私は21歳でオリンパス傘下のキーメッド社に入社して以来、オリンパスに30年の歳月を捧げ、思いがけなくもその社長となりました。当時、日本の有名企業では、日産のカルロス・ゴーン、ソニーのハワード・ストリンガー、日本板硝子のクレイグ・ネイラーらの外国人トップが活躍していましたが、私とこの3人には明確な違いがあります。彼らがそれぞれの事情で外部から社長になったのに対して、私は「生え抜き」の「サラリーマン」社長でした。私は会社に長年の忠誠を尽くし、世界の同僚たちと協力して身を粉にして働き、海外の販売会社、地域統括法人で利益を上げ、そして、2011年4月、オリンパス・グループを率いる社長になったのです。妻子をイギリスに残し、代々木公園近くの渋谷のマンションに単身赴任して、日本の優秀な「ものづくり」企業であるオリンパスの改革を前進させる使命を全うするつもりでした。
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