デリバティブの定義か・・・、みんな知ってるだろうし、ムーアも理解してるのだろうが。
相手により、立場によりけりで答えるのが難しくなる。とても良い質問だ。
私が答えよう。
デリバティブとは金融機関だけが参加を許された合法的な博打である
 もちろん、個人の名義でデリバティブを取引することはできる。
 しかし金融機関を通じて取引しているはずである。
そして、次のムーアの質問はおそらくこうだ。
「その博打の胴元は?」
胴元は金融機関ではない。金融機関の株主も債権者もデリバティブの1プレイヤーに過ぎない
金融機関のステークホルダーの中の従業員が胴元なのである。
Sep 7 2009 【映画】「これが資本主義だ」ームーア監督がウォール街風刺作品を披露
【評者:Farah Nayeri】
9月7日(ブルームバーグ):映画のマイケル・ムーア監督(55)が、政府救済を受けた銀行の
本部へ空の布袋を持ち込もうとしながら「米国民の金を取り返しに来た」と言う。
 風刺の効いた作風で知られる同監督の「キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー(原題)」が週末、
ベネチア映画祭で披露された。2008年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破たんとそ
れに続いた7000億ドルの銀行救済の顛末(てんまつ)を描いた2時間のドキュメンタリーだ。
 ムーア監督が描こうとするのは、同監督が「金融クーデター」と呼ぶウォール街の危機だけでは
ない。作品は、さらに広範な資本主義そのものを糾弾する。
 最後のナレーションでは「資本主義は悪だ。悪を規制することはできない」と同監督の声が響く。
悪は「排除し、別の何かで置き換えなければならない。すべての人にとって望ましい、『民主主義』
と呼ばれる何かと」と監督は説く。
 6日ベニスで記者会見したムーア監督は、ウォール街が「われわれに映画を作らせてくれる最後
のチャンスだと思え」とスタッフに告げていたと語った。「言わなければならないことを言い、提起しな
ければならない問題を提起する」のがこの作品の目的だったと強調した。
デリバティブの定義
 ウォール街への風刺が始まるのは後半に入ってからだ。この部分には、前半には見られなかった緊
迫感がある。ウォール街を酷評し、効果的な風刺が散りばめられ爆笑を誘うほど面白い。
 ウォール街のバンカーを道で呼びとめ、デリバティブ(金融派生商品)の定義を尋ねる。誰も答えない
ただ1人のバンカーが「これ以上映画を作るな」と言い返すだけだ。リーマンの元幹部も、ハーバード大
学の専門家も、この金融商品をうまく説明できない。
 ムーア監督は銀行救済を1つ1つ批判する。ポールソン前米財務長官が就任前にゴールドマン・
サックス・グループの最高経営責任者(CEO)だったことが、「ゴールドマンなどお気に入りの金融機
関を救済すると政権が決めた理由だ」と監督は言う(ゴールドマンの広報担当者は電子メールでの
取材に対し、この部分に関するコメントを控えた)。
 作品の中では、事実と数字がすべてを伝える。ムーア監督は喜々としてこれを次々と出してくる。
最後のシーンでは監督がウォール街で黄色いテープを張っている。テープには「犯罪現場、立ち入り
禁止」の文字が見える。
 「キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー」は論者として、また米民主主義の代弁者としてのムーア監督
の手腕をあらためて示した。少し長過ぎ、多くを盛り込み過ぎているのが難点だ。傑作の「シッコ」の
ように焦点を1つに絞り、ウォール街を唯一のテーマとした方が良かった。(ファラ・ネイエリ)
(ファラ・ネイエリ氏はブルームバーグ・ニュースのライターです。この評論の内容は同氏自身の見解です)
原題:Michael Moore Blasts Bank ‘Coup D’Etat,’StateBailout: Revie (抜粋)
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