米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが共同で運用してきた全世界通信傍受・解析ネットワーク「エシェロン」に関して、フランスを中心とする欧州諸国は1990年代の末になって突然に、それが企業や個人の通信まで傍受し、エシェロン加盟国以外の国の経済活動に損害を与え、個人のプライバシーを侵害していると問題にした。しかし、エシェロンの存在は昔から知られている。それを今になって問題にするのは、その情報収集分析活動が与える影響の大きさについて無関心であったことに他ならない。日本にいたっては三沢基地における受信施設の設置を長年にわたって許してきたし、エシェロンの存在を問題にせず今でも許している。その理由の一つには冷戦の時代、元来、対ソ通信傍受システムとして発足したエシェロンを既成事実とし、間接的には自分も情報提供を受けられるか利益になるとして、その存在を許してきた点があるだろう。
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