在日米軍基地の法制上の根拠は、日米安保条約と同条約6条に基づく米軍地位協定である。基地は、いうまでもなく在日米軍の活動を支える人的物的施設であるから基地をめぐる法的諸問題については、米軍の法的地位を含めて全体として考察しなければならない。米軍の日本国内における駐留と軍事基地の存在およびそこでの米軍の行動を保障する法体系は、いわゆる安保体制あるいはサンフランシスコ体制と呼ばれる日米間の条約による「安全保障」にかかわるもので、前述の安保条約および地位協定を頂点とする関連条約および国内特別法等によっていわゆる安保法体系を形成している。安保法体系は条約と名付けられたものだけでなく、「協定」「交換公文」「議定書」「合意議事録」「往復書簡」等さまざまな名称のものがあり、これらはいずれも日米両政府間の合意に基づくものである限り、その名称の如何にかかわらず条約としての効力を有するものであって、その内容はかなり複雑であり、また通常の国内法と交錯していて一般国民にとって極めて分かりにくいものとなっている。