うーん、ユーゴの本は読んでるんでねぇ・・・、この著者はユーゴの専門家じゃないね。
夜まで待てば、国連防護軍(UNPROFOR)がハンガリー官憲に代わって国境の検問に当たる。ところが、そいつらはモラルなんかかけらも無い。ワイロは取り放題。ウイスキー1本なら1ドル、パラボラだって交渉次第でフリーパス。バングデシュやインドネシア、ネパールから来てるヤツらがほとんどで、勝手にボロ儲けしてるんだ。ヤツらはセルビア人の運び屋からカネを巻き上げて、ハンガリー人の売春婦を買いまくっているんだ。
国連が決めた制裁を国連軍の兵士を率先してやぶっている。まさに今日の国連が抱える問題を示す格好の例だ。発展途上国では、国連軍兵士になることはエリートになると同時に一攫千金のまたとないチャンスなのだという。こんなことでは国連はいつまでたっても支持されない。
現場に足を運んでいるのはわかるんだけど、こんな感じ。
チトー政権は多民族国家を維持するために各民族の文化やアイデンティティーの保持に常に気を配りつつ、一方で手綱を引き締めるという、アメと鞭の政策をとっていた。その基本方針は各民族に平等だが、困ったことに一つだけ民族とは定義できない、独自の言語もアイデンティティーも持っていない人々が居た。ボスニアのイスラム教徒である。彼らは中東から来たわけではない。もともとボスニアに居たスラブ民族(大多数がセルビア人、少数がクロアチア人)が15-19世紀に及んだオスマン・トルコの支配下で改宗したのである。チトーは宗教以外、アイデンティティーのない彼らにモスレム人という民族名称を与え、ボスニア・ヘルツェゴビナの主要な民族的な待遇を与えた。
ゼリコ・ラズニャトビッチ、通称アルカン(大天使)である。ある官の略歴は刑務所より動物園のオリに入れた方が良いほど狂気に満ちている。イタリアでレストラン店主殺害、ストックホルムで銀行強盗を働き、逮捕。10年の刑を宣告され服役するが、1年余りで刑務所から脱獄。帰国後は秘密警察と暗黒街の連絡係となる。その他犯罪歴多数。現在でもインターポールの指名手配リストに彼の名は載っている。しかしこの大天使というニックネームで呼ばれる謎の男は民族の英雄として今ではコソボ自治州選出の国会議員にまでなっている。
ジェリコ・ラジュナトヴィッチの写真
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大アルバニアを夢見る老民族主義者 チョシャ博士
アルバニア人は国際社会からあまり多くを期待できないということを知っている。アルバニア人が今、セルビアの主権下に置かれているのも、第一次大戦の時、ロシアだけでなく英仏が、アルバニア人の土地をセルビア人が併合することを了解したからだ。1912年セルビアがコソボを占領、併合した時、セルビア人の人口は5-6%だけで残りはみなアルバニア人だった。その後アルバニア共和国が誕生するが、その中に組み込まれたアルバニア人はわずか74万人。それをはるかに上回る119万人のアルバニア人はアルバニア共和国の外に取り残されてしまった。成立したアルバニア共和国の面積は2万8千平方キロ。一方、国外のアルバニア人居住地域の面積の合計は2万9千平方キロ。ひどい不正が行われたのだ。セルビアは国際社会、列強の後ろ盾があったからこんな不正ができた。こうした事実を踏まえればあなたは言うように国際社会にあまり期待しすぎるものじゃない。
やっぱり地図は参考になるので、載せておこう。
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