先物のアンダーライングとなっているIndexは、CSI 300 (China Securities Index)というもので、
http://www.csindex.com.cn/sseportal_en/csiportal/xzzx/down5.jsp
一般に馴染み深いSHCOMP(Shanghai Stock Exchange Composite Index)とは異なる

CSI300 			SHCOMP
銘柄数		300社			911社
取引所		上海・深圳		上海
計算方式	FreeFloat-Weighted	Capitalization-Weighted
計算開始日	2004年12月31日		1990年12月19日

ということからわかるようにSHCOMPに比べ、新しい。歴史が浅いと言ってしまえばそれまでだが、SHCOMPよりも金融技術
的には良い指数である。
株に詳しくない人のために違いを説明すると、単純平均、時価総額加重平均、浮動株調整時価総額加重平均と取引
実勢・運用のし易さを考え、株式指数の計算方法は歴史的な変化を遂げている

単純平均は、値がさ株(単に株価の高い会社)の影響が大きくなり、経済全体の鏡としての説明力が弱くなる。日経平
均指数は単純平均に近い計算方法であり、それが主たる日本のインデックスとは、時代錯誤も甚だしい事態である。
株式市場における会社の大きさとは、時価総額=株価×発行済株式数で測られる。すなわち、何株発行するかは会社
の自由であるゆえに、株価が高いというのは、もはや何の意味も持たないからである。これを考慮して計算しているのが、
時価総額加重平均、Σ株価×発行済株式数÷除数で計算される指数なのである。
10000円で発行済み株式数が10株のA社と100円で発行済み株式数が1億株のB社の二社で指数が構成され
ているとしよう。
単純平均の場合、指数は(10000+100)÷2=5050円となる。
時価総額加重の場合、(10000×10+100×100,000,000)で計算する。2つの指数を一致させるために
除数を10,000,100,000/5050で定義する。
ではここで、A社の株が1%上がり、B社の株が1%下がった時の指数の推移を見てみよう。
単純平均の場合、(10100+99)÷2=5099.5 前日比 +49.5
時価総額加重の場合、(10100×10+99×100,000,000)×5050÷10,000,100,000
=4999.50 前日比 -50.5
となるのである。時価総額10万円のA社と時価総額100億円のB社の社会的影響は火を見るより明らかに、B社が
大きいわけであるが、単純平均の推移はそれを反映することができないのである。
時価総額加重で初めて、真に”大きい”会社の動きが反映され、経済全体を見ることができるようになったわけであるが
そこにも運用上は問題が存在していた。実際に、Indexを買おうとした時、金額に応じて、発行済み株式数比で株を
買えば、Indexにかなり近いパフォーマンスが得られることが想像できるであろう。
例に戻って、実際の株式バスケットを組んでみよう。
単純平均の場合、A社を1株、B社を1株持っていると、Indexを完全にトレースすることができる。
時価総額加重の場合、A社を1株、B社を10,000,000株持っているとIndexをカバーできるとなるわけである。
ところが、B社株を買う時に、B社株に流動性がなく日々1,000,000株しか取引されていないとしたらどうだろうか?
運用者としては、Indexを買いたいのだから、早急に10,000,000株が必要なのであるが、それは単純計算して
10日かかる。その間に株価が動いてしまうと、もはやIndexを復元することはできない。よってこういう困った事態に陥ら
ないよう流動性を考慮して作られたのが浮動株調整付き、Free Float Weighted Indexなのである。
発行済株式数が多いのに流動性が低い原因は、安定した大株主が居て市場に株が出回っていないことにある。よって
昔の日本でも株の持ち合いで、流動性が低い株は時価総額の割には取引高が小さくなりがちであった。特に中国は共
産主義体制で、政府保有の株数が多いので、この影響はかなり大きい。
以下に各指数の構成銘柄Top10の銘柄とWeightを見てみよう。
ChinaIndexTop10.png
あまりにも違うWeight。そしてCSI300の美しい分配。金融技術の賜物ですな。
【市場概観】
2010.03.30: 日経平均配当指数 そもそも日経平均が変な指数
2009.12.14: HとAどっち?
2008.10.15: 製造業至上主義的産業構造分析
2008.07.17: 車業界勢力図
2008.06.19: 原油先物の取引高
2008.01.14: またも出た 異なる時価総額ランキング
2007.12.29: 時価総額の計算方法
2007.12.21: 小型株は一部割安感有り
2007.11.30: 中国株はチキンレース