送金コストは複雑でしかも場合によって異なるので、手数料リストを見ていてもよくわからないことが多い。この問題に関しては、世界銀行がRemittance Prices Worldwideという報告書を作成している。これは送金国32、受け取り国89の間で送金コストを推計したものだ。200ドル、500ドルを送る場合について計算がなされている。これは小額送金である。つまり、移民が本国へ送金する場合などが問題として意識されているわけだ。200ドルの場合、全世界平均で送金コスト率は2013年4Qに6.13%、14年1Qで5.91%だった。G8の平均は13年4Qに8.2%、14年1Qに7.73%だった。G8の中では日本が最も高い。最近15%を切ったが、これまでは17%程度だった。手段別で見ると、銀行の口座間振込みはかなりコストが高い。日本から韓国や中国に送金する場合のコスト率は実に30%を超える。これは世界で最もコストが高い送金経路であるとされる。

200ドルって送金しようとしたことないからわからないけど、そんなにかかるの?
http://www.mizuhobank.co.jp/direct/about_direct/gaikoku_sokin.html
他行向電信送金5500円+コルレス先支払い手数料2500円=8000円
ガーン・・・。恐怖の30%超は本当だった。ちょっとイライラする項目が2つ。
本支店向電信送信 5000円ってあるんだけど、みずほの海外支店で個人対応してるところあんのかよw
上限200万円(一ヶ月間で)ってことは、手取り2400万円以上のエキスパッツは困っちゃうね。みずほ使うと送金は最低でも8000円÷200万円で0.4%。高すぎw

先進国の場合にも為替スプレッドの問題は残る。既に見たようにドルであってもスプレッドはTTMの2%程度になる。これは決して無視できない大きさだ。これが低下すれば、貿易の利益率には大きな影響がでる。

いや、さすがに大企業は対ドルの為替取引で2%は払わないから、”日本の貿易”には関係ないような・・・。

先進国間の貿易では、輸出には輸出国通貨が使われるのが普通であるとされる。これはグラスマンの法則と言われる。しかし日本の場合、財務省の「貿易取引通貨別比率」によれば2013年下半期において、円の比率は日本からの輸出で38.4%、輸入で22.9%である。対米輸出では円の比率は15%にすぎない。韓国との間でも円よりドルの比率が高くなった。日本はグラスマンの法則の例外国であると言われる。円建て比率が低くなるのは円が国際決済通貨として認められていないためだ。IMFのデータCOFERによると、13年4Qで世界の外貨準備に占める円の比率は3.9%でしかない。これはGDPにおける日本の比率(2012年で8.2%)と比較していかにも低い。つまりスプレッドの負担は円が国際化していないことのコストなのだ。これは言語の問題と似ている。
またビットコインを原資産とするデリバティブも簡単作れる。これによってビットコイン価格のボラティリティを減少させることができる。多くの人がビットコイン価格の上昇を予想している状態では、価格下落をヘッジするようなデリバティブは容易に実行できるはずである。

野口先生もデリバティブはわかってらっしゃるはずなのに、これは変だな。
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ビットコイン先渡、ビットコインの現物を買って先渡を売れば、先渡の投機的上昇に対してアービトラージができる。米ドル金利+α程度しか行かないだろう。でも先物・先渡作れば、ビットコインに金利(Implied Base)の概念ができる。
価格下落をヘッジするってビットコインオプションかな? 「上昇を予想している状態では、価格下落をヘッジするようなデリバティブは容易」って野口先生、コールが高いなら、プットも高いっすよ。プットコールパリティっつーんでこれも、コール売って、プット買って、先渡買えば、コールが高くてプットが安くなるような投機的な動きに対してアービトラージができてしまうので、そういうことになりません。
デリバティブの導入でボラティリティへの影響は軽微と言っていいでしょう。デリバティブの導入で価格変動が激しくなる論者もイライラするが、もうはっきり言いきっちゃおう。デリバティブの導入で原資産のボラティリティに影響はないw まぁ、例えば、空売り規制がある状態で、先物があれば、価格が無駄に吹き上がることを抑える効果とかも期待できそうだが、それも空売り規制が問題なだけでデリバティブの導入はボラ低下の直接の要因ではない。また、オプションが売れるからというのもあるが、デリバティブ取引することで原資産のボラティリティにインパクトを与えるのは、ガンマトレードだけだ。スペキュレーション・ヘッジはデリバティブをホールドするだけで原資産の取引はしない。アービトラージャーもプットコールパリティだったら現物に影響を与えない。ガンマトレードしているアービトラージャーのガンマ総量が、プラスならボラティリティは低下、マイナスならボラティリティを上昇させるトレードが出てくるが、そんなものは市場全体で見たら、わずかと言っていいだろう。
ただ、デリバティブ市場が発展している市場、例えば米国市場のボラは日本よりも低いのは事実である。しかし、デリバティブの発展は原資産の流動性(売買代金)に準拠する。だから、原資産の流動性が高ければ、価格の変動もまた一般に小さくなる。流動性が高ければデリバティブ市場が発展すると言う構図なので、鶏と卵的ではあるが、流動性が影響しているといったほうが正確だろう。
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