俺もしつこいねー。三田さんが本を出版されるたびにいちいちブログに取り上げることにしている。約1年近くブログは停止しているのだが、三田本は読んだら書かずにはいられない、ある種の「中毒症状」が私にはあるので、しつこく書こう。三田さんと俺の両方を知っている人物にとっては、この「揚げ足とり」が笑いになるのだ。何度も書いているが、三田さんと俺は同じ職場にいたことは無いし、面識もないw 俺が一方的に愛を感じているだけだ。では、こんなところにして早速斬っていこう。

P.14 デリバティブズ取引の決済には、現物決済と差金決済の2種類がある。エコノミーで考えると両者に違いはない。

いや、エコノミーに違いはあるw これ、既に書いたような気がするのだが、過去記事を検索しても見つからなかったので、もう一度書こう。ここで書かれているような株の受け渡しか、現金決済かが問われる基本的なエクイティーデリバティブ、フォワードやオプション取引の株価に関して共通するイベントは3つで、それぞれ、

値決め日 時間 0 としよう。
(支払日) (τ)
満期日 t
受渡日 T

満期時点におけるいわゆるフォワード価格=S*exp{(r-d)t} という理論値は、全く間違っていないのだが、実際には満期日から何日か経った後で株あるいは現金が受け渡される=Settlement Delayが存在する。すなわち、T=tであれば、エコノミーは一緒なのだが、時間的な違いがある場合、そのエコノミーはどうなるだろうか。

S*exp{(r-d)t}=S(t)と書いてしまうが、
差金決済=Cash Settleの場合、受渡価格は、T-t期間中の金利分が加算され、S(t)*exp{r(T-t)}となる。
一方、現物決済=Physical Settleの場合、受渡価格はS(T)である。すなわちT-t期間中のキャリーコスト分だけわずかに異なる
上場モノあるいは円モノの場合、この期間が短い・金利が低いので問題はないが、国外発行体を使ったMTNなどの場合、T+3からさらに余裕をもってT+5以上にしたり、CB(転換社債=新株予約権付社債)などに至ってはさらに長い場合もあり得る。

本質ではないので()付きで記述しているが、現金の支払が発生する契約の場合は、支払日を起点としたT-τだとかT-t-τという時間軸で割り引くことになるだろう。

これ書いたよなー? なんで検索で出てこないんだろう。書かなかったかな~…。まぁいい。

デリバティブズ・ビジネスII