Category: デリバティブ

ガンマ無き者はデリバティブに非ず

債券の利落ちについて議論していた時に、私の同期のL君がジュニアに言いました。
L君「デリバティブのプライシングにおいて、Cash Flowを見落とすというのは、起こりえない。
   デリバティブの本質はCash Flowの組み換えなのだから。」
私 「ちょっと待って。それはいかにもFixed Income(FI)の発言だね。
   デリバティブの本質は、この株をいくらで買いたいか?ということにある。
   Cash Flowの組み換え?ガンマ無き者はデリバティブに非ず。」
と間違ったことを言いながら、思わず割って入った。
L君「FIフロアにおいて、ガンマという言葉はほとんど聞かれることは無い。
   全てのキャッシュフローを書き出し、それを割り引く。
   それが基本であり、デリバティブはそこから始まっている。」
私 「確かにデリバティブという概念を確立したのはFIの人かもしれない。ISDAなども極めて
   FI中心の発想で作られているが、FIデリバティブがデリバティブの中心と思うなよ。」
とジュニアに語りかけつつ、もう止まらない。
「俺が思うに、エクイティ・デリバティブの歴史はFIよりも古い。
例えば、伝説の相場師ジェシー・リバモア。

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彼が活躍したのは、場外馬券上ならぬ、場外株式取引所。
株式市場から流れてくるテープを読みながら、証拠金を預けて、上げ下げに張る。
外れれば、証拠金は召し上げで、当たれば差額をもらえる。
これは、Knock-Out Optionに他ならない完全なOTCデリバティブ取引で、ヤクザが仕切っていたか、金融機関が仕切っていたかが違うだけだ。
株式市場が存在と供に、それを元に博打をハル奴は必ず居たはずだ。記録こそ残ってないかもしれないが、エクイティデリバティブの歴史はFIよりも古いはずなのだよ。
これはキャッシュフローの交換か?将来の株価に賭ける博打こそがデリバティブの原点よ。」
と猛烈ラッシュ。思わずジェシー・リバモア出しちゃったよ。
L君の名誉のために言っておくと、彼は割引率、スワップ、クロスカレンシースワップ、キャップ・フロアー、スワップションという流れで、基礎からキチンと理解している人です。いきなり超エキゾチックをわけもわからずボタンを押してプライスしていたわけでもなければ、ガンマという概念がわかっていない人でもありません。
優秀だし、尊敬できる。ただね、たま~に、FI的発想が出たりすると思わず噛み付いちゃうわ。

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ソシエテ・ジェネラルの大損

http://www.guardian.co.uk/business/2008/jan/25/banking.france
フランス大手銀行、ソシエテ・ジェネラルがトレーディングで約7-8000億円の損失を出したということは色々なところで書かれていますが、比較的詳細について書かれていたので元の記事は、かなり長いですが少しつまんでみました。
ただ、取り上げておいて言うのもなんですが、デリバティブ的にはこの事件は面白くありません。
先物をデリバティブって言わないで欲しい。(先物はデリバティブです。私が間違ってます。)
・トレーディング戦略の失敗ではなく、一人のトレーダーが起こした詐欺事件であること。
・損した商品は、先物と株であること。(超シンプル)
・システム的に取引を隠したところが、この事件の原因であること。
金曜日には怪しいポジションがあると会社側はわかっていたようなので、1日で見つけたとしたら
その時のマーケットは、EURO STOXX 50が18日(-1.75%)と21日(-7.59%)の下落で約9.3%。
ポジションはこの記事によれば、
先物2bil EUR(3000億円)、個別株1bil EUR(1500億円)、合計40bil EUR相当
と書いてある気がするが、
27日付会社発表にはメインはDAX20bil EURとユーロストック50 30bil EURと書いてある。
日経には全体8兆、DAXだけで損失の半分と書いてある。
どちらにしても、先物でやられたって話ですね。
推測するに、彼はDelta Oneトレーダー(先物・株などあまり計算する必要が無い商品担当)なので、あれだけエキゾチックの強い銀行の銀行内での地位は相当低かったのでしょう。
動機は、報酬ではなく、なんらかの記録を残したかったのではないかとのこと。
そして、この記事もこのように締めくくられています。
Financial markets are ruthless and a forced seller has always been easy prey.
前回も言ってますけどね。見てください、ユーロストック指数。彼らがポジション解消に3日かかったそうですが、売り終わった水曜日。3577.99で直近最安値で引けています。
また底で売った例を一つ追加。Limitが無い世界なら、彼は天才だったかもしれないっすけどね。
Delta One、Index&Large Cap、かつLongとかって幼稚なポジション取るヤツに叡智があるとは思えないが。

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恐るべしJump DiffusionとVAR-SWAP

行って来いの相場展開。Holderとしてはホッと一息なのかもしれません。
この相場展開が、VAR-SWAPのValueにどのように影響を与えたのか見てみましょう。
VAR-SWAPとはVarianceのSWAPで以下のような取引となります。
Vega Amount ×100/(2Strike){252×Σ[Ln{P(t)/P(t-1)}^2]/N-Strike^2}
P(t)は毎日毎日の株価の引値です。
1日辺りどのくらい動くとBreak Evenかは{}の中を計算すればよく、
Ln{P(t)/P(t-1)}が毎日同じとすれば、N日分のΣと1/Nがキャンセルするので
252×Ln{P(t)/P(t-1)}^2-Strike^2=0のポイントとなり、Break Even=Strike÷√252となる。
HSCEIの6ヶ月のVAR-SWAPがStrike=40%を500K USD Vega Amount取引できたとしましょう。
Break-Evenは40%/15.87=2.52%となります。
直近のHSCEIの値動きを振り返ると
日付 Index Log Return
2008/01/23 13279.53 10.87%
2008/01/22 11911.91 -12.75%
2008/01/21 13531.45 -7.34%
2008/01/18 14561.32 0.55%
2008/01/17 14481.41 3.27%
この2日はBreak-Evenを大幅に超えるReturnで、他の日が全てBreak-Evenの2.52%で振る舞い
-13%と11%が2日含まれると実際満期でナンボ受けることになるか考えてみましょう。
Vega Amount ×100/(2Strike){252×Σ[Ln{P(t)/P(t-1)}^2]/N-Strike^2}
は長いのでまた{}の中だけ考えると、
252×Σ[Ln{P(t)/P(t-1)}^2]/N-Strike^2
第一項は、6ヶ月契約なのでなので、252とNをまとめて考えれば252/Nは2です。
全てBreakーEvenの場合Σ[Ln{P(t)/P(t-1)}^2]は
2.52%^2×126(252/2です)=0.08
2.52%^2×(126-2)+(-13%)^2+11%^2=0.078745+0.0169+0.0121=0.107745
100/(2*40%)×{252×0.107745/126-0.16}=6.93625
Vega Amountが500Kだから�、おーう!
3.5milも儲かってるじゃないか!
500Kって結構なVegaですけどね。
続いて、もうちょっとエグく個別株
857 HK 世界一のペトロチャイナ君
2008/01/23 11.30 16.10%
2008/01/22 9.62 -16.10%
2008/01/21 11.30 -8.80%
2008/01/18 12.34 -0.32%
おーう!もーうダメだー!何兆円の時価総額が消えたり生まれたりしたのかわからーん!
同じく6ヶ月45%で取引したら、ついでだからこの3日分の値動きを入れると
2.836%^2×(126-3)+(-16%)^2*2+9%^2=0.098928+0.0512+0.0081=0.158228
100/(2*45%)×{252×0.158228/126-0.2025}=11.4
取引額の11倍!
50KのVegaを売っただけで3日で0.5mil飛ばしてしまうと言う�。Implied Volatilityが全く変わらないとしてもね。
今週、あなたは笑いました?泣きました?

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Worst Option ~香港より愛を込めて

私が始めてWorst Optionに出会ったのは2004年。
もちろん理論上定義できるが、そんなバカなオプションは誰もやらないだろうと思っていた。
3銘柄の2年のPut、計算結果に思わず目を疑った。こんなバリューあるのか?
3つもあればどれかは下がるか…とも思えるが、あまりにも凄まじいValueとGreekはVanillaに帰着させて連想するといういつもの手法が通じなかった。
なんでも香港の投資家がWorst Putを売りたがっているという。
彼らの基本的な考えは、日本のVolatilityは高い、またここから日本は持ち直すだろう。その過程においては全ての株が上がる。75%StrikeのWorst Fwdと95%のDigitalを買う、というのが具体的に上がって来たDerivative投資戦略。
これすなわち、25%割引で株を買い、あまったプレミアムでDigital Callを買い年率30-40%のハイパフォーマンスを楽しむというなかなか小粋な投資。結果として2004-5年のJapan Recoveryで日経平均が10000-11000円をうろうろしていた間も凄まじいReturnを上げた。最近の新聞記事に見られる日本離れとは全く逆の状況で当時は日本株がとてもアツく、日本国内に弱気論が渦巻く中、海外の誰もが経済回復を信じていた時代だった。
日経225の100%Strike 60%KI Putを売ってわずかなPremiumで満足している投資家達よ。ツメの垢をせんじて飲め。
この投資家の叡智に惚れ、香港に対して興味を持ち、好きになった。このオプションとの出会いが、きっかけで香港に居るといっても過言ではない。

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Global Basket Correlation

1.営業日問題
2つのペア、例えばトヨタとホンダなら、上場している市場が同じなので、特に問題はありません。
yokokenさんのWebのようにGoogleとトヨタの場合はどうでしょうか?
流石に彼はその問題をわかっているせいか、Toyota(ADR)を使っているので、同じニューヨーク
市場なので営業日計算の煩雑さを考える必要がありません。
ただ、東京に上場しているトヨタとGoogleを比べた場合、2つは、営業日が違います。
Date Stock A Stock B
12/24 100 100
12/25 101 X’masで休場
12/26 100 102
この場合、2つの方法が存在します。
Stock Bの25日の株価を100として計算。
25日はサンプルとして扱わず、26日のStock AのReturnを26日株価/24日株価で計算。
トレーディング感覚にあうのは後者です。なぜならばStock Bは25日に100でトレードできないから
です。またCorrelationは、ペアに対して存在するので、2つの株価が同時に存在しない25日は
サンプルから外すことに違和感がありません。
2.影響度合(主導権)問題
個別企業同士のCorrelationは、影響を見るのは難しいかもしれませんが、Indexの場合状況が
変わります。例えば、日経とS&P500の相関を計算するケースを考えましょう。
上記のように営業日を考慮しながら計算したとしてももう一つ考える必要があるのです。
日本における朝の行動を思い出しましょう。
ニューヨークダウがいくら上がったのか?って気にしていませんか?
一日は、東京から始まって、アメリカで終わるのです。
アメリカが上がったら日本も上がるというのは、正確には
昨日のアメリカが上がったら、今日の日本も上がるということになります。
それを反映させるためには、同じ日のログリターンの変わりに、アメリカの株価の列を一日ずらし
て計算すると面白いほど相関が変わります。
この違いはアメリカには日本は全く影響を与えていないと言う悲しい事実を示すものですが�
(ご参考)
3.Correlation(相関)の計算の仕方
(1)統計学上の定義
http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/~ohwaki/fluctequation/correlcoef/correlcoef-1.html#correlcoef
(2)株式市場における計算方法
株式の相関を計算するときには、通常、株のログリターンln(S(i+1)/S(i))をペアで入力します。
株の観測という点で、トレードする頻度や期間に応じて以下の2つを決定しなければなりません。
周期 Daily、Weekly、Monthly と 期間 20Days,250Days、52Weeks
ちなみにWeekly計算は、簡単に上記の営業日問題を回避することが出来ます。
Weeklyの株価の定義ってのは人によって違うかもしれないので注意が必要です。
Weeklyって何曜日の株価ですか?
採用した曜日、例えば金曜が休みだったときは、いつの株価を入れるか?(木曜or月曜?)

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満期繰上特約付円定期預金

これも昔話ですが、とある先輩からの質問
満期繰上特約付円定期預金、これすごい儲かりそうなんだけど裏教えてくれや~。
3年または5年満期の仕組預金、期間延長特約付 金利1.0%
とか書いてあるわけだな。
”とある先輩” 財務諸表レッスンの題材で、早とちりして、キャッシュリッチ会社発見!
といった人ですが、色々聞いてくるので、話をしていて、面白いんですよ。
答え
5年で年率1%台のリターンで満足なら日本国債でも買ったらいかがでしょう?
日本政府が元本保証してるし、預金保険機構よりも安全?
これが答えなのですが、さすがにウラの仕組の解説になっていないので。
先輩は自分で3年または5年が選べると思っていたようなのですが、違います。
銀行が選べるのです。通常の5年定期よりも若干高い金利は、その権利の値段です。
その価値は以下の例で簡単に説明できます。
5年定期が1%、特約条項付が1.2%とし、3年後に金利がまた0金利に下がった場合
特約条項付仕組預金は、3年で償還します。5年間で見たとしても2年間は0金利なので
 1.2%×3年+0%×2年=3.6% にしかなりません。
一方、5年定期にしておけば、その後、どのような金利になろうが
 1%×5年で5.0%はもらえるのです。
金利のVolatilityの売りなので、金利低下時には3年定期になってしまうことへの対価です。

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金利0、配当0(0Drift) ATM Call のDELTAは50%? 50%超? 50%未満?

幾何ブラウン的にはDeltaはN(d1)で、d1の中身がσ√t/2が残るからとも言えるのですがね。
それではただ単に本の内容を覚えているに過ぎない。

私がDerivativeの経験者として、求める答えは、直感的解法。

Zero Driftだから、将来の株価の期待値は現値に等しい。Volatilityを無視すれば、つまり、
Volatility->0にすると、絶対ATMの上にいるから、ATM越えの確率はピッタ50%でDeltaは
1×確率50%で50%と言える。

一方、逆の想定を考える。
Call Optionの最大値は株に等しい。(Volatility->∞ならPremiumはSに近づく)
ゆえに、ボラが高ければ高いほど、株になるわけで、株は当然Delta1だから1に近づく。
Volatitlityが非負である以上、Deltaは0.5から1の間に居そうなので50%超。

これがマーケット的にスマートな説明だと思う。

ちぃと理論的なので、私にとってはベストではないがこんな風にも答えられる。

Volatility無限大と同じような効果で、長~いオプション見てると株価が幾何ブラウンという
想定が直感的に相当キモいんだがあえてそれを考える。

幾何ブラウンを想定して、100年後の株価はどういう分布になっているか?
長くすればするほど、モンテカルロで発生させたほとんど全ての株価は0近辺に張り付き、
一点だけアホみたいに成長しているというようになるだろう。
0Driftだと期待値100%、そして、Volatilityを100年間維持するためには上と下にかなり触れて
なければならない。下は0で抑えられてるから、平均から外れた異常値は上で取るしかない
ので、一点だけ上にぶっ飛ばし、ほとんどが下に集中することでVarianceを保つ。

これは究極の状態だが、Volatilityが高い、あるいは、期間が長い状況下では下に居る確率
が99%になる。だから確率は50%ではなく、下に居る確率が高いからATM Strikeは50%を
超えるともいえる。

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初めて会った時から好きだった

デリバティブ、これこそ私が一番自信のある分野なのですが、
世に広く知られているわけではないので、少し遠慮気味に始めてみました。

私が出会ったいくつかの面白い問題を投稿していくつもりです。
金融関係者は面接の時に使ってみて下さい。問題はシンプルですが
答え方次第で、デリバティブをどの程度理解しているか簡単に見抜けます。

「私は、確率微分方程式は使わずにデリバティブを説明できる。」
というとみんな「ホントかよ?」って顔をします。
多少の数学は使いますが、これからそれを実践して見せます。

今日は、初めなので問題には触れず、私とデリバティブの出会いを紹介します。

日本で証券会社に入社すると証券販売員としての外務員資格を取らされます。
1種と2種があり、2種は、株や債券などに対する資格です。

1種は、先物・オプション取引などいわゆるリスクの高い商品についての資格�
と仰々しく書いてあり、なんだかとても怪しげな存在でした。

なんだ? 先物・オプションって? 小豆・とうもろこしとかかな?
って思っていたのです。

入社して数ヶ月目、支店研修中、「先物・オプションってなんですか?」
って聞いてみました。そこで、先輩社員がおもむろに日経新聞を取り出し、
「オプション・ワラントは、俺の得意なやつだ。バブルの時はよくやった。」

見ると、日経の マーケット総合欄の下の方に、株価指数先物・オプションとある。

「コールは、株が上がったら儲かんだよ。例えばこれな。」
コール 行使価格 16500 終値 30 のところを指差してる。
「月の第2週金曜に日経が17000円になったとしたら、17000引く16500で
500円貰えんだよ。30円が500円だぞ。今日経が15500円だろ?
株が10%しか上がらなくても、オプションは10倍以上になるんだ。
レバレッジが効いてて面白いだろ?」

次は プット 行使価格 14500 終値 70 のところを指差しながら 
「プットはその逆な。10%下がったら14000円だろ?14500-14000で、また
500円貰えるわけ。70円が500円ね。儲かるだろ~?
でもな、コールもプットも、もし第2週金曜までに上がらない(下がらない)と
紙くずなのよ。つまり0円な。紙くずなるか?10倍か? すげーリスクあんだろ。」

これを聞いて、�惚れた。一瞬で惚れた。
「あっ!これだ」って思った。

そして、7年近く経った今でも、デリバティブを愛している。
この言葉に、一点の揺らぎも無い。

おそらくこれから書くであろうデリバティブの内容はデリバティブ業務従事者
意外には理解できない内容かもしれないが、それでもあえて書きたい。
読んでもらえば、私のデリバティブに対する思いが本気であることが
わかってもらえると信じている。

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