続・オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い、グリーク(リスク指標)の見方

プットを買いまくって、金利リスクがえらいことに
米国で得意の暴落待ちポジションを作る、Volatilityを買いながら、GammaはShort、Deltaは若干Longくらいのポジションが心地良いため、プット・カレンダースプレッドを中心にポジションをバシバシ重ねていくと、何が起こるだろうか?
ここから先は一般・アマチュアの人のために少し丁寧にいうと、まずこれを理解していないと無理なので、読んでいなければこっちをお先にどうぞ。
2011.09.01 %Gammaとは何か?
%Gammaがわかった上で、%Vegaやその他と合わせてみる見方については以下。
2014.07.07 オプション・トレーディングにおける個人投資家とプロの違い
↑に基本的なことは書いてあるのだが、その実戦編・続編としてこの記事があるので、早速、具体的な話に入ろう。


カレンダースプレッドなのでDeltaは弱く、長期、例えば1.5年のプット売り、3年のプット買いの場合、Gammaは当然ショートにはなるがそれもそれほど強くない。対して、Vegaは滅茶苦茶大きい。どれほど大きいかというのを%Gammaと%Vegaの比率で比較してみることにしよう。3年のオプション単体(ATM近傍)の場合、1%Gammaと1%Vegaの比率は1:50w 1.5年でも1:15、参考までに3ヶ月なら1:3、1ヶ月なら1:0.7程度になる。1.5Y-3Y カレンダーが持つ、Gamma ShortとVega Longの割合は1:20程度となる。1%の株価変動と5bpsのIVの変動が見合う、Thetaに引き直せば、1日無事に過ぎるのと、2.5bpsという誤差のようなIVの変動が見合うという究極のVega Long Positionが構築される。
鬼のようなVega LongはGamma Shortとセットならば怖くは無い。Volatilityのタームストラクチャーは米国市場の場合、1Month以下の短いオプションは7~8%、長いところ3yでは16%強だが、現在のタームストラクチャーが保存される=長いところは下がる=Forward Volatilityが実現しない。このシナリオは、3年のオプションが1年経って2年のオプションになる過程で緩やかに起こるので、Gamma ShortとThetaと見合えばそれほど大きく損はしない。また、長いところをLong、短いところをShortしているので、Volatility CurveのFlattening=「短いところが上がって、長いところが下がるような動き」が緩やかに起これば、やはり小さく損をするが、この動きは大暴落時のボラティリティの急上昇時に、もっと激しく起こる。しかし、大暴落シナリオでは、パラレルシフトでVolatility全体が爆騰するので、その損失も利益も大きなものにはならない、むしろ利益が大きくなることのほうが期待できるであろう。
またVolatilityには下方硬直性、すなわちゼロにはならない性質がある。2年超のVolatilityが6~8%になることはかなり考えづらい。前述したように3yrs 15%のIVが1年かけて、2yrs 11%程度に落ち込むことはありえるが、その場合はGamma ShortによるThetaの収益をもとにドンドンVolatilityを買い増していくだけだ。また株価のSkewnees(非対称性)とは逆の方向で、長期のVolatilityが、20%以下という水準において、1日で5%下落することはないが、上昇ならありうるということで、Volatilityが時間をかけて緩やかに下落する”コスト”はこれと見合っている。
さて、一方の金利だが・・・、フォワード価格Fとすると

プット持ちなのでフォワード・ショートなわけだが、デルタがほぼ誤差レベルしか無いとすると、

が枚数を重ねるたびに積みあがっていく。どのくらい積み上げたというと%Delta,%Gamma,%Vega,%Rhoの比率で表すと、2:1:10:30くらいw 30倍のRhoを持っているわけだが、米国市場指数が1日約0.5%程度動き、米国3年金利は大体1~2bps程度なので、普段ならこのくらいは持っていても無視できる程度のエクスポージャーなのである。しかし、2014年5月28日、米国10年国債金利が2.5%を割るとか騒いでいた時、USD 3Y SWAPも当然下がっているわけで、いつもよりは大きい振れ幅だが、わずかに5bpsほど下げた。
5月28日は、株はわずかに0.2%動いたにすぎない。株0.5%と金利1bpsが見合うリスクなので、株0.2%と金利5bpsの動きとなると、株価の動きではPLはまったく説明できない。Volatilityかと勘違いして必死に期間分解までして調べたが、それでも説明できない。そう、結論を知っている諸君はお気づきのよう金利が5bpsも下がれば、不気味な益が出るほどのRho Short、金利ショート(債券ロング)のポジションになっていたのであるwww
かねてからの割引債ファンwである私は20~30年の割引債を保有していたこともあり、デュレーション的には大きなリスクを取ることはやぶさかではないが、3年未満の短い金利のリスクを、これほどまでに取ったことがないwので、そんな短い金利の動向に対してビューも無いし、嫌過ぎるポジションなので、早速、嫌過ぎるリスクは消しにかかろう。「おーい! 3年のSWAPで金利買っといて!(エクイティ訛で金利買い=債券売りw)」って俺は個人投資家だったw
昔、金利・為替系の上司が「アメリカ市場すごいんだよ。金先(金利先物)が3カ月ごとに10年先まで全部あって、上場モノのバスケット取引でSWAPできちゃうんだよね」と言っていたのを思い出し、見てみると、本当にあるw しかもすぐ取引できちゃう。Ask/BidはすべてMinimumでジャブジャブの流動性。さすがアメリカ市場、完璧です。
http://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/stir/eurodollar_contract_specifications.html
額面1million、3カ月金利が上場されている。
interestrate-futures.jpg
金先を期間順にズラッと並べて、リアルタイムでみると、けっこう感動します。イールドカーブ(と言ってもLiborなのでForwardだが)が取引所取引で観測できてしまうのです。あっバレました? そうです。今まで金利はリアルタイムで更新してませんでした。気が向いた時に適当に手で更新していました。良いんです、個人投資家だからw でも大丈夫なんです。Forwardは、Put/Call Parityによって市場実測値で計算しているので、割引のところで金利インパクトはあるのですが、最大3年程度なら金利が多少違っていようが、大きくズレないからです。
黒いエクセルは、自分のポジションを観測するための私利私欲にまみれた自己都合による大作という見方もある。
2008.05.28 腐れ社員の告白
だが、当時は社債や超長期の割引債を保有しており、アセットクラスごとのリターンをデイリーだけでなく、期間指定で見ることができる優れモノなので、黒いエクセルと株価を見ているだけなのに、「最近、金利が下がっているな」とか「クレジットがタイトニングしているな」と認識できるのである。さすがにそれだけではダメなので黒いエクセル・バージョン2、グローバル・マクロ・マーケット・モニターなる大作もあり、これはG7カレンシーのSWAP、エクイティインデックス、コモディティ先物、ボラティリティ・インデックス、CDSインデックスなどの動きを観測するために作られた。そこでのメインはSWAPなのだが、SWAPは金利素人の私にはわかりにくいので、そこから計算されるフォワードレートを見ることで、現在期待される将来の金利レベルを直接観測し、またディスカウントファクターの変動を見ることで、今日のSWAPの変化が債券価値にどのくらいのインパクトを与えるかを観測していたのだ。あっ、まあ、苦労して作ろうと思ったきっかけは、20年超の割引債持ってたからなんだけどねw 20年SWAPが1bpsとか30年SWAPが2bpsとか直感的にわからんでしょう? 30年債(DF)が3%動いてますって個人投資家として価格で債券取引している人には実戦的でわかりやすいでしょう?
しかし残念ながら黒いエクセル・バージョン2は現在稼働していない。なので、久しぶりに見るフォワード・レート。しかもSWAPから引き直すのではなく、フォワード・レートが先という不慣れな環境。フォワード高いw 3年で2.5%近くあるんだもーん。ま、関係無いね、躊躇なく金先売っておきました。ちなみに金先の証拠金は1億円(1mil USD)のノーショナルなのに、600ドル強でしたw
ちなみに当時フォワードレート見てた理由。敵である金利系エキゾの商品がフォワードとスワップ(スポット)の金利差を利用したような商品が多いでしょう。それを見ながらエクイティとしてどのくらいの金利を出すような商品にするべきか、常に考えていたのだよ。俺って真面目だろ?
【G7 金利・国債系】
2014.03.26 人民元売却計画ステージ2 10/16~ユーロマネー、オフショア人民元
2013.08.13 オプションなんて勉強するものじゃないです。まずは債券いっときまひょ
2013.01.29 金融政策の話 2/2 ~預金と規制
2012.07.04|ウォールストリートの歴史 5/8 ~第一次世界大戦
2012.02.27|告白 元大和銀行NY支店2/2 ~トレーディング
2011.10.31: 日本国債CDSが急落
2011.10.03: 日本国債5年CDS 1.3% vs 日本国債5年モノ0.35%
2011.09.09: スイスフランの介入劇
2011.07.07: モルガンS、米インフレ期待めぐるトレーディングで損失
2011.04.18: 米国債券投資戦略のすべて3/3 ~パススルー証券
2010.02.04: 日本最大の投信「グロソブ」4兆円割れ
2009.12.01: 金利系投資からの撤退 
2009.08.05: 金利をSalesに教える
2009.06.17: 暗算でやる金利計算@街頭インタビュー
2009.01.15: 株投資家から見たインフレ連動債TIPS
2008.12.25: さようならUS Strips
2007.12.17: 債券市場参加者の世界観 ~ 儲け=売値ー買値では無い  
2007.12.12: 債券税制 ~これを知った上で買えるか?毎月分配