Q3.では、この企業業績以外という稀にしか発生しないイベントになぜ私が焦点を当てているかわかりますか?
これらのイベントには、企業業績とは決定的に違うものがあるのです。
ヒントは、このステークホルダー。
> 株価は、ステークホルダが意図的に、変動を促すことができる?
惜しい。逆です。
株価の変動要因は、業績とイベント(コーポレートアクション(M&Aやプロキシファイト増資など)
と説明しました。
企業の業績というのは、多くの利害関係者(ステークホルダー)が絡むことです。
顧客、取引先、従業員、銀行、関連会社、国家となっています。ですから、
如何に社長・大株主と言えども、企業業績の予測・操作というのは簡単なこと
ではありません。
一方、コーポレートアクションというのはどこで決まっていることでしょうか?
全ては、少人数の取締役会、大株主の意向で、作為的・人為的に決まることです。
つまり、コントロールされた株価の変動。これが少数株主、株主全体にとってプラスに働いている
かどうか?が会社経営の健全性と株主還元を見ることの判断材料になるからです。
誰でも知っている有名企業の場合、社長は往々にして雇われ社長で、社長と大株主が違うため
コーポレートガバナンス(企業統治)が働きやすく、公器としての役割を全うしているので、その心配
を過度にする必要はありません。
一方、これから飛躍的な成長が見込まれる小さな企業の場合は、社長と筆頭株主が一致して
いることが多く、会社は未だに社長の手中にあり、少数株主は社長の野心のための道具となりうる
こともあるのです。
> なるほど。作為的・人為的に決まるが故、
> コーポレートアクションが違法性のある情報漏えい(インサイダー、聞いちゃった)、
> にもつながりやすいわけですね。
> あと、以前いたタイの会社は、入社面接時に、ストックオプションを付与するといって
> 社員のモチベーションアップにつなげようとしていましたが、これは、業績アップを促す
> 健全な株式利用方法という感じでしょうか。
ストックオプションの健全性もまた損益計算書とステークホルダーで説明することができます。

 売上     顧客
-原価     取引先
-販売管理費  従業員 
 営業利益
-金利支払     銀行・債権者
+ 配当収入   関連会社     
 経常利益
-法人税    国家
 純利益     株主・役員賞与

となっています。この順序も非常に大事で、上から順番に優先順位があるわけです。
社内で最高の優先順位を持つ従業員
一方、役員の賞与は純利益の積み上げである利益剰余金から
名目上出されます。最も劣後しているのが株主です。
従業員は、その優先順位から、金利支払や法人税のことは考えなくても、給料さえもら
えれば良いという発想になります。従業員にストックオプションを出すということは、会社全
体を意識させる効果があるという意味で健全と言えましょう。
【株にまつわる事件】
2010.06.28: 政商 昭和闇の支配者 ~企業買収
2010.05.18: 秘録 華人財閥 ~李嘉誠と包玉剛 「英資財閥への挑戦」
2009.11.13: 7736企業乗っ取り 300億円強奪を示す財務諸表
2009.10.15: BNP作為的相場形成の疑義についての見解
2009.07.17: 秘史「乗っ取り屋」暗黒の経済戦争
2008.10.14: 日経225オプションの誤発注
2008.09.25: 世界一のお金持ちの楽しいShopping@GS PPS+Warrant
2008.08.18: 8868 スワップ契約についての考察
2008.03.20: 一族家における投資教育 ~新発CBとIPO
2008.02.02: 信用取引 証券会社の儲けと投資家(顧客)のうまみ
2008.01.28: ソシエテ・ジェネラルの大損