リーラムのご家族の喫緊の課題はコーンの値段、政府(おそらく農協だが)買い取り価格が去年9THB/kgに対して、4.2THB/kgと下がっているのが深刻な問題のようだ。シカゴのコーンだと1ブッシェル660セントが420セント程度まで下がっているので、それと比較すると、随分と酷い下落となる。ただ1ブッシェルはコーンの場合は25.4kgのようなので単価が16-17セント/kg、つまり5THB/kgとかはするはずなので、大体、同じような価格変動はしている。昨日、リーラムの弟がトラクターから下ろしていた量が20-30袋だったということは、1袋30kgとして一日当たり1トン弱。一ヶ月収穫し続けて30トンだが、約10-20トンくらいを生産していると推定できる。仮にコーンの価格変動をCMEのコーンでヘッジしたとすると、先物1枚で13トン相当になるので、1枚売るだけで、リーラムのご家族、一農家の年間生産量になってしまっているため、万が一不作になると、ショートで踏み上げられてしまった時のリスクも高い。生産者としての利点があるから、私よりも優位に先物の売りができると説明したところでご家族の理解は得られないからここで書いておくが、こういうご家族が傘下に何家族かあるのなら、私がその生産のリスクをセントラライズした先物取引を実行することも可能であろうw
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リーラムが「コーンはシカゴで売ることができる」と発言したら、ご家族中の笑いものになってしまったようだ。「先物取引を教えてくれ」というので、では基本からw もっと良い解説があったら、教えてください。
iPhoneを1台買いました、そしてiPhoneを1台売りました、トータルで今何個iPhoneを持っていますか? 0個、正解。
では、私があなたにiPhoneを買ってあげると約束しました、私は今何個iPhoneを持っていますか? 0個、うーむ、確かにゼロなんだけど、この約束は個人的な約束ではなく、必ずあなたに渡さなければならない。私がiPhoneを1個買っても、あなたに渡さなければならいので、まだ0ということは、あげる約束した時点で私は何個のiPhoneを持っているのだろうか?
-1個持っている、売りを持つというのを説明するのに10分かかった。
これがiPhoneではなく、コーンなのだ。コーンをシカゴに2014年の12月までに持っていくという約束が先物の売りである。来年収穫するコーンは今は手元には無いが、今売ることができる。今、10THB/kgで売って、来年5THB/kgで買い戻したら利益は? 難しい? ならば、5THBで買って、10THBで売ったら利益は? 順序を逆にしても答えは一緒だね。一方、10THBを見込んでコーンを作ったお父様はいくら損する? リーラムの利益とお父様の損が打ち消しあい、家族会議で決定した価格でコーンを売ることができる。タイで作ったコーンはタイの農協に売り、シカゴで売ったコーンはシカゴで買い戻す。タイで作ったコーンをシカゴで売るという意味ではないのだ。タイの農協の買い取り価格とシカゴの価格が完全に連動しないリスクがあるが、大きく外れないので、家族としての収益が安定する。インターネットビジネス? 違う! これはマーケット・トレーディングだ。インターネットで取引もできるが電話でもできる! インターネットビジネスではない!
多分20%くらいしか伝わってないなw
鬼の搾取システム農協
タイの農協のコーンの買い取り価格が去年9THB/kgに対して、現在4.2THB/kg。リーラムの実家の地下室においてあったコーンは、値上がりを待って、置いてあるようなのです。去年はコーンが高かったので、作物のほとんどをコーンに切り換えたら、今年は暴落してしまい、このまま行くと1年間、農場で一生懸命働いたのに”マイナス”というエクイティのリスクを農民が取っているようなのです。農協(彼女はガバメントと表現していますが多分農協でしょう)から、トラクター・トラック・種・肥料・農薬などを購入する資金を借りることができます。その金利支払いがかなり厳しい。農協は購入費用を貸し付けるという金融ビジネスではなく、農業に必要な器具・物資を配って、農地と農産物を担保にしながら、農民から収穫物の売却代金の一部を”あがり”として召し上げるシステムと表現したほうが妥当でしょう。中国農業銀行の時価総額や、農林中央金庫の有価証券運用額に現れているように、巨額な金が動いており、農業のリスクの最劣後部分=つまり最大のリスクを農民に押し付けて、農協が取っているのは優先トランシェにもかかわらず、リターンは農民より高い、まさにロー・リスク、ハイ・リターンの絶対に農民が金持ちになることはない鬼の搾取システムで、タイでも同様のはずです。日本でも専業で農業を営む方で、農協が好きだと言っている人は稀なのではないでしょうか。農協の立場からするとこの搾取は民をコントロールするための必要悪。農民が「コーンの暴騰で儲けすぎたんで、来年からこんなキツい農業止めます」とか言い始めると国家から農業が無くなってしまう。「百姓は生かさず殺さず」で永遠にわずかな金を求めて、自然と闘う厳しい農作業に従事させるための搾取なのである。おっと、これは中産階級・給与所得者諸君と雇用主の関係と同じだな。ただ農民と違って最劣後のリスクを取らされておらず、むしろ従業員は優先トランシェにある分だけホワイトカラーの奴隷はマシだと言えようw
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