コラムの内容はウィリアム・ペセックのユーモアに任せるためにいじらないでおくが、人物が多少マニアックなので、写真をつけて記事を週刊誌化してみた。
Dec 21 2012 【コラム】安倍氏カムバック賞、今年のアジアの受賞者一覧-ペセック
【コラムニスト:William Pesek】
 12月21日(ブルームバーグ):胡錦濤国家主席と野田佳彦首相、李明博大統領。中国、日本、韓国の首脳にとって2012年は厳しい年だった。評価を落としたままトップの座を降りる。中国が抱える大きな課題にほとんど手を打てなかった胡主席に対しては、称賛よりも不満の方が多く聞かれる。野田首相も、それまでの5人の首相と同様、不名誉な形で退任することになった。李政権時代は、韓国の貧富の差が拡大し、北朝鮮が核ミサイル保有能力の獲得に向けて前進した時代として記憶されるだろう。小さな島をめぐる緊張は、この東アジアの3つの経済大国間の対話の乏しさを示した。胡主席と野田首相、李大統領は、アジアの混沌(こんとん)の年を形作った人物の中でも目立つ存在だった。年末のこの時期、状況を改善した、逆に悪化させた人や国に贈る賞を幾つか用意した。
 ●陰の人物賞-ミャンマーのテイン・セイン大統領:
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ミャンマーに民主主義と市場経済、報道の自由をもたらした陰のヒーローだ。この国の開放の象徴は常にノーベル平和賞受賞者のアウン・サン・スー・チー氏だろうが、ミャンマー国民5000万人を世界から孤立させた独裁の痕跡を取り除いた陰には、この目立たないテクノクラートの存在があった。
 ●内部告発者賞-中国の王立軍氏:
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元重慶市公安局長の王氏は、実力者だった同市共産党委員会書記、薄熙来氏をめぐる疑惑を表に出すきっかけをつくった。薄氏の失脚は、中国の指導部交代を揺るがし、時に影を投げ掛けた。王氏は、薄氏の妻が英国人ビジネスマンを殺害した証拠を米外交当局者に手渡した。これは中国の過去数十年における最大のスキャンダルとなり、中国共産党の信頼性をなし崩しにする所得格差と汚職に世界が注目する結果となった。
 ●ばか騒ぎ賞-韓国の歌手・ラッパーのサイ:
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韓国の活気を世界に示した。そのラップ曲「江南スタイル」とコミカルな乗馬ダンスは至るところでパロディー化され、「韓流」に新たな活力を吹き込んだ。
 ●出るくいは打たれる賞-カーソン・ブロック氏:
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不透明なコーポレートガバナンス(企業統治)を調査・指摘した空売り投資家。サイノフォレストなど北米に上場する中国企業の不正に関する同氏の疑念は正しいことが証明された。しかし、シンガポールの農産物商社オーラム・インターナショナルをエンロンになぞらえた同氏の見方は正しいのか。来年の展開に注目しよう。
 ●カムバック賞-安倍晋三氏:日本の次の首相だ。安倍総裁率いる自民党が政治的停滞から突如浮上し、多くの有権者がそれを頼みの綱とした。安倍氏は、大きくつまずいたパナソニックやシャープ、ソニーなど家電大手の復活に取り組む必要がある。それには輸出企業に打撃を与えてきた強い円を下落させるため迅速に行動することが含まれる。
 ●セックス・アンド・ザ・シティ賞-シンガポール:
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品のない過ちが相次いだ。同国議会のパーマー議長は今月、不倫を理由に辞任した。同国では今年セックススキャンダルが続き、同国最大の中国語紙が12年は色欲の年だったと伝えた。
 ●ひそかなブーム賞-マレーシアとタイ:脚光を浴びていない両国だが、クアラルンプールはアジアの新規株式公開(IPO)の中心地として香港をしのぐ存在となった。今年は世界でも4位となる見通し。タイは思いも寄らなかった活発な買収で躍進した。同国財界の大物は、海外企業・資産を対象に過去最大となる計250億ドル規模の買収案件をまとめた。これは昨年までの過去12年間の合計額を上回る。
 ●父子の絆賞-金正恩第1書記:
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バスケットボールに夢中の北朝鮮の指導者。父親の金正日総書記の死去から1年の節目が近づく中、金第1書記と側近らは世界をあっと言わせる必要があるとの強いプレッシャーを受けていた。ロケット発射の成功は地政学的な意味合いでは、試合終了のブザー直前に3ポイントシュートを決めたことに等しい。金第1書記が放ったシュートは、世界の多くの首脳の休暇を台無しにした。
(ウィリアム・ペセック)
  (ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
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