1990年、湾岸危機が発生した時、37年ぶりに一ヶ月の夏休みをとろうとおもって軽井沢の山小屋に着いたとたんに”ゴッドフォン”がかかり、私は東京に呼び出されて、的場順三元内政審議室長と共に”予備役召集”をくらった。そして権限も責任も、ポストも報酬もないまま、時の海部総理を閣外補佐することになった。
ポストだ報酬だ、経費だって発想が国士じゃないのよ。そのくせ国士ぶった発言があるのが、いかがなもんかな?後で国士ぶった発言も抜き出すがねぇ。合わせて読んで笑って欲しい。
宮澤喜一氏の東大偏重の学歴重視は、その酒癖と共に周知の事実である。私は生前の竹下登総理の下で一年七ヶ月内閣安全保障室長として仕えたが、ある会食の席で「ボクは宮澤さんに『竹下さん、貴方の時代は早稲田の商学部は無試験だったんですってね』といわれた。あれだけは許せない」と宮澤さんの東大優先を批判していた。「早大商学部でも、なんか試験はあったんでしょう?」と問うと、「それがね、無試験だったんだよ」
これは笑った。「無試験なんじゃネーか!」と国民全員で竹下君にツッコミを入れたくなったところでしょう。
「明年に予定されているフランスからのプルトニウム輸送について、アメリカの国防総省が厳しい条件を出してきましてね、通産も科技省も交渉が上手く行かず困っています。お手伝い願えませんか。」と申し込まれた。「私、核問題やプルトニウムのこと何もわかりませんよ。どなたかよくわかっている方にご依頼なさっては如何です?」
「核の専門知識がいくらあっても理工系の人にはペンタゴンとの交渉は無理です。プルトニウムの輸送にはIAEAの国際規則がありまして『アームド・エスコーツ』(武装護衛)をつけて輸出国から輸入国まで『無寄港航海』でやることが義務付けられています。これまでフランス海軍とアメリカ海軍にお願いしてきたんですが、今度は『湾岸戦争の後始末で忙しいから、日本は自分のことは自分でやれ、海上自衛隊でやればよい』と突き放されてしまったんです。しかも『アームド・エスコーツ』つまり複数の護衛をつけよといっています。前衛だけでなく、後衛もつけ、できれば側衛をつけろ。フランスのシェルブール港から東海港まで『無寄港航海』をせよといいます。日本としては海上自衛隊は出せない。海上保安庁でやらせてほしい。そのため6000トンの『しきしま』という巡洋大型巡視船を200億円かけてわざわざ造ったのですからそれ一隻でやらせて欲しいとペンタゴンに申し入れているのですがOKしてくれない。『しきしま』は無寄港航海可能なように造りましたが5200トンの『みずほ』級は4隻ありますが航続距離が足りないのです。」
プロデューサーだかディレクターは若くて、横柄で、生意気で、官僚的だった。
「死者への哀悼の意の表明、青木大使以下24人の日本人人質を救出してくれたペルーのフジモリ大統領への謝辞から入るのがNHKの良識だと思う。昨日二回注意したのに改めようとしない。国際放映を世界中が見ているんだよ、日本人24名は無事でしたとエゴイスティックなことから始まるのはおかしいですよ・・・」
すると彼は
「そういうことはNHKの編集方針、報道の姿勢の問題で佐々さんから言ってほしいと思っていません。昨日昼と夕に意見を言ったといってもNHKは番組ごとに独立しているんだから仕方がない。この『クローズアップ現代』の番組では軍事的に見てこの作戦はどうだったかを、佐々さんに論評してもらうつもりですから、その面に限ってお願いします。」
「これはナマ番組でしょう?私の発言を統制する気?私は貴方の編集方針だか基本姿勢だか知らんが、国際常識としておかしいよ、と言っている。」
んもぅ、大変だね、このオヤジ相手にすんのも。NHKは全国ネット。ね? Singaporeで放送されることはない。金を払ってNHKを受信することはできるよ。でも買い手は日本人だ。ドメスティックな観点で大丈夫ッ!
後藤田さんは言った。「龍太郎はな、女にもてる。だが女がいたとしても、男女は『尊敬』と『愛情』と『金』があれば大丈夫、龍太郎の女はしゃべらんわ、そこへいくと宗佑はどうしようもない。その3つ、一つもなかったわな。」
反論、男女はじゃねぇ、女は、でしょう? 男が女に金を求めているケース、そんなみかけないな。
「佐々さん、二人でファイアーウォールのIT会社を興しましょうか。治安防衛で日本国内に強い貴方と組んで、米国の軍事的サイバー防衛のハイテクを導入してシステムをつくり、日本の情報を守りましょう」
これは魅力的な提案だった。国益に合致するし、悪いことは何もしていない。後藤田さんの特別権力関係指令には何ら予算の裏づけはない。現に湾岸戦争二度のワシントン訪問も自費だった。私は妻にはかってなけなしの預金を投資して岡本行夫氏と合弁のIT会社を創立しようと思った。ところがである、普段まったく連絡のない3人の息子達から「晩節を汚さないように。金儲けなどもってのほか。父上は強情我慢を貫き、天下りもせず、親方日の丸にも旧財閥企業の資金援助も政治資金もないまま、ひとりで国益のためにやってきたんでしょう。だから僕らの友人ら若い世代が敬意を抱いているんだ。アメリカと協力して国の機密を守るシステムを作り、上場して創業者利益をえようなんてとんでも料簡ちがいだ。しかも日米協力して創設する日本の官庁機密防衛のシステムはアメリカの手に鍵を握られることになる。晩節を汚さないでください。」
自慢の息子達はIT企業に勤めているんだと。優秀で良い息子さんなんだろうね。ファイアーウォールだ暗号技術だって、何にも知らないオヤジが金もないのに、そんな会社を作ろうとする無謀さがイタかったんだろう。ね、国士気取りだが、また自費出張がどうのこうのとか、つまらんことを気にしているでしょう? では最後の極めつけ、笑ってください。
21世紀は不思議な世紀だ。急に一匹狼に光が当たりだしたのだ。02年の能率手帳の佐々メモには「小泉純一郎、石原慎太郎、イチロー、そしてこの私、佐々淳行に」と記してある。
コイツ・・・どこまでずぅずぅしい野郎なんだ。てめーに光なんか当たってねぇよ、ボケ。
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