したことで、現金が増えたのだが、このUSDは売って円にして、ほぼそれと等量分だけCMEのJPY Futureを売る。債券がドル預金になったのだが、ドルの銀行預金金利が0に近いこともあり、金利運用よりは株買い待機資金としてのJPYを持ちつつ、為替エクスポージャーはUSDで、金利差は手に入るというポジションなのである。
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2010.10.22: 債券投資家はシティがBOAよりも安全と判断
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2009.02.27: VolatilityとCredit Spreadの関係 
2007.12.14: 久々のお買い物 C 5.875 FEB 2033


インドネシア中銀:2014年にデノミ実施を計画-3桁切り下げ

今年アジア主要通貨の中で下落した唯二つの通貨、インドネシア・ルピアと円ですが、ルピアはついにデノミのようです。
この1/1000デノミの議会承認は多分通るでしょ。ジャカルタの街を歩いたが、メニューは既にこのデノミを期待しており、230kとか230.とか単に230なんていう1000単位表示が散見され、ネシアの民はデノミを待っている。

Dec 15 2012 インドネシア中銀:2014年にデノミ実施を計画-3桁切り下げへ
【記者:Yudith Ho】
  12月14日(ブルームバーグ):インドネシア中央銀行は、通貨ルピアのデノミ実施を2014年に計画している。インドネシアではアジアで2番目に大きな額面の紙幣が流通しており、支払い簡素化を目指す。
  
  同中銀のペリー・ワルジヨ経済調査・金融政策局長は14日、ジャカルタで記者団に対し、1000ルピアを1ルピアに切り下げるデノミ実施には議会承認が必要で、現在の硬貨・紙幣は2016年末までに段階的に廃止されると説明した。それまでの3年間は移行期間として、新旧どちらも使用が認められるという。  
  インドネシア紙幣の額面最高は10万ルピア(約865円)で、アジアでこれより高いのはベトナムの50万ドン(約2000円)紙幣。インドネシア中銀のデータによると、10月の同国の銀行資産は4029兆ルピア。
  ジンバブエは過去10年で3回のデノミを実施。同期間に、アゼルバイジャンやブラジル、ガーナ、ルーマニア、トルコ、トルクメニスタン、ベネズエラもそれぞれの通貨を切り下げた。
原題:Indonesian Central Bank Plans to Redenominate Rupiah in 2014

インドネシア20年の悲惨な経済史はルピアのたどった軌跡だけでかなり説明できる思うので、早速それを見つめてみよう。
アジア通貨危機がもっとも酷いが、リーマンショックでも数十%の通貨が下落するというかなりな煽りを受けている。そして平時であっても、低いVolatilityで、安定的に確実に下落していく様が表れていると言えよう。
idr20yrs.gif
経常赤字、これだけの通貨下落が起きているので、通貨危機後は経常収支は黒字化した。しかしながら、IMFの借金だけでなく、輸出しようにも産業が無いので、輸出するものがなかったこと。唯一の武器で資源国であることを活かしたいが、産油国でありながらも、精製施設が虚弱で、原油輸出のガソリン輸入で収支がトントン、という悲惨な歴史がこのチャートに刻まれている。
インドネシアの消費者物価指数や政府の目標インフレ率は4-5%程度ということになっている。これもまた現地の経験から察するに、インフレは深刻な問題で、インフレ率が4-5%程度なら、ジャカルタのキャバ嬢、ジャカ1の名台詞「預金は月に1%しかつかない。」は出ない。金利が10%ついても金の価値が下がるような気がすると、経済学者でも市場関係者でもない民が体で感じてしまっているほどだ。これはもはやインフレ以前の通貨に対する不信認が大きい。
デノミ後、最高額紙幣とコインの単位が気になる。
1000ルピアが1新ルピアになるので、現在流通している最低単位貨幣100ルピアの単位を何と呼ぶようにするのか興味がある。インドでは100パイサ=1ルピーのようだが、インドネシアとインドの関連性は極めて弱いと思われるので、あっさりとセントとか呼ぶのではないかと期待している。最高額紙幣は現在の100,000ルピア=約1000円で量がかさむので非常に不便。インドネシア・ルピア・ユーザーとしては、インフレも考慮し、200新ルピア札の発行を望む。500新ルピアが存在したとしても、外国人として暮らすなら、普通に使う程度の物価ではあるが、受取拒否される率が高そうな紙幣だ。
【アジア通貨関連記事】
2012.12.14 ドイモイの国ベトナム 2/2 ~貿易と経済
2012.10.16 第二次ジャカルタ攻略 1/11 ~なぜジャカルタ?
2012.09.26|宋と中央ユーラシア 1/4 ~宋まで、宋勃興当初
2012.05.01|インドネシア株はいかが?
2011.10.27: インドネシア 多民族国家という宿命 3/3 ~国際的位置づけ
2008.03.24: アジア通貨を考える ~2つのタイバーツ
2008.02.20: アジア通貨 ~HKD 通貨発行差益(シニョレッジ)
2008.02.18: アジア通貨 ~TWD 理論的表現は不可能
2008.02.15: アジア通貨 ~KRW 少なくともFree(自由)ではないよな
2008.02.12: アジア通貨を考える ~アジア最大の中国(CNY)
2008.02.11: 通貨制度 ~Free Floatを探せ




中国の利下げ、スイス国債もマイナス金利

みんなが欧州で騒いでいるのに中国のことで申し訳ないので、最初はスイス国債のことから触れておこうか。
クイズ:スイス国債がマイナス金利に転じているのはなぜか?
スイス 2年国債金利のチャート
chf-2y-bond-yield.jpg
ヒント:ドイツ国債と同じ理由ではない。ユーロから退避マネーによる需給の圧迫が”きっかけ”ではあるが、それは直接的な原因ではない
最大のヒント≒答え:キャッシュ保有、すなわち0%金利のタンス預金より悪い理由を説明しなければならない。対ユーロの需給ではなく、対スイスフランのキャッシュで見ても買われている理由は何かという問いだ。
答えは番組の最後で。
欧州なんて対岸の火事はさておき、中国だよ中国! 激しいぜ、預金金利もドーンと下がった。3年定期預金のチャートだ。というか俺がいかに天才かがよくわかるチャートだ!
中国 3年定期預金金利のチャート
cny-3y-deposite-rate.jpg
3年定期預金しててね、去年10月にロールした。わかるか? 5%で3年Fixね。負け無しです キリッ

中国が追加利下げ、6月に続き
 【北京=大越匡洋】中国人民銀行は6月に続いて追加的な利下げに踏み切る。貸出基準金利を期間1年物で0.31%下げ、預金基準金利は1年物定期預金で0.25%下げる。6日から実施する。
 最近の中国は0.25%刻みで政策利を変えてきたが、今回は貸出金利の下げ幅を大きくし、減速ペースを速める中国景気を下支えする姿勢をより鮮明にした。追加利下げにより、期間1年の貸出基準金利は6%、1年物定期の預金基準金利は3%となる。
 人民銀は6月8日に3年半ぶりの利下げを実施済みで、今回は予想外に早いタイミングでの追加利下げとなった。需要が冷え込むなか、6月の主要な経済指標が出そろう9~13日を前に利下げを決め、踏み込んだ金融緩和で中国経済への先行き不安を払拭する狙いがあるとみられる。
 13日に公表予定の4~6月期の中国の実質成長率は約3年ぶりに8%を下回るとの見方が多い。6四半期連続で成長が鈍るのは確実だ。

中国の預金金利テーブル
05-Jul	06-Jul	diff
Demand	0.40	0.35	-0.05
3m	2.60	2.85	+0.25
6m	3.05	2.80	-0.25
1y	3.25	3.00	-0.25
2y	4.10	3.75	-0.35
3y	4.65	4.25	-0.40
5y	5.10	4.75	-0.35

中国は金利も護送船団方式でどの銀行も同じ預金金利です。面白いでしょう? まだ規制は変わらないらしい。

中国、金利自由化の動きも 資金需要を掘り起こし
一方、預金金利の規制緩和は見送った。6月の見直しでは、実際の預金金利が基準金利を超えることを認め、1割増まで銀行の裁量で決められるようにした。ただ急激な改革には、利ざやの急減で経営に打撃を受ける銀行の抵抗が大きく、徐々に改革を進めるしかない実情も透けて見える。

はい、自慢話はこのくらいにして、真面目なスイス国債がマイナスの理由。
オフショア預金規制をImplyしている。もう少し解説すると、非スイスの欧州人がユーロから退避してCHFを買うとすればどのような手段に出るだろうか? 簡単だ、銀行で為替取引をすればよい。それはオフショア預金、つまりユーロ・マネー。この言葉は非常に混乱を招く悪い言葉なので、ユーロ・マネー=オフショア・マネー、スイスフランにとってのオフショア・マネー(スイス国外にあるスイスフラン)の資金流入が激しく、それに対する規制が、マイナス金利という歪みを生んでいる。SWAPはオフショア預金金利とは無関係なので金利は正のようである。

スイス当局に対し何らかの対策をとるよう圧力が高まっている。対策として、外国為替市場への介入、オフショア預金へのマイナス金利適用、資本規制の導入、スイスフランをユーロと連動させるペッグ制の導入などが挙げられている。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPJT805620920111201
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT896605420110810

【エマージング・エキゾチック金利系】
2012.06.05|CMS CapはVega LongだがFloorは?
2011.08.15: SGD SWAPがマイナス金利に突入
2011.03.17: 史上最大のボロ儲け ~儲け損ねた男達の遍歴 2/6
2011.02.01: 適格外国機関投資家に株式指数先物取引を容認へ
2011.01.24: 最強ヘッジファンド LTCMの興亡 ~彼らの投資戦略
2010.10.26: 中国が利上げ、07年以来で初-貸出・預金金利25bp上げ
2009.03.26: 中国人民元先物?
2008.11.05: KRW On-Off Spread
2008.07.24: RMB Bond 2Y 3.25%
2008.04.30: 定期預金は金利デリバティブ



















FX所得 1億円脱税容疑、海外移住の役員逮捕

インターネット上に転がるFXで儲けたという話の信頼性は極めて低いが、この溝田耕治さんは本物だ。国税局のお墨付きですから、3億6800万円ほどという金額も本当でしょう。雑所得の総合課税で、09-10年度所得で2年に分かれた所得としても、所得税率39%近くで、気の毒にきっちり40%漸近している。3億8600万円の申告漏れで、1億4000万円の脱税と書いてあるが、おそらく重加算税35%、3年分の金利、延滞税14.6%(年率)がかかってくるので、2億8000万円ほどの”納税”となろう。ちぃと高くついた広告宣伝費用だが、伝説のFX Traderとして、申し分のないトラックレコードであろう。
035814、マルサの女2でおなじみ、暗号035814(まるさこわいよ)ですねぇ、くわばらくわばら。3億近い山だったら、海を越えて取りに来ますわな。ある程度泳がせて金利で税収を膨らませ、時効と使いこみ、新たなFX取引の損失などで手持ちの現金が溶けないうちという絶妙のタイミングで、押えに来てるわけだ。

FX所得 1億円脱税容疑、海外移住の役員逮捕 日本在住時に利益
 外国為替証拠金(FX)取引で得た所得3億円あまりを申告せず、1億円余を脱税したとして、静岡地検は9日、所得税法違反(脱税)容疑で現在シンガポール在住の会社役員(37)を逮捕した。役員は日本在住時に問題のFX取引を行い、利益を申告しないままシンガポールに移住していた。関係者によると、役員は静岡県伊豆の国市に居住していた2009~10年、FXで得た所得3億円余を申告せず、1億円余を脱税した疑いが持たれている。役員はその後シンガポールに移住し、定期的に日本に一時帰国しているとみられる。名古屋国税局が昨年、強制調査(査察)に着手し、取引実態などを調べていたもようだ。
取引には知人十数人名義の口座を使い分け、自動でFXを売買できる投資ソフトを使って取引を繰り返していたとみられる。取引で得た利益は海外の口座に送金するなどしていた。
 これまでの名古屋国税局の任意の調べに対し、役員は脱税を否認する趣旨の説明をしているとみられる。会社役員はシンガポールに移った後に開設したとみられるホームページ(HP)で、自ら開発したとするFXの自動売買ソフトを使った資産運用サービスを宣伝。「資産成長のノウハウ提供を目的とした投資口座マネジメント会社」などとうたって利用客を募っている。所得税法は国内に住所がないか、1年以上居住していない人を「非居住者」と規定し、日本の課税が限定される。ただ日本に住んでいた際の所得については、その後海外に住所を移しても日本で課税される。

日経の記事だと名前が明らかにされていないが・・・・「資産成長のノウハウ提供を目的とした投資口座マネジメント会社」でぐぐってみたら、こんなんでてきまして、色々と書いてありました。
http://best1fx.com/japanese/
NAOMI Private Limited
13 Lorong 8 Toa Payoh 07-06
Braddell Tech Singapore 319261
奥さんがなおみさんという名前なのでしょうかねぇ? トアパヨという庶民的な住宅地で、金融オフィス街ではありませんな。
代表である溝田耕治、これ、写真も載っていて、ここであえて載せないが、DLだけしておいた。欲しい諸君はメールでも下さい。
今度は今度は代表のお名前でぐぐると・・・
有限会社 ヒジリ精工
静岡県の非上場会社のようで、IRが全くないのでどんな会社なのか分かりませんが、37歳というお若さから考えて、二世でしょうか。
数時間遅れで、名前出たようです。

FXで1億円超脱税、シンガポール移住でも逮捕
 外国為替証拠金取引(FX取引)で得た所得を申告せず、所得税を脱税したとして、静岡地検は9日、シンガポール在住の自動車部品製造会社役員溝田耕治容疑者(37)を所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕した。
 発表によると、溝田容疑者は静岡県伊豆の国市などに住んでいた2009~10年、同県三島市にある会社の施設内に置いたパソコンでFX取引を行い、09年と10年分の所得計約3億6800万円を申告せず、約1億4000万円を脱税した疑い。地検幹部によると、取引で得た利益は複数の他人名義の口座に保管していたという。
 溝田容疑者は10年12月にシンガポールに移住したが、その後も三島市内のパソコンを利用し、自動的にFXを売買できる投資ソフトを使って取引を続けていたとみられる。
(2012年3月9日21時14分 読売新聞)

【Global Tax Arbitrage関連記事】
2011.06.22: 大金持ちのための税金の手引き
2011.04.14: 米国債券投資戦略のすべて2/3 ~決済
2011.04.05: エキゾさんは国際主義ですか?
2010.11.04: グーグルの税率2.4%はアイルランド仕込みのダッチ・サンドイッチ
2010.10.06: マネー・ロンダリング入門 ~海外送金 
2010.05.28: SingaporeのPermanent Residence申請方法
2010.04.19: おら東京さいくだ from ドメ秘境編
2009.10.13: 金融監督って難しい
2009.09.09: 世界の金融センターの候補地を選ぶ際の指針
2008.11.10: あなたもやってる?疑わしい取引
2008.11.07: Tax Havenと相性のよいもの
2008.11.06: Tax Haven諸国の国としての特徴
2008.10.23: Tax Haven的観点による香港とシンガポールの違い





SGP 4Q GDP -2.5%がなぜかメシウマ

日本の皆さんこんにちは。
このブログの読者にはあまりいないと思いますが、韓国叩きにお忙しい2ちゃんねらーの皆さんもこんにちは。
シンガポールの実質GDPがマイナス成長だとなぜか俺はメシウマだ。なぜってやっぱり好きで好きでしょうがないから。
シンガポール、日本の皆さんには相手にもされていない国なのですが、少しは相手にしてやってくださいよぉ。俺も長い間住んでるから、少しだけ情が移ってきまして。ちゃねらーの皆さんも結局、「韓国大好きでしょうがないんだろ?」 気になってしょうがないから、いぢめちゃうみたいな心理。俺もまったく同じ理由で、ちょっとだけシンガポールをいじろう。

シンガポール通産省、「指標はリセッションの可能性示さず
ロイター 2月16日(木)14時36分配信
[シンガポール 16日 ロイター] シンガポール政府は16日、朝方発表した2011年第4・四半期の国内総生産(GDP)統計(確報値)を踏まえ、世界経済の見通しは思わしくないが、シンガポール経済はリセッション(景気後退)を回避する可能性があるとの見解を示した。
リセッションは、2四半期連続のマイナス成長と定義されることが多い。
通産省が発表した第4・四半期GDP伸び率は、季節調整済みの前期比年率マイナス2.5%。ただし、マイナス幅は速報値(同マイナス4.9%)からかなり縮小した。
通産省の高官は記者会見で「1月の貿易および輸出は非常に好調だ」としたうえで「断言するのは尚早だが、目先的な指標は、シンガポールが第1・四半期にリセッションに陥る可能性を示唆していない」と述べた。
通産省によると、2011年通年の成長率は4.9%だった。
政府は、2012年の成長率を1─3%と予想している。ただ、予想に対するリスクも指摘している。
シンガポールは貿易に大きく依存しているため、世界経済情勢が悪化した場合の影響をより早く受ける。
通産省は声明で「ユーロ圏での無秩序なソブリンデフォルトは、国際金融危機を引き起こす可能性があり、中東における地政学的緊張の高まりは世界的な石油価格高騰のきっかけとなり得る」と指摘した。
政府は16日、今年の貿易と石油を除く輸出が3─5%増との予想を示した。2011年はそれぞれ8%増、2.2%増だった。

通産省 「リ、リセッション入りじゃないんだからねっ!」 この強がりっぷりが良いなぁ。とても良い。
都合の良い時だけ、数値を重んじて、一人当たりGDPは日本を越えてアジアで1位と主張する。
都合の悪い時は、GDPという数値は単なる指標でリセッションを示唆するものではないと言い出す。笑える。
SGP-GDP.jpg
http://ecodb.net/country/SG/imf_growth.html
より、カジノは2010年からスタートだったから、成長率最高を更新しているけど、09年の後という効果が大きい。でもすごい成長率だなー、GDPが1980年以降の32年間で8倍になってる。年率平均6.5%の成長をし続けているという。
通産省も、「カジノ効果の揺り戻しです」とは発言しにくいもんなぁ。たかがカジノ作ったくらいで、GDPに影響出ちゃうの? プププ、いいな、お前ら楽で。と日本の通産省も思うでしょう?

2010年のシンガポールのGDPは約2173億ドル(約17兆円)であり[11]、福岡県とほぼ同じ経済規模である[12]。一人あたりのGDPは日本を上回っている。

Wikipediaめ、あんまいぢめんなよ、国っていうか”県”と同じレベルです。(笑 みたいな嫌味よさんか。逮捕するぞ。
国民一人当たりの豊かさは一人あたり”GNI”だろ、GDPを使っているあたりがまた数値操作の・・・
と言っていたのだが、よく調べたらシンガポールの一人当たりGNIも41430(2010年)くらいで、一人当たりGDPとほぼ変わらないから、これは批判に当たらないことが判明。やっぱりシンガポールの国民の定義。というかシンガポールは選挙はあるもののゲリマンダーの建前選挙という非民主的国家らしく、国民って言い方しないのです。中国は人民、日本も昔は臣民、シンガポールは市民と呼んでいます。そもそもここのマジョリティである中華系も、中華系シンガポーリアンではなく、チャイニーズのシンガポールシチズンと表現します。ここの国に生まれ育った人でも、国民とは言わずシチズン(市民)なのですから、シンガポールの人口の対象に、シンガポールで生まれ育っていない外国人も含まれているのが自然という理屈のようです。
【ニュースにいちやもん】
2011.12.14: 今年最も読まれたニュース 2/2 海外編
2011.08.01: 九州新幹線全線開業のCM
2011.06.02: AIG株87億ドル相当を売却、1株29ドルで-米財務省
2010.12.10: {わかりやすさ}の勉強法
2010.02.26: 日本の新興企業 アジア市場が上場誘致
2009.12.21: 君は日本国憲法を読んだことがあるのかね 
2009.12.02: 金融犯罪に手を染めた元米ミス・ティーンの転落人生
2009.09.15: OptionのNewsはどうしてこうも気色悪い書き方なのか
2009.03.26: 中国人民元先物?
2008.01.02: いきなり暗い 元旦の日経トップ記事
2007.12.29: 時価総額の計算方法





ギリシャのデフォルト確率って言うけどどう計算するの?

CDSは、一般読者の関心も高いようなので、少し解説的な記事を書いてみよう。プロ読者諸君は、ちょっと退屈だろうから今日は読み飛ばして欲しい。嫌味炸裂を見たい人は最後まで読んでくれ。

Jan 27 2012 ギリシャ国債CDS2480億円支払いも、市場信頼第一-クレジット市場
【記者:Abigail Moses】
  1月27日(ブルームバーグ):ギリシャの債務スワップ交渉は、民間投資家の自主的な参加条件をめぐる対立が続いており、同国がデフォルト(債務不履行)に追い込まれる危険がある。こうした状況の下で、ギリシャ国債のデフォルトに備えるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)契約の支払いに反対する欧州の政策担当者の姿勢が軟化しつつある。
  バークレイズ・キャピタルの推計によれば、ギリシャ政府と国際金融協会(IIF)との債務減免合意は、対象となる2060億ユーロ(約20兆9000億円)相当の国債の保有者のうち50%に対する拘束力しかない。ヘッジファンドは合意に抵抗し、全額返済ないし保険契約による補償を求める可能性がある。
  ギリシャは3月に145億ユーロ相当の国債の償還が必要で、国際通貨基金(IMF)は支援と引き換えに民間投資家との合意をギリシャに求めている。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のマルコ・ブティ経済部長は今週、全ての国債保有者との合意が成立しない限り、最大32億ドル(約2480億円)のCDS契約からの支払いを伴う解決策が必要になりそうだと発言した。
  シティグループの信用ストラテジスト、マイケル・ハンプデンターナー氏(ロンドン在勤)は「政治家はCDSの支払いを誘発する事由について以前ほど心配してはいないようだ。ギリシャ国債のCDS契約に基づく支払いを行う方が、CDS商品がソブリン債のリスクヘッジを提供する能力に対する市場の信頼が失われるよりは恐らくましだ」と指摘する。
             信用失うよりまし
  欧州中央銀行(ECB)のトリシェ前総裁をはじめとする欧州の当局者は、高債務国の国債の値下がりを見込んだ投資を助長し、債務危機を悪化させる恐れがあるとして、CDSの支払いにつながる信用事由は受け入れ難いと主張してきた。しかし、JPモルガン・チェースとシティのアナリストは、ギリシャ国債のCDSの支払いが実際にはソブリン債の保険市場の信頼感を高め、国債相場の支援につながると考えている。
  CMAによれば、ギリシャ国債1000万ドル相当の5年間のCDS保証料としては、前払い分630万ドルに加えて年間10万ドルが必要になる。これは投資家の債権回収率を22%と想定し、この間のデフォルト確率が82%であることを示唆している。
原題:Greek Debt Wrangle May Pull Default Swaps Trigger: Euro Credit (抜粋)

このデフォルト確率、正確には5年間でギリシャがデフォルトする確率で、その確率はマーケットバリューとして存在するということである。それはギリシャ国債のCDSの取引値から、実に簡単に計算できる。CDSの計算というのは難しい数学は一切必要なく、本当に四則演算で計算できてしまう稚拙なデリバティブゆえ、デリバティブ業界では、”CDSの専門家”などと不用意に発言すると、「もしかして、数学とか苦手なんですか? プッ。」と思われるほどだ。(但し、CDSの計算とクレジットリスクの計算というのはまったく意味が違うところは注意が必要だ)
記事上のデフォルト確率82% を導出するために、必要な数値は5つしかない。
持ち高=Notional 1000万ドル、
年限5年、
保証料10万ドル、つまり保証率Credit Spreadで言えば10万ドル÷1000万ドルで1%=100bps
回収率Recovery Rate 22%、
前払いPrepaid 630万ドル。
日本語はさすがに気持ち悪いので、それぞれ直した。
ここで、5年のデフォルト確率という意味を改めて考えよう。今日から5年後の間、どこかでデフォる確率、つまり5年目”まで”にデフォルトする確率である。
一方、年間デフォルト確率というのを想定しよう。
2012年でデフォる確率、
2013年でデフォる確率
2014年でデフォる確率
・・・
というように1年間でデフォる確率の累積から5年のデフォルト確率が計算される。今ここでは簡単のため、1年間でデフォルトする確率は、同じ1年間なのだから、どの年限でも同じと想定し、
2012年でデフォる確率=2013年でデフォる確率=2014・・・=2016年でデフォる確率
ということで、これをForward Default Probabilityと呼ぶことにしよう。
Forward-Default-Prob.jpg
それではここではForward Default Probability=20%と想定して、デフォルト確率とその逆の生き残り(Survaival)確率を計算しよう。
デフォルト確率+生き残り確率=1だ。
1年後までにデフォルトする確率=1年間でデフォルトする確率なので20%。生き残り確率は80%
2年後までは? 20%は1年目でデフォルトしてしまうわけだから、2年目にデフォルトする確率は、80%×20%=16%
一年目の20%と16%を足すと36%になり、2年後までにデフォルトする確率は36%となる。ここまでよろしいか?
次にキャッシュフローを考える。
CDS-Market-Value.jpg
プロテクションの買い手は保証料として10万ドル毎年払う。これをPremium Legと呼んで記述した。
売り手はデフォルト時に回収できない分を払う。今回収率22%としているから、780.これをProtection Legと呼んで記述した。
次に期待値(確率を考慮したキャッシュフロー)を考える。
保証料はデフォルトするまで払い続けるので、保証料10×生き残り確率×割引率(Discount Factor=DF)。DFとは現在価値割引率というものだが、ギリシャ国債のような壊滅的なCDSにおいては影響は軽微なので無視して1。つまり意味がない掛け算だが一応入れておく。これを年限ごとに計算し、1年目+2年目+・・・と全部足したもの=26.89
一方、売り手はデフォルトした時にだけ払えばいいので、
債券回収不可能額780×生き残り確率×割引率 ”×年間デフォルト率(Forward Default Probability)”
となる。これも全部足したのは524.41となる。
次にCDS取引の時価の計算。
cds-default-prob.jpg
CDSとはプロ同士の世界で取引されるものだから、どちらかがバカ見ているということがない限り、期待値の総和はゼロになるはずである。
ではバイヤーの支払額の期待値は最初に前払い金630払っているので630+26.89=656.89
セラーの期待値はProtection Legの総和そのままで、524.41となる。
であるからこのままではバイヤーが132.5の損、セラーが132.5の得をする取引となる。
ここで、最初の想定Forward Default Probability=20%に立ち返る。これは私が勝手に想定した値であるからして、これを調整してどちらも損も得も無い0に帰着するべきである。それを探していくと・・・
Forward Default Probability=30%程度のところに落ち着き、5年後”までに”デフォルトする確率は83%と出ており、記事上の82%とほぼ一致している。これを正確に合わせるにはDF、Forward Default Probabilityが一定の想定をはずし、5年未満CDSからImplyされるForward Default Probabilityを計算する必要があるが、それをやるかどうかは、ギリシャがデフォる確率が82%なのか83%なのか気になる諸君がやれば良い話だ。
ノンプロ=一般読者諸君は、「CDSからデフォルト確率を計算できる」などというと「小学校4年生程度の学力があればできるねぇ」と鬼のように冷たい表情で返されるということが、この計算過程を見てわかったであろう。
【みんなが嫌いな数式シリーズ】
2011.09.01: %Gammaとは何か?
2010.08.13: 遠心力対万有引力 北極で測る体重と赤道直下で測る体重
2010.07.23: 数学を使わないオプション解説 GammaとVegaは何が違うの?
2010.06.04: ルーレットと大小(Big or Small)の最適戦略
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている 
2009.08.12: Double Barrier 複雑なるもの 
2009.06.16: VAR SWAPのGamma+VanillaのGammaでGamma Neutralになるか? 
2008.12.15: 年末ジャンボ ~富くじにおける分散の値段 
2008.12.04: CBとCall Option+Bondの違い for Beginner 
2008.10.31: Craps@MGM 
2008.08.08: Geylang Street Gambleの期待値 
2008.04.25: 1yのATMオプション、Volatility30%ならいくら?70%なら? 
2008.01.24: 恐るべしJump DiffusionとVAR-SWAP 
2007.12.10: 金利0、配当0(0Drift) ATM Call のDELTAは50%? 50%超? 50%未満?


2012年 あけましておめでとうございます

2012年 西暦 平成24年 和暦 マヤ歴で言うと・・・
また人類滅亡論が出てくるんだが、ほとんどスパムメールと同じで、誰か一人でも不安になってくれれば儲けもんみたいなノリだよな。金融界の滅亡論である、ドル崩壊論・日本国債暴落論は聞き飽きているのだが、あえて言うと、「ドルって何ですか?」という質問は聞いたら第三次世界大戦の扉が開いてしまうのでタブー。日本国債暴落に関しては、下がることはあっても、デフォルトは起こらない。日本は債権国家であり、国家債務は全て円建ての国債である。自国通貨建の国債というのは金利運用ニーズであって、金貸しの観点ではない。自分で札を刷れる国家に、その国家の通貨で金を貸すアホがいるの? ギリシャは自国通貨じゃないから問題なの。
金融界のノストラダムス、副島君がノムさんにからまれそうになって超びびってるらしい。慌ててツイート削除しても、まだノムさんが怒ってるww
 野村證券は2011年12月25日昼、公式ツイッターに、「グループ広報部長の池田です。評論家と名乗る人物が、ネット上にて断定的に当社の破綻について語っているようですが、根拠のない憶測であり、現在、法的な対応を検討しております。お騒がせいたしました」と投稿した。
フィナンシャルリテラシーが低い民に日本破綻論の本を円建てで売るという矛盾に満ちた犯罪を、風説の流布と国家に対する侮辱罪で訴えるのも馬鹿馬鹿しいので、ノムさんが「天に代わってオシオキよ」と言っているのだ。
さて、以上が2011年を振り返るための長い長い前振りであるのだが、表をご覧あれ。
WorldIndex2011.png
株:全滅
と言っていい。特筆すべきはアメリカで+0.0%で事実上のベストパフォーマーであろう。ベネズエラが70%くらい上がっているのだが、政変による通貨切下げと預金封鎖の予兆といってもいいだろうから相手にするのはよそう。
通貨:CNY、JPY、CHF(売り介入でほぼフラット)
のいつもの株と逆相関の3通貨。悲惨なのは高金利エマージング、TRY、ZAR、INR、BRLあたりで、キャリートレード嫌いの私としてはかなりウマー。
その他の注目
ヘッジファンドの下げは-7%ってプププだな。いつも言ってるんだがCorrelation正ならもう名前変えろ。Unhedged Fundにしろよ、素直に。Jasdaq、小型は踏ん張って下げ止まった年。REITは普通に下げ。象徴的なのは金とオイルか。ギリシャ問題、米国債格下げと通貨とペーパーアセットの信任が問われた年と言えそうです。
そんな中、すっごいファンドがあるんですよぉ。知ってますか?

一族ファンド(プライベート):+6%(円建て) ロングオンリー、デリバティブ無し(Volatility 14%)
一族ファンド(お仕事)      :+7%(円建て) デリバティブ・オンリー、ボラ売り型(Volatility 8%)

リターンで言うとお仕事の方が1%だけ優れているが、中身を考えるとプライベートの方が実は天才的。円エクスポージャー3~4割なのに円建てで+6%。しかも株エクスポージャーは6割あるwww。しかもロング・オンリーよ。運用能力が天才としか言いようが無いな。ウン。
お仕事もうたい文句は、損失限定でVolatility売りやって、チコチコ安定運用します。震災みたいなクラッシュでも、限定的にしかやられないというのが本来の運用ポリシーだったのだが、アグレシッブに買いもやりますという不明確なポリシー、金融商品化した仕組債ではありえないファンドのアクティブ性が功を奏し、暴落時に大幅プラス。3月15日引けた時、今年の勝負はついたって感じだったね。
思い出したけど一族ファンド(プライベート)は3月15日に、過去最大のDaily損失を記録更新。一方、一族ファンド(お仕事)は同日、最高益更新でニュースになりました。(笑
お仕事うまくいったんだけど、その成功を素直に笑えないくらいの損だった。マジで。ということは、二つ足せば、リターン同じで、相当低Volatility Fundになるなぁ。
「一族ファンド(プライベート)もファンド化すれば良いのでは?」という真面目なファンド関係の読者のためにファンド化できない理由を書いておこう。一族ファンド(お仕事)は時価の透明性、流動性ともに盤石の体制である一方、一族ファンド(プライベート)は、その点に大きな問題がある。
1.MF GlobalのSegregate Accountに預金をおいていて、その損失が不透明だが簿価評価している。
2.人民元オンショア預金は外国法人名義は不可。中国国内で人民元を売却をできない、税関での没収リスク等の不透明なカントリーリスクを取っている。
3.トレード回数が異様に少なく、2011年度はわずかに2回で信託報酬を正当化するのは難しい。東京電力買いとAUDJPYの売り決済のみ。
4.流動性に問題がある超小型株が多く含まれている。
一族ファンド(プライベート)、うまくいって欲しいんだが、こりゃ問題ありありだな、あー、頭いてぇ。
【カレンダー関連記事】
2011.01.19: 項羽と劉邦 ~秦の倒壊、乱世の到来
2010.08.25: 怠惰な香港 昼休み2時間は中国様のお怒りに触れたか?
2009.12.03: Multi Market Derivativesの注意点 営業日問題
2009.09.22: 休日出勤は株屋としての誇り
2008.07.31: 体感時間 時差と経度
2008.03.23: イースター休暇
2008.02.08: 中国の新年にちなんで、太陰暦を考える
2008.02.07: 新年が明ける
2008.01.06: 2008年 各国の祝日




米MFグローバル、破産法適用

これは私が東京出張中に受けたニュースである。お客さん先で、
「今日は忙しかったです。MFの問題でフロア中てんやわんやでして…」
うっぷ、少し気分が悪くなってきましたねぇ…
「ぇっ?口座持ってるんですか? 一刻も早く引き出した方が良いのでは?」
私にとっては、オリンパス問題より、ギリシア債務より、そして東証と大証の話よりも遥かに気になる問題であり、頭が痛いニュースである。MF Globalは資金のHub(中核)として位置づけていたため、そこには少なくない金額が置いてある。それが現在、完全凍結され、管財人であるMASとKPMGの判断待ちの状態であり、万が一、これが溶けてしまったら、想定外の大打撃となるだろう。

Nov 1 2011 米MFグローバル、破産法適用を申請-欧州ソブリン債投資が裏目
【記者:Tiffany Kary】
 10月31日(ブルームバーグ):ニュージャージー州知事やゴールドマン・サックス・グループ共同会長を務めたジョン・コーザイン氏率いる米ブローカー・ディーラーの持ち株会社、MFグローバル・ホールディングスは31日、米連邦破産法11条の適用を申請した。欧州ソブリン債への投資が裏目に出た。
 ニューヨーク市マンハッタンの連邦破産裁判所に提出された申請書によると、同社の債務総額は397億ドル(約3兆1000億円)、資産は410億ドル。金融部門のMFグローバル・ファイナンスUSAも破産法適用を申請した。同社の債務は最大5000万ドル、資産は最大5億ドル。両社は発表文で、「両社の取締役会はともに、資産保全のため破産法11条の適用申請を承認した」と説明した。事情に詳しい関係者によると、同社の取締役会は破綻回避を目指し身売りを含めた選択肢の検討に週末を費やした。同社は先週、過去最悪の赤字を発表。NY連銀は31日、同社との新規取引を停止した。MFグローバル株の売買も停止されていた。
 欧州ソブリン債絡みの投資に関する公表が嫌気され、同社の株価は先週67%下落。社債はディストレスト債の水準に落ち込んだ。事情に詳しい関係者は匿名を条件に、同社が全面的あるいは部分的な身売りについて、銀行やプライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社、ブローカーなどを含む買い手候補5者と話し合っていると述べていた。同社は25日に1億9160万ドルの四半期赤字を発表。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティングスは同社の信用格付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げた。同社はエバーコア・パートナーズを起用して身売り先を模索していた。
 米商品先物取引委員会(CFTC)によれば、MFグローバルは8月31日の時点で顧客資産72億ドルを分離された別勘定に保持していた。MFグローバルは米プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)22社の1社であり、同社ウェブサイトによれば世界で70以上の金融取引所のメンバー。
 裁判所への申請文書によると、大口の無担保債権者は12億ドル相当を保有する債権者の受託会社であるJPモルガン・チェースや、10億ドル余りの保有者の受託者であるドイチェ・バンク・トラストなど。JPモルガン自体の保有高は1億ドルに満たないと同行の関係者が匿名を条件に述べた。ドイツ銀の広報担当者はコメントを控えた。大口株主はピラミス・グローバル・アドバイザーズやRSインベストメンツなど。JCフラワーズなどが優先株を保有している。
原題: MF Global Files for Bankruptcy After Bets on European Debt(抜粋)

11月14日付け、シンガポールの金融庁(MAS)のパブコメ
http://www.mas.gov.sg/consumer/Consumer_FAQs_on_MF_Global.html
うわー、もしこの比率で削られたら22%っていくらになるんだろう・・・。ま、全額溶けるよりはかなりマシだけどなぁ・・・。11%が22%に増えているということは、この数値も怪しいもんだなぁ。MASよ、個人投資家保護の法則で俺の資金を救出せよ。

Nov 22 2011 MFグローバル、顧客口座の不足額は12億ドル超も-当初予想の2倍
【記者:Tiffany Kary and Linda Sandler】
 11月21日(ブルームバーグ):経営破綻した米金融会社MFグローバルの顧客口座の不足額が12億ドル(約923億円)を上回る可能性があると、清算業務を手掛ける管財人が明らかにした。これは、当初見込まれていた額の2倍余りとなる。
 12億ドルだった場合、顧客口座全体の合計54億ドルのうち約22%について行方が分からなくなっていることになる。同社の破綻をめぐる調査に詳しい関係者によれば、これまで不足額は全体の11%とされていた。管財人のジェームズ・ギデンズ氏は21日、法廷会計士や調査員は「24時間体制」で取り組んでおり、見込み額は変わる可能性があると説明した。
原題:MF Global Shortfall May Double Last Estimate,Top $1.2 Billion

うっぷ、気分わりぃ、つわりかもしれねぇよ。
【金融ヤクザのお仕事】
2011.10.19: ザ・総会屋
2011.09.07: 投資詐欺 2/3 手法
2011.01.07: イトマン・住銀事件 ~イトマンをめぐる様々な疑惑
2010.10.05: マネー・ロンダリング入門 ~実際に起きた事件
2009.08.31: Madoff’s Other Secret 愛、金、バーニー そして わ・た・し
2009.07.17: 秘史「乗っ取り屋」暗黒の経済戦争
2009.02.06: Madoff続報 (号外)
2008.12.16: 5兆円詐欺事件に含まれるDerivativesの追跡
2008.08.18: 8868 スワップ契約についての考察
2008.01.28: ソシエテ・ジェネラルの大損



12年のJリート起債、償還額超に

> 円スワップレート+14bp
うーん、ファンタスティック! 借り手としては。このご時勢にこのCredit Spreadは異様ですね。iTraxxとか全体で見るとそれほどタイトなわけではないんですよ。東電様がワイドニングして、そのロールがReitに行っているのでしょうか?
にしてもL+14bpsで調達できるなら、土地買うの止めて、銀行に金貸したい気持ちにならないか? 銀行L+200bpsくらいありそうじゃないか。これはバブリーだな。年間14bpsだったら払って、CDS買っちゃおうよ。

Oct 5 2011 【クレジット市場】12年のJリート起債、償還額超に-不動産動意受け
【記者:桑子かつ代、キャサリン・チュウ】
 10月6日(ブルームバーグ):日本版不動産投資信託(Jリート)による債券(投資法人債)の発行が活発化しそうだ。起債コストの低下など市場環境が改善する中、不動産取引にも動きが出てきたためだ。2012年は新規物件への投資も視野に、既発債の償還予定の1590億円を上回る調達額になるとの見方も浮上している。
ケネディクス不動産投資法人は9月に4年半ぶりの投資法人債を発行した。ケネディクス・リート・マネジメントの田島正彦取締役財務企画部長は12年3月に再び発行して既発債の償還に充てたいとの考えを示した上で、その後も、新規投資に向けた調達手段の多様化策として「継続的に債券マーケットにアクセスしていきたい」と述べた。
みずほ証券によると、投資法人債(Jリート全体)の発行実績は過去最高が2007年の3300億円だった。これらの償還原資の確保もあり、10年は07年以来最大の1795億円を調達した。発行準備の動きも目立ち、調査会社のアイビー総研によると、今年1-9月の発行登録額は全体で1兆円とすでに10年の8000億円を上回った。
UBS証券の羽仁千夏エグゼクティブディレクターは12年について、起債額は最低でも償還額と同水準で、新規投資に充てる可能性のある分を含めると「償還額を上回る可能性がある」と分析。米サブプライムローン問題やリーマンショックで年間100億円前後の調達に低迷した08-09年から、明らかな改善傾向にあるという。
調達コスト「震災前」まで改善
発行活発化の背景には、賃貸収入という安定したキャッシュフローが評価され投資家から資金を集めやすく、起債コストも低下していることがある。Jリートで時価総額最大の日本ビルファンド投資法人の5年債の新規発行スプレッド(金利上乗せ幅)は円スワップレート+14bp(1bp=0.01%)と10年1月の+46bpから低下した。
BOAメリルリンチによると、日本の主要不動産と日本リテールファンド投資法人債などの国債に対する利回りの平均スプレッドは縮小傾向にある。09年4月の230bpから今年2月には24bpまで低下。大震災後に30bp台半ばまで上昇したが9月下旬には25bp前後とほぼ震災前の水準に戻っている。
アドバンス・レジデンス投資法人は、9月にJリートで震災後初の投資法人債を発行した。同法人としても07年11月以来の発行だ。運用会社のADインベストメント・マネジメントの広報担当・桐淵博史氏によると発行利率は1.27%と1.68%。発行に踏み切った理由を銀行の融資金利と同等もしく低めだったためなどと説明した。
不動産取引、3倍に急増
国内景気は大震災後から回復の兆しを見せ始めている。日銀短観で企業の景況感が改善する中、8月の新設住宅着工戸数や同月末のオフィ
ス空室率(都心5区の平均)はそれぞれ5カ月連続で改善し、3大都市圏の地価下落率は縮小している。日銀では昨秋以降、Jリートの信用力を補うため、投資口買い入れ策を継続している。
Jリートによる資金調達の増加は、不動産市場の回復自体を支える要素にもなる。みずほ証券の石沢卓志アナリストは、「震災後もJリートの物件取得意欲は高い。不動産取引が活発化すれば、震災後の市場回復を後押しするのは確かだ」と語り、資金の好循環につながる可能性があるとみている。
英不動産アドバイザリーのDTZによると、11年7-9月期の日本の商業不動産向け投資額は2720億円と直前の四半期(4-6月)の3倍に急増した。同社ではJリートが大震災で一時中断した不動産取引再開のけん引役になったと分析している。
農中信託銀行の新海秀之シニアファンドマネジャーは、投資家の視点から投資法人債について、キャッシュフローの安定性や政府支援でデフォルトリスクが低い点を指摘し、「スプレッドも取れる水準だ」と評価。来年分の償還予定額は確保できるとみている。

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日本国債CDSが急落

Oct 17 2011 【クレジット市場】日本国債CDSが急落、欧州危機の波及懸念が緩和
【記者:Masaki Kondo and Monami Yui】
 10月17日(ブルームバーグ):日本国債の保証コストは今月、いったん過去最高値に達した後、急落した。世界で最も公的債務が多い日本にも、欧州債務危機の影響が波及しかねないとの懸念が後退した。CMAによると、日本国債に対する5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率(スプレッド)は今月4日、過去最高の154.8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達した後、2週間で37bpも急落。この間の下げ幅は過去4年間で最大となった。米国債のCDSは今月に入り、4.8bpの下げにとどまり、47.4bpとなっている。

PIMCOはうまくいったかな。
MizuhoVsJGB(CDS).png

 保証コストの低下は、国債の需要が国内市場では根強いことを示している。13日に行われた30年債入札では、落札平均利回りが過去2年強で最低水準となった。みずほ証券の末広徹マーケットアナリストによると、先進国で景気減速の兆しが見られる中、資金逃避先を模索する海外投資家は、日本の経常黒字や円高に引き付けられているという。末広氏は、「経常黒字国というのは強みがある」と指摘。また、「ドルとユーロの不安というのが特に海外の中央銀行とかで根強い」とし、海外からの投資資金は「円に入ってきやすい状況にあると思う」と話す。8月の日本の経常収支黒字額は前年比で6カ月連続して縮小したものの、国際通貨基金(IMF)によると、昨年通年の黒字額は中国に次いで世界で2番目の大きさだった。一方、経常赤字が最も大きかったのは米国と英国だった。

貿易収支が13-4兆円(輸出60兆、輸入45兆程度)だから、1ヶ月あたり1兆円。それが5000億円になって半分だー!っていうのはわかるが収支で黒字ってのがねぇ・・・。貿易収支が半減!っていうとなんか半分になってるのかという印象を受ける単なる数値のマジックで、輸出10%減、輸入10%増くらいで貿易収支は半減することがわかる。なんだ10%だけなの?って思うでしょう?

             経常黒字
 日本は1981年以来、毎年経常黒字を計上しており、IMFの予測では、少なくとも2016年までは黒字が続く見通しとなっている。経常収支は海外とのモノやサービス、投資などの取引状況を示す。海外投資家は年初来で日本国債を19.9兆円買い越した。これは統計で遡れる2005年以降で最大の買い越し額となる。
 収益率が大半の先進国の債券を下回る中でも、円建て債への需要は増加してきた。ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会がまとめた指数によると、満期1年超の日本国債の年初来の収益率は1.6%で、ベルギーやギリシャ、ポルトガル、イタリアの4カ国を上回っているに過ぎない。もっとも、日本国債の収益率はドル換算では7.3%に跳ね上がる。

自国通貨建て国債の意義は、国内再配分と運用ニーズ、という極めて平和で、通貨に対する信任がある信者からの募金のようなものですから、相手が外国人でもあんまり関係ありません。一方、他国通貨建て国債ならば、これは通貨に対する信任がないということで、冷たい金貸しです。

              円高
 先進10カ国の通貨で構成するブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去1年で4.1%上昇しており、先進10カ国通貨のうちスイスフランやニュージーランドドルに次ぐ伸び率となっている。最も伸び率が悪いのがマイナス3.5%のユーロ。 フランスのサルコジ大統領が10日、欧州債務危機に端を発する信用不安への対処として、銀行への資本注入方針を表明したのを受けて、ユーロは対ドルで急上昇した。同国のCDSは9月に記録した過去最高の202.51bpから、今月13日には176.7bpに低下した。
 SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、日本のCDSを上昇させるような固有の材料はなかったとした上で、他の先進国のCDSの上昇に「つられた」との見方を示した。日本の新発10年国債利回りは14日、1.015%となり、ブルームバーグが調査している先進国の債券市場の中でスイスと並び最低。同年限のフランス国債の利回りは日本の3倍近くも高い。
           銀行の余剰資金
 日本銀行の統計によると、9月の国内銀行の預金残高は貸出残高を約164兆円上回った。これは韓国とオーストラリアの国内総生産(GDP)の合計よりも大きい規模。国内銀行による日本国債の保有残高は8月時点で158兆円と、過去最高を記録した4月の159兆円に迫った。DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマネジャーは、資金需要の低迷で「銀行に預金があまっている」とし、投資先の選択肢が限られている中で、銀行の資金は「2年債や5年債」に向かっているとみる。
 比較的短期の債券利回りの上昇を防ぐため、日銀は政策金利を0-0.1%の範囲内に設定している。日銀はまた、年間21.6兆円のペースで国債を買い入れており、その90%は満期10年以下の国債購入に向けられている。SMBC日興証券の野地氏は、経常黒字や日銀の金融緩和策のおかげで債券利回りは今後も低位安定すると予想されるが、GDPの2倍近い公的債務残高は懸念材料だと指摘。「毎年年を経るごとに日本の財政に対する懸念はどんどん広がっていくと思う」と話す。
原題:Default Swaps Plunge From Record Amid Haven Demand:Japan Credit(抜粋)

毎年年を経るごと、国債残高は積みあがり続けていますが、金利は上がらないwww
解決法は二つあるね。日本人が円を売ること(海外に出ること)、金を借りること(インフレ誘導)。
【G7 金利・国債系】
2011.10.03: 日本国債5年CDS 1.3% vs 日本国債5年モノ0.35%
2011.09.09: スイスフランの介入劇
2011.07.07: モルガンS、米インフレ期待めぐるトレーディングで損失
2011.04.18: 米国債券投資戦略のすべて3/3 ~パススルー証券
2010.02.04: 日本最大の投信「グロソブ」4兆円割れ
2009.12.01: 金利系投資からの撤退 
2009.08.05: 金利をSalesに教える
2009.06.17: 暗算でやる金利計算@街頭インタビュー
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.12.25: さようならUS Strips
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い  
2007.12.12: 債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配