ジョン・メリウェザー
ギャンブルを好む一面があったが、賭けるとすればオッズにうまみがあって確実に儲けが見込めるときだけだった。ギャンブル
は実際、統制に焦がれるメリウェザーの性向がうまく作用する分野だった。メリウェザーは馬に賭けることを覚え、ブラックジャ
ックを覚えた。後者を手ほどきしたのはトランプ好きの祖母だ。持って生まれたオッズ感覚に物を言わせ、シカゴ・カブスの試
合にも賭けたが、その前に必ず天気予報を聞いて、リグレー球場の風向きを確かめることを忘れなかった。12歳かそこらで
投資の世界に足を踏み入れる。
うーむ、俺も近いものを感じるが、違うな。
確実な儲けが見込めるのはギャンブルって言わないんだな。イカサマって言うんだ
あんまり大きな声じゃ言えないがなぁ、馬に賭けることを俺も覚えたが、儲かるのは馬券の売りだよ。それだって確実じゃない。
だが、やり方次第では、かなり高確率で勝てるんだ。期待値? 正に決まってるだろ。
>風向き? 
天気、馬場の状態、馬体重の推移、前走レース結果、血統、調教タイム・・・色々なことを言う奴がいるが関係ないねぇ。
買ったら負けるんだよ、馬券は。JRAが運営され、馬券の売りが法律で禁止されているってくらいの確度で。
>12歳かそこらで投資の世界?
一族家に生を受けし子供は、生後一週間で株価ボードを見ることになる。シンガポールなんか退院早いから生後3日だ。
いつしか子供が言うだろう。
「いつから始めただと? 立てもしない、話せもしない、目がやっと見えるかどうかの時代から、俺は親父と株価を見ていた。
この俺と貴様では土壌が違いすぎる。」
メリウェザーの解決策はあきれるばかりに単純だった。もっと頭のいいトレーダーを雇えばいいではないか。感と度胸が頼りの
ウォール街土着の非科学的なネアンデルタール人どもではなく、学問の一分野として市場をとらえられるトレーダーを雇えば・・・。
学会には市場をテーマに訳のわからぬ論文を何年も発表し続けている浮世離れした数学者がわんさといる。ウォール街は
すでにこういった人種を雇い入れ始めていたが、受け入れ先は雨風の当たらない調査部門に限られていた。ウォール街でイ
ンテリ連中は「クォンツ」と呼ばれ、男の商売たるトレーディングには不適格の烙印を押されていた
。ソロモンの米国債部門責
任者に、クレイグ・コーツ・Jrという男がいて、これはトレーディング・フロアに棲息する典型的なタイプだった。背が高く、感じが
良くて二枚目で、どんなクライアントとも反りが合う。たしかに、大学の授業をさぼってばかりいたけれども、バスケットの選手で
フォワードを務めていたし、それにトレーダー魂というやつを生まれながらにして持っている。メリウェザーが排除したかったのは、
まさにこの情熱の要素だった。欲しいのは情熱ではなく、学者の冷静な節度と、市場に対する精密かつすぐれて定量的な
アプローチ
だ。ウォール街の幹部クラスの殆どは、学術的な話となるとちんぷんかんぷんだったが、数学の教師であり、シカゴ
大でMBAを取得したメリウェザーにとっては、なじみの世界だ。
時代は変わり、幹部クラスのほとんどはMBAを取得しているが、学術的な話となるとちんぷんかんぷんだった。
「あんた、ジョンハルの講義を直接受けたんだろ? 俺はジョンハルの本をちょっとかじった程度だが・・・、そんな基本的なこと
もわからんのか? 一体何を勉強したのかね?」
と問いたくなるような幹部しか居ないな。日本人がMBAで得るのは学問じゃなくて、英語で勉強すること、異文化コミュニケ
ーション、人脈、以上。間違ってるかね?
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