欧州系バーゼル3対策、名前が変だよCoco Bonds

イギリス系銀行、Lloyds,Barclays,RBSなどを中心に欧州系の銀行が発行していたとされるCoco Bondsと称されるものは何か? まずは、ちょっとわかりにくいFTの解説をご覧頂こう。後に私が解説を加える。
Contingent convertible bonds explained
Are they bonds? Are they stocks? Or are they actually catastrophe insurance?
Bankers declared the birth of a new asset class – contingent convertible capital notes, nicknamed CoCos – after Lloyds Banking Group announced a successful take-up of a £9bn exchange of CoCos for some of its existing hybrids.
Regulators think these instruments are the answer to banks’ capital prayers because they clear up the uncertainties of existing hybrids by converting into equity at a pre-set trigger and price.
But how do CoCo bonds work? Our interactive feature explains.
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Coco Bondsとは、Cocosとは何か? 自己資本比率が下がった時に株への転換が発動する社債である。自己資本比率が下がる=赤字を出す≒株価が下がっている ということなので、株価が下がった時に株になる債券である。いわゆる一般的な新株予約権=転換社債=CB=ConvertiblesのようなCall Optionが付いた社債ではなく、Putを売っている社債なので、クーポンが高めになるのである。
Co-Co条項、Contingent-Conversionという言葉をすでに知っている人は、投資一族のブログ読者と言えども少ないと思うので、一般にCo-Coと言えば、というのを控えて、”従来”Co-Coと言えばに言い直すが、従来型のCo-Co条項は、条件付転換というのは変わらないが、転換価格が120%だとしたら、140%になったら120%で転換できる価格制限とか、転換できる時期に制限があるという条項である。FTの文中にちょっと出てくる”contingent convertible capital notes”とあるがCapital Contingent Conversionと記述しても良いくらいに思える。
ではこのCapital Continget Conversionが発動するのは、Core tier 1 Capital Ratioが5%以下になった時、と想定しよう。現在のtier1 Capitalが10%あるとするならば単純に株価が現在の半分(50%下がる)になった時に株への転換が発生すると仮定できる。(もちろん、Total Capital Ratioが株主に帰属する資本なので、それが15%だとしたら33%下がった時に転換が発動すると仮定すべきである、という反論はありだろう。) そもそもTotal Capitalと株価(時価総額)の関係も状況によって設定できると思うが、大事なことは、Tier1 Capitalが下がった時、ということは株価の下方に発動条件がある。つまり、Knock-In条項付に近いと言えるだろう。四半期ごとの決算上の概念なので、一般的なKnock-In条項の連続参照ではなく、四半期一度の離散参照ではあるが、仮定に仮定を重ねる話なので、連続参照・離散参照の差異は細かくこだわらなくても良いだろう。
ここで、Capital Contingent Conversionは、Knock-In Put売りを内包した社債であり、いわゆるAmerican Call Option買いを内包したConvertiblesとは全く異質なものであることがご理解いただけたであろう。銀行の資本規制の都合上で作られた商品ではあるが、この商品を批判するには当たらない。銀行都合が悪ならば、会社都合で増資発行される普通株式も悪とみなさねばならないからだ。しかし、うまく投資家心理を突いてきているのは事実で、これはエキゾチックオプションでもそうなのだが、Put売れというと躊躇してしまう投資家に対してPut売りを後押しするKnock-In条項が有効なように、ここでも事実上のPut売りストラクチャーを自己資本比率トリガーというKnock-Inで、後押ししているのである。期間が長いオプションであれば、PutとKnock-In Putの価格差はほとんど無いこと(言いすぎ?大きくないくらいが事実か?)が、発行者側の背景にある。
転換価格が固定されている場合と変動する場合があるようなので、ここではCoco Bonds,Cocos一般について語りたいので特定しない。だが、一方、一般に言えることは、高いイールドになればなるほど、資本性を強く帯びてくる。Coco Bondsのイールドのクレジットスプレッドに対する超過分は、自己資本利率が低下した時に株を引き受けさせられる義務を履行する対価にある。高いイールドほど、株式に転換させられる確率が高い。状況によっては株に強制的に転換されるというプットの性質は、優先株性が出ている。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/90ef357a-34ad-11e2-8b86-00144feabdc0.html#axzz2MFqLTUq6
この記事では、バークレイズは、”the first high-trigger total-loss bond”と記述している。Cocoに比べるとLossという言葉が入っていて、ネーミングセンスのなさを感じるものの実態はよくあらわしている。私が実態に即してこのCocosを命名するならば、Capital Trigger Mandatory Conversion という性質を持つPreferred Stockの扱いだ。Mandatoryという言葉は投資家に嫌な印象を与えるので、商売としては不適切なネーミングではあるが。
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イギリス系銀行、Lloyds,Barclays,RBSなどを中心に欧州系の銀行が発行していたとされるCoco Bondsと称されるものは何か? まずは、ちょっとわかりにくいFTの解説をご覧頂こう。後に私が解説を加える。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/76bc2ae2-e34c-11de-8d36-00144feab49a.html#axzz2MFqLTUq6
Contingent convertible bonds explained
Are they bonds? Are they stocks? Or are they actually catastrophe insurance?
Bankers declared the birth of a new asset class – contingent convertible capital notes, nicknamed CoCos – after Lloyds Banking Group announced a successful take-up of a £9bn exchange of CoCos for some of its existing hybrids.
Regulators think these instruments are the answer to banks’ capital prayers because they clear up the uncertainties of existing hybrids by converting into equity at a pre-set trigger and price.
But how do CoCo bonds work? Our interactive feature explains.
Coco Bondsとは、Cocosとは何か? 自己資本比率が下がった時に株への転換が発動する社債である。自己資本比率が下がる=赤字を出す≒株価が下がっている ということなので、株価が下がった時に株になる債券である。いわゆる一般的な新株予約権=転換社債=CB=ConvertiblesのようなCall Optionが付いた社債ではなく、Putを売っている社債なので、クーポンが高めになるのである。
Co-Co条項、Contingent-Conversionという言葉をすでに知っている人は、投資一族のブログ読者と言えども少ないと思うので、一般にCo-Coと言えば、というのを控えて、”従来”Co-Coと言えばに言い直すが、従来型のCo-Co条項は、条件付転換というのは変わらないが、転換価格が120%だとしたら、140%になったら120%で転換できる価格制限とか、転換できる時期に制限があるという条項である。FTの文中にちょっと出てくる”contingent convertible capital notes”とあるがCapital Contingent Conversionと記述しても良いくらいに思える。
ではこのCapital Continget Conversionが発動するのは、Core tier 1 Capital Ratioが5%以下になった時、と想定しよう。現在のtier1 Capitalが10%あるとするならば単純に株価が現在の半分(50%下がる)になった時に株への転換が発生すると仮定できる。(もちろん、Total Capital Ratioが株主に帰属する資本なので、それが15%だとしたら33%下がった時に転換が発動すると仮定すべきである、という反論はありだろう。) そもそもTotal Capitalと株価(時価総額)の関係も状況によって設定できると思うが、大事なことは、Tier1 Capitalが下がった時、ということは株価の下方に発動条件がある。つまり、Knock-In条項付に近いと言えるだろう。四半期ごとの決算上の概念なので、一般的なKnock-In条項の連続参照ではなく、四半期一度の離散参照ではあるが、仮定に仮定を重ねる話なので、連続参照・離散参照の差異は細かくこだわらなくても良いだろう。
ここで、Capital Contingent Conversionは、Knock-In Put売りを内包した社債であり、いわゆるAmerican Call Option買いを内包したConvertiblesとは全く異質なものであることがご理解いただけたであろう。銀行の資本規制の都合上で作られた商品ではあるが、この商品を批判するには当たらない。銀行都合が悪ならば、会社都合で増資発行される普通株式も悪とみなさねばならないからだ。しかし、うまく投資家心理を突いてきているのは事実で、これはエキゾチックオプションでもそうなのだが、Put売れというと躊躇してしまう投資家に対してPut売りを後押しするKnock-In条項が有効なように、ここでも事実上のPut売りストラクチャーを自己資本比率トリガーというKnock-Inで、後押ししているのである。期間が長いオプションであれば、PutとKnock-In Putの価格差はほとんど無いこと(言いすぎ?大きくないくらいが事実か?)が、発行者側の背景にある。
転換価格が固定されている場合と変動する場合があるようなので、ここではCoco Bonds,Cocos一般について語りたいので特定しない。だが、一方、一般に言えることは、高いイールドになればなるほど、資本性を強く帯びてくる。Coco Bondsのイールドのクレジットスプレッドに対する超過分は、自己資本利率が低下した時に株を引き受けさせられる義務を履行する対価にある。高いイールドほど、株式に転換させられる確率が高い。状況によっては株に強制的に転換されるというプットの性質は、優先株性が出ている。
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/90ef357a-34ad-11e2-8b86-00144feabdc0.html#axzz2MFqLTUq6
この記事では、バークレイズは、”the first high-trigger total-loss bond”と記述している。Cocoに比べるとLossという言葉が入っていて、ネーミングセンスのなさを感じるものの実態はよくあらわしている。私が実態に即してこのCocosを命名するならば、Capital Trigger Mandatory Conversion という性質を持つPreferred Stockの扱いだ。Mandatoryという言葉は投資家に嫌な印象を与えるので、商売としては不適切なネーミングではあるが。