昨今、友人の父親の不幸が相次いだので、私も私の父親と電話で話してみた。
私の親父は、社会的地位・名声も無く、たとえ死んだとしても相続税納税者として国庫に
1円たりとも寄与することが無い、しがない”民”
である。しかし、息子の私にとっては
私が生まれた時に、会社を早退してまで赤子の私を毎日自ら風呂に入れ
腹が減ったといえば、迷い無く自らの食事を分け、
大学受験の際は、受験当日、単身赴任の身でありながらも、会社に嘘までついて
インチキ会議を東京でデッチあげ帰宅して、車での私の送り迎えに徹し、
私にかかった全ての教育費を一言の不満を言うことも無く薄給の中から搾り出していた
偉大な親父である。
そんな親父に対し、息子であるこの私は、せめてもの親子愛の還元というべきか
会話をするときは、難しい立場を強いられる。
取られた所得税に一度たりとも疑問を持ったことの無い国家の奴隷
振り込まれる所得に対し、妥当かどうか検討もしたことも無い会社の奴隷
婿養子という立場で、何の意見・決定権も持たない家庭の奴隷
という身分を全うした、一人の”民”としての親父に対し、私が現在考えていることの全容
を理解させることは果たして親子間のコミニケーションとして適切かどうか疑問が残る。
私の今の段階の判断では、親父は私に対する理解はしないまま、死んで行くほうが親父
にとって幸せであり、余計なことは知らずに人生を終えさせてあげるのが息子としての
せめてもの孝行
であると信じて疑わない。
私の親はこのブログを読んでいるが、親といっても母親であり、おそらく親父はこの文章
を自ら読むことがあったとしても、メディアの言うことを盲目的に信じ、国家・企業だけでなく
教師・医師・弁護士などの権威に対し、それらが民のための存在という社会的大義名分
ではなく、自らの利益極大化・最適化を基に動いているということも意識しない親父にとって
は、私が何言っているのか全く理解できないであろう。
親父にとって私は、
高学歴 <-> 高校中退
一流企業勤務 <-> 途中退職して転職
背が高い <-> 離婚
などと言う典型的庶民保守派である親父の価値観では羨望と蔑みの対象が同居して
おり、我が子の幸せを願う親父としては息子が今幸せなのかどうか検討もつかない
状態であろう。もっとも海外独身生活などは、親父の想像の範疇を逸脱しており、
羨望という表現は不適切であろうが。一昔前の価値観である三高男を満たしながらも、
その状況を次々と打破していく息子の選択は、親父にとっては理解しがたいことである
ことを私は理解している。
愛する親父、偉大なる親父に告ぐ
息子であるこの私は現在、幸せである。心配はしなくていい。
これ以上の説明はしない方が、親父にとって幸せである。
説明不足ではあるが息子の親父に対する愛を理解してくれることを願ってやまない。
こんなことを思いながら、極めて無難な内容で電話は終わった。
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