アフリカ外交が重要な理由
アフリカ大陸には56の国がある。そのなかの48カ国がブラックアフリカと呼ばれる国々だが、文化面、スポーツ面での能力が
きわめて高い。今は国内が混乱しているために貧困に喘いでいるが、いずれ政治が安定してくれば大きな力を発揮するだろう。
また、原油や鉄鉱石といった天然資源も豊富なので、飛躍するための材料は揃っている。アフリカは無限の可能性を秘めた
地域だ。中国や韓国、その他の東南アジアの諸国に対して、日本は、拭いきれない「負の遺産」がある。先の戦争で残した
禍根はおいそれとは消えないだろう。もちろん、これから国同士の関係はどんどん良くなっていくとは思うが、どこかに拭いきれ
ない「しこり」のようなものを残してしまう。いっぽうで、欧米の国々はアフリカに対して「負の遺産」を持っている。かつて植民地
政策でアフリカを蹂躙した歴史は、日本が東南アジアに持つ「負の遺産」同様に重い意味を持っている。日本はアフリカに対
する植民地支配や戦争による「負の遺産」がないからアフリカの人々はわだかまりなく感謝してくれる。
北方領土返還に際し、外務省が犯した6つの過失
外務省幹部による「日本政府が四島一括返還に政策変換する」という内容のリークだ。二島先行方式による段階的な
解決策はとらず、四島が日本に帰属することを一括して確認することを目指す
ということは、2001年森・プーチン両首脳
による「イルクーツク声明」の路線から日本政府が離れると言うメッセージにほかならない。
2004年9月2日に行われた小泉総理による船上からの北方領土視察だ。現職総理として初めて海上保安庁の巡視
船から北方領土を視察したこの日は、「日本がソ連に対して無条件降伏文書にサインした日」だ。旧ソ連時代、スターリ
ン首相が全国民に向けてラジオ演説を行った。内容は「我々は40年前に日本から屈辱を受けた。今日その屈辱を晴ら
すことができた」というものだ。そのような日に日本の総理大臣が北方領土を視察すれば、ロシアの人たちの目にはどううつ
るのか。
同11月14日、ラブロフ外相が「日ソ共同宣言において、我々は日本に対して2つの南の島々を与え、それで終止符を
打つことに合意した。さまざまな要因でそれはその時実現されなかった。」この時のシグナルを解釈すると「日本が要求する
四島返還に応じることはできない。しかし、日ソ共同宣言で約束した二島引渡は最低限実行する。つまり『二島+アルフ
ァ』で平和条約交渉
ができないかというものだった。ところが、小泉総理からこの件に関するメッセージは何も出なかった。総
理を支えるべき外務官僚がプーチン大統領のシグナルを受け取ることができなかったからだ。そればかりか「愛知万博では
シベリアのマンモスが話題になっています。大統領もそのとき日本に来てくれませんか」などというピントの外れた発言をさせて
いる。
2005年2月7日、外務省には、北方領土の日にもなっているこの日にプーチン大統領の訪日を実現し、北方領土問
題を劇的に動かすと言う戦略があった。東京で開かれた北方領土返還要求全国大会とは別に、全国的な国民集会を
静岡県の下田で開こうとしていた。「島を返せ」といっている大会が開かれている最中に、ロシアの大統領がのこのこ出か
けていくとでも思ったのだろうか。ところで小泉総理は日ロ修好150周年の記念日である2月7日の全国大会を欠席した。
同2月10日、小泉総理は雪祭りイベントに出席した。領土問題という国家の最重要課題が絡んだ全国大会を、小泉総理は風
邪を理由に欠席した。ところがその3日後、酷寒厳寒の地・札幌に飛び、日が暮れた後、ライトアップされた雪像を堪能したと
いうわけだ。これをロシア側がどう見るだろうか。風邪の治りが早かったなどという説明が通用するとでもいうのか。
同5月9日、モスクワで開かれた「対独戦勝60周年式典」への対応だ。ロシアでは第二次世界大戦末期にドイツが連
合軍に対して降伏文章に調印した翌日の5月9日を戦勝記念日としてきた。この式典には日本を始め、アメリカ、ドイツ
フランス、中国、イタリアなど50カ国以上の首脳とアナン国連事務総長らが出席。当初、小泉総理はこの式典への参
加を見合わせる予定だった
のだが、各国首相が一堂に会する場に日本だけ参加しないとは、いったいどういう神経なのか。
その後、事態を重く見て参加することになるのだが、すべてロシアは見ている。日本がなぜバタバタしているのかを、つぶさに
分析しているはずだ。結局、こうした失態の積み重ねが国益を損なう大きな失敗となって返ってくるのだ。
【資源獲得競争】
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