タイの地で、典型的な日本人発想を持つ男は何度も問うた。
「なんでこんなに(会計に)時間かかるの?」
「何時にどこ行くの?」
答えて曰く
「タイに正確な時間や計画という概念は存在しない。
なぜならば、タイはとても裕福な国だからだ。例えば、今食べているココナツ。これはタイの大地に自然になっている植物だ。喉が渇いたと思えばココナツジュースを飲み、お腹がすいたと思えばココナツの実をかじればよい。そんな環境では井戸を掘るという水道工事や、春夏秋冬という季節を意識した計画農業の必要性がなかった。すなわち、時間や契約を伴う労働やビジネス、もっと言えば食料や土地を奪い合う戦争の必要性もなかったという歴史がある。タイの人々の顔を見たり、言葉を聞いてみな。争いや怒りとは無縁な顔つきと発音であろう? せっかくのタイだ、日本とは違うこの文化を見て欲しいと思っているのだよ。しなければならない、こうすべきであるという真面目さは、日本の強みであるが弱みでもある。一方、タイのいいかげんさもまた弱みであるが、強みでもある。例えば、木の板は力を加えれば折れてしまう。対して竹はどうだ? フニャフニャ曲がって折れないだろう? 柔よく剛を制す、日本人がタイ人から学ぶ最大のテーマだ。真面目さは、お前の良い所でもある一方、弱点だということに目を向けよ・・・。」
もう一方は、そんなことは気にもかけず、プールとビーチを満喫して日焼けし、見かけはタイ人のごとく現地化していた・・・。
「タイのレストラン(屋台だが)、ハエが飛んでいて汚い。」 口をそろえて兄妹(きょうだい)が不平を言う。
またしても答えて曰く、
「先ほど説明した生態系という概念。生きているもの=生物は、生物を食べて、生物に食べられることで自然界は成り立っている
我々が食べているものは何かね? このもち米も、肉も、魚も、植物か動物という生物だろう? ハエも生物だ。でも近代、生物以外のものが口の中に入ることがある。それは何かな? 薬品だ。工場で作られた”おくすり”だ。生物は食べて食べられる宿命と言ったね。野菜は植物。その植物を食べる生物がいるのが自然の摂理だ。お庭に木があるでしょう? 虫がつくといっていたね。それを防ぐために何をかけているの? 殺虫剤だよね? 殺虫剤、農薬と呼ばれるお薬は、食べれば死ぬというくらい危険な薬物だよ。それを野菜にかけて栽培するのが現代農業。そうして作られた野菜を食べることは汚くないのかな? 現実をもう少し考えてみようよ。ハエは生物だぜ。汚いって誰が言ったの? 農薬飲んだら死んじゃうかもしれないけど、ハエは食ったって死なないよ。」
「最初はぐー、xxx?」
xxxは数を問うような質問をして指でその数を数える。
XXXの質問は「男は何人?」
一人はちょきを出しながら、「答えは2人でしょ?」
もう一方は周りを見渡し、「いっぱい男居るじゃん」
「家族でだよ。家族で男なーんにん?」
またしても一方は、2以外の答え、1を出している。「答えは2人でしょ?」と訪ねられ
父ちゃんは離婚しているから家族ではない。だから答えは2ではなく1だ。」
父は笑って言った。
「結婚と離婚、それと家族という概念は何の関係があると思っているの? そんな余計なことはお母さんが教えたのかな?」
「大事なのは法制度上のつながりではなく、共通の志。それが投資一族の根底だからね。」
と再び父が発言した時、父の顔に既に笑みはなく、脅しとも言えるその表情は、心なしか本人ではなくその母に向けられているようにも感じられるものがあった。
間髪いれず父に反論した。
「でも僕は将来、結婚したい。結婚して家庭と子供を作るべきだと思う。」
なんだ貴様? 俺に対する挑戦発言か、テメー。
「結婚というのは役所に紙を出すこと。それと家庭や子供を作ることは同義ではないと思うのだがね? 結婚せずとも子供を作ることができる。家庭とは何か? これはちょっと難しい質問だ。一方、結婚=法律上の問題。法律というのは国家という限定的な領域で有効な概念にすぎない。たとえば、日本とタイ、当然法律は違う。だからここでは日本の法律は無効で、タイの法律が適応される。」
父が続けて問い詰める。
「それにしても、ずいぶん具体的な目標だね、誰か結婚する予定の相手でもいるのかな?
「ふふっ」と照れ笑い。「居るよ、幸いにも両思い。手紙が来たの。ラブレター。だから僕も手紙を返した。」
貴様・・・、9歳のくせにマセガキがぁ。父が尋ねる。
「ラブレター? 面白いね、なんと書いてあったのかな? そしてなんと書いて返したのかな?」
「内緒。教えないよ。でも、お母さんもおばあちゃんも妹もみんな知ってる。」
気の毒に、俺が育った環境と全く同じだ。他人の色恋話が好きな3人の女たちに囲まれて育つと、将来も監視され続けることになる。言わなければ良いだけのことではあるのだが、言わないと「なんじゃーお前、ワシらに言えない怪しげな女と、ワシらに言えないやましいことでもしとるんか? おー?」ということになり、その圧力と不都合に屈すると、言いたくもない女の話を報告せざるを得ない状況に陥る羽目になる。
「XXXユウナちゃんは、YYYユウナちゃんになったの。両親が離婚したんだって。だから転校してクラスにはもう居ないの。だから今はクラスには好きな人は居ない。ユウナちゃんは今、偽者のお父さんと暮らしてるって言ってたよ」
ユウナちゃんねぇ・・・、漢字を知らないから特定できないけど、ドキュンネームスコア高そうな音(オン)だなぁと思いながら、
「転校したのに、どうしてユウナちゃんの現在を知っているの? 手紙の交換でもしてるのかな?」
「XX公園でたまに会うの。転校したといっても近所だから、学校では会えなくても公園ではたまに会える」
おいおい、切ないこと言うじゃないか。父は続いてもう一方に問いかけた。
「お前から聞くお友達の名前は女名前ばかりだが、将来的に、結婚したいと思っているの? またその具体的な相手は居るのかな?」
自慢するモテモテ武勇伝は特にないのか、つまらなそうに答えた。
「結婚なんかしない。学校には、そうしようと思う相手もいない。」
母親似のお前が、それを生涯貫けるわけもなかろう。男を食い物して生きていく定めだろうと、父は思いながら
「そうかー、まっ、結婚するしないは別にして、好意を持てる人は居た方がいいぞ」
と優しく答えた。
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