配偶者ビザで外住みのモテ男 トレーダーは名門大学出身だが落ちこぼれ

はじめにお断りしておくと、彼は非常に謙虚で真面目な人間であり、私をいじめたり嫌味を言ってきたりしたことは一度もない人格者である。わかりやすくするために、この彼を有栖川氏(仮名)と呼ぶことにしよう。有栖川氏は生まれながらにして、かつまた生まれた後の実績からも、非民化した特権階級であることを自己認識していない人間である。有栖川氏は謙虚すぎて、自分が恵まれた特権階級にいるということを気付いていないが、その純真無垢な謙虚さは時として、あるいは人によっては強烈な嫌味になることがありうる。私は友人として何度も忠告しているのだが、彼は理解できていないようだ。
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有栖川氏の場合、自分の名を名乗った時、「有栖川と申します。」と言って、「あっ、もしかして有栖川家の御曹司でございますか?」と平伏した輩がいたことだろう。だが、そこの民に向かって言おう。そんな経験はないだろう? 私も平民の出ゆえ、自己紹介して平伏されたことは一度もない。だが有栖川氏は何度となくそういう経験をしているのだ。姓を名乗るだけで平伏する輩がいるというほどの”変わった姓”は、いわゆる非民化した特権階級の姓なのである。だが、有栖川氏にとっては自己紹介をすると”家族のことについて質問してくる民もいる”という程度の認識なのである。


有栖川氏は言う。「有栖川という名前はある程度知名度はありますが、決して裕福な生活をしていたわけではありません。むしろ、母は大変な苦労をしており、一般の家庭よりも厳しい状況だったかもしれません。」 有栖川氏は嘘は言っていない。「ポルシェ、ヒルズにロマネコンティ」という生活ではなかっただろうと思う。だがね! 有栖川さんよぉ、あんたの年でお婆様がロンドンに在住で、「いつでもイギリスに遊びにいらっしゃい」なんて言ってる状況が一般家庭にあると思いますか! 見下げられた民が必死に努力して、「ポルシェ、ヒルズにロマネコンティ」と主張している姿をあなたはどう見ているのですか? 民である私が「ポルシェ、ヒルズにロマネコンティに何の価値があるのかわかりません」と言えば、「物の価値を知らん下賎の者が・・・」と思われて終わりますが、有栖川氏が同じことを言うと意味が変わるということに気付いていますか?
私は有栖川氏に一度たりとも、「有栖川さん、相場で勝ってるの?」と聞いたことはない。そんなことは聞くまでもない、答えが明らかな質問だからである。その物証ともいえる有栖川氏の象徴的な発言を紹介しよう。
「DP Statusであることが恥ずかしいことだということを最近知りました。」
DPとはDependent Passの略でシンガポールのビザの一体系であり、その意味するところはEmployment Pass(雇用ビザ)保有者の配偶者だから発生した居住権である。では読者に聞こう! シンガポール以外でも良い、とにかく外国居住の”男”でDP Statusを見たことがあるか? 私は彼以外に見たことがないw
女に貢がせているという事実ははっきりしている。理由がモテモテ武勇伝・絶倫テクニークの持ち主なのか細かいことはどうでもいいが、黙っていれば「私は女にモテます」と同義である。彼は男の夢である”ヒモ”であることを”恥ずかしい”とし、そうではないと否定すると今度は、過去の実績が、無職でプラプラしていても奥様に怒られないほどのお金を稼いでいたことを暗示する。そして有栖川氏に十分すぎるほどの生活環境を与えてくれている聡明な奥様が、将来のキャッシュフローもプラスと見込んでいるから、婚姻関係が今も継続しているのだ。
「DPです」=「僕はモテます」もしくは「カネはあるんだよね」発言と同義であり、さらに、婚姻関係の継続が必要条件であることから、奥様が将来に対して絶望視していると、あっという間に斬られるので、「優秀な妻は私の将来を信じて、おカネくれます。」発言までが含まれている。
悔しいことに、非モテ・キモオタの私では、DPは絶望的だ。そもそも私を養えるほどの経済力がある女性もほとんど知らない。でも俺だけじゃないはずだ! 笑ってるそこのお前ッ! DPになれるか? 見たことねーぞ、そんなスーパーマンをよ!
有栖川氏と私が初めて会った時、私はビザのステータスを聞いた。私は「そうですか。DPなんですか。」と答えただけだったと思うが、実際のところは、話し始めて、ものの数十分で有栖川氏の投資活動のトラックレコードの状況証拠を得ていたということなのです。「俺は天才なんだ、あの時の相場では、大勝ちして・・・」なんて言葉は必要ないし、有栖川氏がそんな儲け自慢をしてきたことはないのだが、そういうことからかなり早い段階で有栖川氏の実績は推測できるのである。
そんな有栖川氏も会社で働き始め、しばらくしたころ、有栖川氏が真剣な顔で、「僕は会社でいじめられています。」と相談してきたことがある。
入ったばかりの会社で聞いたこともないデリバティブ取引に対する、知識・経験不足を執拗に指摘・攻撃されているということであったが、話をよくよく聞いていると、証券業界によくいる下賎の民が、有栖川氏の後光に屈し、情報優位を利用して最大限の抵抗をしていただけの話。「この業界、下品な人間が多いものですからすいません。私から代わりに謝ります。ですが有栖川さん・・・、世間一般にはこれは、有栖川さんがいじめられているのではなく、有栖川さんが民を見下しているように見えるのですよ。」と繰り返し、聞いたことのないデリバティブ取引とやらも、知ってる知らないのレベルの単純な取引で、理解できないような難解なものではないと説明したが、有栖川氏は納得できなかったようだ。そして有栖川氏は今も納得していないだろうから、あえてここで書いている。
有栖川氏は、謙虚にしている自分が、いじめている側に回ることもありうるということが、まだ理解できていない。生まれながらにしての特権階級の有栖川氏は、民を見たことはあるだろうが、民を理解することができないからである。だからこの私が業界の民とは何か?を教えてやろう
証券業だけでなく金融業界(銀行、保険、商社)などでトレーディング業務またはその周辺に従事する者は、名門大学出身者が多いが、実際その名門大学では落ちこぼれが多いはずだ。成績が良い者は、教授か官僚になる。成績が悪くとも事業欲があり、圧倒的な熱意とパワーを持つ者は、独立起業し、時価総額X億円の会社の筆頭株主となる。生真面目で勉強熱心な者は国家試験を受けて師商売(医師、弁護士、会計士など)になることが多いだろう。それ以外でも日本の根幹たる製造業の発展のために、民間企業の研究所で地味に研究するという愛国心を持つものもいるだろう。しかし、そんな愛国心や誇りもなく、単純な金銭欲と物欲が旺盛な人間が集まってくるのが、この業界なのである。そんな連中の劣等感を解消するのが、年収なる小ガネを消費することや、狭い業界での知識や経験を誇示し”空威張り”することなのである。(この悪意に満ちた業界人間像が、そのまんま俺すぎて泣けてくるw)
この手の矮小な人間が業界に多いのは事実だが、全員ではない。例えば、この私に向かって「この金融商品の開発が何の社会的意義があるのか分からない。」と疑問を呈し、喧嘩になったことがあるが、彼らはいずれも名門大学内でも勉強ができたタイプの人間である。まーでも本当に優秀な人間の金融的活躍を取り上げるならば、民間ではありえない規模の数値を列挙することができる。1000兆円オーダーのファイナンスをして、100兆円オーダーの予算あるいは年金計算をし、日本最大の金融機関「ゆうちょ」の売出計画について頭を悩ましていることだろう。
民にとって、下品な消費活動や空威張りは必要なことなのである。一方の有栖川氏は、十分にカネはあるだろうが、華美な暮らしはせず、高圧的な態度で人に接することもない、特権階級独特の上品さがある。業界の中で、空威張りすることもなく謙虚な姿勢を貫き続けている有栖川氏の姿は、「民はなぜ消費したがるのだ? なぜ空威張りするでおじゃるか?」と問いかけているのと同義なのである。私は、有栖川氏がこの意味を理解し、民に合わせて、業界の連中に対して”空威張り”する日が来ることを願ってやまない。
※この記事を有栖川氏に、公開の事前承諾を得るために送ったところ、「事実と多少違う気がしますが、面白いのでかまいませんよ」というコメントをいただいている。
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