1.国際通貨とはなにか
財・サービスの国際貿易や資産の国際取引に際して、価格の表示・決済に用いられる通貨、あるいは民間の経済主体と各国通貨当局によって国際流動準備として保有される通貨が国際通貨です。国内通貨の場合には、現金通貨は法律によって受領性を与えられていますから、法貨に関する限り通貨とはなにかは明白に決まっています。しかし国際通貨の定義は、具体的に金(きん)、米ドル、英ポンド、国際通貨基金(IMF)引出権などのうち、どれが国際通貨であるかを定めるのは必ずしも容易ではありません。IMFといえども一国の通貨当局のように強制力を持つわけではなく、また国際通貨の管理に権力と責任を持つ機関も存在しないからです。