米カジノ当局、ユニバーサルの岡田会長らを聴取 ~Wynnの10K

カジノ産業でもめごと、今日はユニバーサル(旧アルゼ)ともめているWynn Resortsに焦点を当てつつ、この問題を見ていこう。日本の読者にお勧めしたいのはアメリカの上場会社のディスクローズ資料の10-K(有価証券報告書)は何かしら読んでみると良いだろう。10-Kのメリットは
1.SEC準拠なのでフォーマット(記載すべき内容と順序)が各社同じなので、色々な会社を読む時は比較しやすい。一方、カラフル、図付き、写真付きのアニュアルレポートが一見読みやすいように思えるが、この理由から比較がしにくい。字と数値だけの白黒の10-Kは利用価値がある。アメリカの場合、四半期決算も充実しているので10-Qでも差し支えは無いが、最初、ざっくり見るのなら、1年のデータをまとめてみることができる10-Kが良いだろう。
2.日本の有価証券報告書を読みなれていれば、これまた記載すべき内容と順序が、”似ている”ので、私のように英語が嫌いな人でもかなり読みやすい。大きな違いというと、株主構成が抜け落ちている(これは14Aというまた別の資料に載っている)こと、それから”コンペティター企業”の名前も遠慮なくビジネスリスク要因などのところに登場するのが面白い。日本の場合、他社の名前は、せいぜい掛けの取引先と、株主構成にしか登場しない。
3.Yahoo Financeからでも簡単に取れる。SEC Filingと書いてあるところを押すだけでリンクがつながってしまう。

米ネバダ州カジノ当局、ユニバーサルの岡田会長ら4人を聴取へ
[東京/サンフランシスコ 8日 ロイター] 米ネバダ州のカジノ規制当局が近くユニバーサルエンターテインメント(6425.OS: 株価, ニュース, レポート)の岡田和生会長と取締役3人を呼び、聴取をすることがロイターの取材で明らかになった。フィリピンでカジノリゾートの建設を計画するユニバーサルは、同国カジノ規制当局首脳の側近に巨額の資金を支払っており、同社が娯楽関連事業の免許を持つネバダ州の規制当局は調査を進めている。
 複数の関係者によると、呼ばれているのは岡田会長のほか、取締役の徳田一、麻野憲志、澤田宏之の各氏。聴取は非公開で3月13日、14日に予定されている。ネバダ州でカジノ運営などの免許を持つ事業者を監督する同州カジノ規制委員会(NGCB)は、聴取の予定の有無についてコメントを拒否。ユニバーサルの広報担当者もコメントを拒否した。4人とも、NGCBから不適切な行為があったとは指摘されていない。
 ユニバーサルをめぐっては、同社からフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)の会長の側近に4000万ドルが流れていたことなどをロイターが報じている。これに対しユニバーサルは、フィリピンの事業は「法令を順守する体制で遂行している」とコメント。昨年末、ロイターを提訴したと発表した。
 複数の関係者によると、米国とフィリピンの捜査当局もこの資金について調べを進めている。
 ユニバーサルの岡田会長は昨年来、ビジネスパートナーだった米カジノ大手ウィン・リゾーツ(WYNN.O: 株価, 企業情報, レポート)のスティーブ・ウィン会長と、互いに不正行為があったと訴訟合戦を繰り広げてきた。ウィンは2月22日の臨時株主総会で岡田氏を取締役から解任する議案を諮る予定だったが、同総会前に岡田氏自ら辞任した。岡田氏はウィン側の主張に反論しており、ウィンが岡田氏から自社株を大幅なディスカウントで強制的に買い戻したことに対し、係争を続ける姿勢を示している。

ユニバーサル vs WYNN Resortsで時価総額を見ると、1500億円 vs 1兆1000億円(11.7bil USD)でWynnが圧倒的なのだが、Wynnの株主構成を見ると、様子が変わってくる。
Wynn-Holders-Table.jpg
岡田一族で67.9%+自社株8.4%を占めているユニバーサルに対して、Wynn親子は8%+7.8%、さらに筆頭株主は岡田氏19.6%なのである。アルゼ時代は個人名だった気がするが、一族企業を作って死ぬ準備か?ちなみに岡田氏が筆頭株主だったのは去年の話で、最新の状態では0株でニュースのとおり取締役も辞任している。
フィリピンのカジノリゾートと言ってしまうと想像が難しくなるので、今起きていることを、あえて平易に言えば、博打のシマの親分同士の抗争なのです。そんな時にコーポレートガバナンスだなんて甘いこと言っていられると思いますか? 株主と経営は一心同体で、即断即決で勝負していかないと生き残っていけないのです。グローバルに上場大手のカジノは大体そうなってますので、ご確認くださいw
カジノの売上がMacauがLas Vegasを抜いたとよく言われている。この文言に2つの注意点があるのでそれを挙げておこう。まず簡単な方から
Wynn-Vegas-Macau.jpg
2011年Las Vegas 訪問者数39.7mil Macauは28milとあり、訪問者数はまだVegasが上というのはホテル・宿泊施設とカジノの広さを比較するだけでもよくわかり、Macauは観光というより、より鉄火場的な要素が強いことをデータが示している。
もっと重要なのはカジノの売上の定義である。
Wynn-Revenues.jpg
よくある勘違いは、プレイヤー諸君らが投じた金額が売上になっていると思っているが、そうではない。売上はカジノ収益、つまり、カジノの売上={お客様が投じた金額-お客様に返した金額} なのである。もしカジノが零細だったりフェアギャンブルならば、売上はマイナスもありうる状況下で、売上マイナスのカジノなんて見たことが無い! つまりカジノが負けるなんて財務諸表はこの世に存在しない! カジノで賭けたくなるような歴然たる事実がこんなところにもあるね。
売上と還元率までディスクローズされているので見てみよう。
Wynn-Winrate.jpg
1. Slot Machineの還元率が一番わかりやすいので、Las Vegas 6.09% Macau 5.26%となっていて、これらがSlot期待値である。
2. VIP CasinoというのがVIPテーブル席における期待値と言える。VIPテーブルではチップはNon-Negotiable Chipといい、各カジノテーブル上で買うものではなく、かごから買うものである。そして賭ける時にのみ使い、客が勝った時はCash Chipをもらうことになる。この方式で、Cash Chip/Non-Negotiable Chipで総収入から還元率が計算できる。
3. 一方、Drop=一般席におけるテーブルゲームの箇所に記載されている22%という数値は期待値ではない。これは各テーブルでチップを買い、賭ける時も勝った時も同じチップを使っているので、キャッシュ・カウンターの出て行った金÷テーブルの”ドロップ”に入っている金=還元率、1-還元率でここの22%というカジノ側のWin Rateになるのである。この方式ではVIP Tableで計算できたTurn Over、期待値はわからない。
Wynnに関してはSlotはマカオの方が還元率が高い。Dropは還元率や期待値ではないのではあるが、Vegas 22%に対してMacauが30%なのは、回転率が良いバカラが主体だからである。何度も繰り返すが、この数値はWin%と書いてあるが、期待値を意味していない。
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