米国では大企業の株主が非常に短期間、つまり1年か2年で企業を売却してしまう。極端なことを言えば、株主が所有者ではなくトレーダーになってしまっている。一方で日本の問題は正反対だとガースナーは言う。日本の株主は、非常に長期に会社の株を保有する。しかも非常に目立たない株主として保有する。この正反対の状況は、どちらの場合も共通の不健全な状況を引き起こす。つまりマネジメントを適正にガバナンスする者が不在になるのである。米国のように1年で交代する株主には長期の視点で経営者を統治するインセンティブはない。一方で、長期にわたって株式を保有する日本の機関投資家の場合は、物言わぬ株主であり続けてきた結果、企業ガバナンスからは遠い存在となっている。皮肉なことに過去数年において、株主が経営陣に対して一番強い要求をつきつけてきたのは中国だったという。「中国では政府が株主だったわけです。だからそれなりに企業に対して政府がこういったことをやれと命令するアジェンダを持っていた」 それは経済的な競争力と言うよりは社会的な目的、つまり雇用に重点が置かれていた。