大事な部分なのですが、これが一番伝えにくかったです。将来の価格はわからない。わからないゆえに宗教じみたインチ
キ理論がこの世にはあふれています
。そのような情報に踊らされないためにも、金融工学は役に立つのです。
マルコフ性とは、確率過程のの将来状態の条件付き確率分布が、現在状態のみに依存し、過去のいかなる状態にも
依存しない特性を持つことをいいます。
株価の形成の過程を考えれば、マルコフ性が非常に合理的な考えであることがわかります。
既知の情報、それは財務諸表から商品開発状況、そして取締役の噂話まで含めて、現値が構成される。
誰も知らない新たな情報、すなわちニュースを織り込んで将来の価格が決定される。
ちょっと苦しいね。これじゃ、あんま伝わってないっぽいです。誰か良い説明あったら助けて。差し替えたいわ。この部分。
続いて、これは、プッと吹いて欲しい、お洒落な例の提示です。
マルコフ性を理解していない市場関係者の発言
これらはいずれも過去の株価から将来の株価を予想するアプローチですが、株価のマルコフ性とは相反する考え方とい
うことになります。
1.平均回帰期待 (Mean Reversion)
 元々1000円近傍で推移していた株が、現在200円だから、いずれ元に戻るだろうと思う行為。
2.チャート・テクニカル分析
 ゴールデンクロス:13週移動平均が26週移動平均を抜いたら株が上がるなどという予想。
注1:株価と書いてますが、為替・金利・商品先物価格、なんでも当てはまります。
注2:いずれもマクロ経済系の専門家に多い
うーん、どうですか? 素人が陥りがちな罠と嫌味。良いセンスしてる? 駄目?
チャートが好きな人も多いので、ここで聴衆からとても良い質問が出たことを覚えている。
チャート・テクニカル分析を使って取引するすごいソフトがあって、儲かるらしいです。そういうのは使わないのでしょうか?」
来たねぇ。嬉しいねぇ。とっても嬉しくなる質問だ。
「そのようなソフトウェア、もっと身近に言えば、相場で勝つ本などもありますね。それらの作者・著者はとてもよく相場をわ
かっていらっしゃる方だと思います。しかし、それらのソフトを購入する立場である時、一つの疑問が浮かびませんか?
なぜ、儲かるソフトを売る必要があるのでしょうか?」
「そんなもので勝てるなら、それで好きなだけ稼げば良い。それができないから、売っているのですよ。そのことは、売っている
人が、一番わかっているのです。そのソフトが売れれば、それはソフトウェアビジネスとして儲かる
商売だと言えるでしょう。」
そして、嬉しい口答え、「でも実際、勝ってると聞きました。」
「良かったですねぇ。何よりじゃないですか。」 ニヤニヤしながら、続けて話す。
「結果論。必然の偶然。私が考案した学説、『ギャンブラーの過ち2』を説明しよう。
勝つも八卦、負けるも八卦。10,000人の参加者が居て、10回じゃんけんの勝負をしたら、10連勝する奴が一人も居ない
ほうが不自然なのだよ。」
当ブログ読者は、再度、
2008.12.01: 裏か表の10連敗の確率 
を読んで再復習して欲しい。この「必然の偶然」というのを理解していない人が非常に多い。
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