Title: Trading Index Options On The SGX
Date: Thursday, 11 March 2010
Time: 6:30pm – 8:30pm
Venue: 2 Shenton Way SGX Centre 1, Level 2 SGX Auditorium
Speaker: Geoff Howie
Senior Vice President, Global Futures
MF Global Singapore Pte Limited
今回のセミナーは、MFGというBrokerが、個人投資家相手にオプション需要を喚起するという目的のようだ。
それを踏まえたうえで、プレゼンテーションとして、アマイと思う点を指摘していこう。
まず、題材が、流動性の無いMSCI Singapore(ミンスキーと発音する)のオプションであった。
出来高は、直近限月のATMで10枚しか無いという終わっている流動性なのだが、よく見れば確かにMarket Makerは
存在するようで、Ask/Bidは常にある。Ask Size/Bid Sizeは10枚程度でSpreadはIndexに対して10-20bpsある。
それにしても日経やKOSPI200に比べてあまりにプアな流動性ゆえ、Brokerとして商売をするつもりがあるのなら、
なぜ、MSCI SGPなのか?と突っ込んだところ、SGXからオプションをプロモートして欲しいと頼まれたようである。
私ならSGXから依頼を受けた時点で、オプションの流動性を上げるために、一介のBrokerがやれることは知れている
と答えるだろう。
オプションの流動性は先物の流動性に比例する。このMSCI SGPの先物は、日々大体10,000枚程度なのであるが、
Index Pointが340程度、倍数200であるから、1枚辺り50,000USD弱、Daily Turn Overで500mil USDで、日経先物と
比べて極小の流動性と言わざるを得ない。
先物の流動性は、株の流動性に比例する。例えば時価総額1位のDBSで見ても、一日の売買代金は14SGDで数百万
株であるから50mil程度なのである。STIにしてもMSCI SGPにしてもDBSのWeightは約10%であるから、Indexの構成要
員である株の流動性が大体500mil程度と推測でき、先物の流動性とほぼ一致していると言えるだろう。
株の流動性を上げるにはどうしたらよいか? 政府保有を止め、浮動株比率を上げる、国家としての経済基盤を底上げす
るというレベルの話になるので、お役所同士で話したらどうかね? というのが正しい答えになるであろう。それが整った
としてもSGXとして、話をするべき相手は、Market MakerかArbitragerを抱える投資銀行であり、Brokerはその次になる
であろう。
KOSPI 200のオプションは、世界で一番Volumeがある。
それはそれで間違ってはいないだろうが、Index Pointと倍数を考慮に入れず、Volumeだけで話をしたら一般投資家が
勘違いをしてしまうであろう。KOSPI200は数十万枚のVolumeが観測できるが、Index Pointは220Pointで、倍数は
100,000KRWであるから、一枚辺りのExposureは20,000USD弱にしかならない。一方、欧州のEuro Stoxx 50などは、
Index Pointが2900、倍数10倍なので、40,000USD程度が、期近で数万枚、期先に渡っても数千枚の出来高があるこ
と思えば、オプション市場としての厚みは欧州市場の方が優れているのは明らかなのである。
テクニカル分析が入っている。
株価のマルコフ性を意識するならば、テクニカルなど何も意味が無いという考えになるはずなのだが、抵抗線がどうの
とかキャンドルが窓をあけて的な発言が見られ、デリバティブの人間の言葉とは思えなかった。
オプションのギアを説明しきれていない。
個人投資家、すなわちSpeculatorにオプションを解説するならば、ギアリング効果に焦点を当てるべきだと思うのだが、
それがなされておらず、Call Buy, Call Sell, Call Spread, Stradle, Strangle, Colurなどを、Intrinsic Value-Premiumで
収益解説をしている。
ここでは日本人の読者が多いので、敢えて日経オプションを例に解説しよう。
11250 Callを45円で買いました@日経先物10680円
満期で11500円になった場合、それが250円なので、(250-45)×1000=205,000円の儲けと書いている。
これを延々、様々なストラテジーで行ったのである

私ならこうする。100万円の現金を持っている。
日経平均ETFを100万円で買ったなら、11500÷10680×100万円=5~6万円の儲け
11500 Callを100万円で買ったなら、(250-45)×100万円÷45= 22枚買えるので、451万円の儲け
アウトなオプションほど、プレミアムが安いので、当たった時のギアリングが大きいと言うであろう。
ただし、日経ETFなら1%あがったら1%儲かるが、11500 Callは5%上がっても、全てを失うことになるということは強調する。
オプションの売りは、儲けはプレミアム、損失無限大と強調し、あたかも売りは危ないと言わんばかりの論調であったが
そんな時こそCall Spreadの出番だと私は思う。
10750-11250 Call Spreadは、145/135 ということは
Call Spreadを買えば最大損失-145~最大利益500-145=355、売れば最大損失-365~最大利益135の分布となる。
10750-11000 Call Spreadは、95/85 なので同様に、買いは-95~155、売りは-165~85となる。
これであれば、オプションの売りでTime Valueを取る行為も、損失限定的に取ることができる。
そして彼のプレゼンテーションでは、上記のように書いてあるので、損失~利益の幅から500円Spreadがよりリスキーか
のように見えるが、Full Investmentを想定すると、狭いRangeを当てるのが儲かる。
つまり、証拠金は、最大損失で大体収まるので、100万円の現金に対して
10750-11250 の500円Call Spreadは、100万円÷365(最大損失)÷1000=2枚の10750Callを売り、2枚11250Callを買える。
一方、10750-11000 の250円Call Spreadは、100万円÷165÷1000=6枚 のSpreadを組めることになる。
最後日経が10750円のアウトで終わった場合の収益は、500円Spreadが27万円、250円Spreadが51万円の収益となり、証拠
金を目一杯使って、レバを効かせるSpeculatorを相手にする場合は、狭いSpreadは、当たればデカイが、リスキーと説明す
べきであろう。
【Vanilla・幾何ブラウン】
2010.01.08: 50% Knock-In PutのPremiumって実現できるの?@理想的な世界にて 
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている
2009.06.30: FX Optionの対称性
2009.06.16: VAR SWAPのGamma+VanillaのGammaでGamma Neutralになるか?
2009.06.09: お前VEGAの意味わかって無いだろ?
2009.05.12: FX Optionの 25Deltaって?
2008.08.13: Vanilla基礎 GammaとVolatility
2008.08.12: Call Optionと金利ヘッジ問題 
2007.12.10: 金利0、配当0(0Drift) ATM Call のDELTAは50%? 50%超? 50%未満? 
2007.12.01: 初めて会った時から好きだった