自然人も、経済合理性を追求すると行動が法人化してくる。シンガポールに住む理由として、法人ならば、法人税、法人維持コスト、地理的条件(東南アジア各国へのアクセス)を考えているだろう。誰一人として、暖かいから(気候)、飯がうまいから、女の子が可愛いからなどという形容詞表現の感情論では動かない。アジア一国一愛人構想を東南アジアに大きく舵を切るものとした、約1年ほど前の宣言を再度見直すと同時に、今日は、収益を最大化する経済集団である企業活動になぞらえて、アジア一国一愛人構想の新展開を説明していこうと思う。
トヨタのような大企業であれば、その巨大な資本力のみでアジア展開・戦略を実現できよう。資本が大きすぎて、その影響は工場を作るだけにとどまらず、電力・水道インフラ、道路・港などの整備を含めて、“産業・経済そのものを創生する”という一大事業なのである。具体的な例としてインドネシアにおける自動車産業の存在感を挙げて今まで説明してきた。一方で、もう少し小さな組織の場合、自分自身の資本力で産業を創生し、経済を押し上げていくようなことはできない。地元経済にインパクトを与える大資本に対して、過小資本は地元文化に溶け込みながら、より局所的な範囲で、ゲリラ戦を展開していくこととなろう。その際に有効な手段なのが、私が提唱するアジア一国一愛人構想なのである。